自立した子どもに育てるアメリカ流「叱らない子育て」、4つルールとは?
最近、子どもの人格や自主性を尊重する育て方として「叱らない子育て」という言葉をよく耳にします。自立した子どもが多いとされているアメリカでは「叱らない子育て」がしつけの基本となっていますが、日本で考えられているやり方とは少し違います。アメリカで推奨されている「叱らない子育て」の具体的な4つのルールについて紹介しましょう。
目次
アメリカと日本、しつけに厳しいのはどっち?
アメリカの親は、子どもが小さい頃から礼儀やマナーに厳しい傾向にあります。例えば公共の場で大騒ぎをした場合、日本では「まだ幼いから」と、親も周囲も大目に見るケースが多いようです。しかし、アメリカでは子どもが2〜3歳であっても、「そのような行動は許されませんよ」と厳しく親が言い聞かせます。それでも言うことを聞かない場合、子どもが嫌がってもその場から連れ帰ります。
優しく諭すのではなく、低くはっきりした口調で伝える。これがアメリカのしつけの特徴です。一方、日本では「〜は危ないからダメよ」と優しく言い聞かせることが多いのではないでしょうか。
「叱らない子育て」が注目を浴びる一方で、誤った解釈で言葉が一人歩きしていることも指摘されています。本来の意味を理解したうえで上手に実践していくのは難しいものですが、アメリカ社会に根付いている、叱らずにしつける4つのルールを下記に挙げてみました。
ルール1. 原則として親の言うことは絶対
アメリカでは、幼くてもひとりの人間として尊重しますので、子どもの意見を聞いたり話し合ったりすることは日常的に行います。しかし、親が決めたことに口答えすることは許されません。例えば、「ゲームは1日1時間まで」と親が決めたら、子どもは交渉の余地なしです。子どもがもし短いと文句を言っても、「親が決めたから」「口答えは許しません」で終了です。
また、子どもが大人の会話をさえぎることもマナー違反として厳しくしつけられます。大人同士が話している時に「ねえねえ」と幼い子どもが割り込んでくるのは、よくあるシーンですが、アメリカでは「今ママは○○さんとお話しているから、邪魔してはいけない」と諭し、大人が話し終わるまで待つように伝えます。
このような社会性やマナーについて幼い頃から教えることで、子どもの精神的自立を促します。
ルール2. 体罰や怒鳴るのは厳禁
厳しくしつけるといっても、体罰や大声で怒鳴ることはアメリカでは禁止されています。日本では、しつけの延長としてそのような行為がなされる場合もありますが、アメリカでははっきりとしつけとは区別しています。体罰や怒鳴る行為は、子どもに対して心理的や肉体的な負担を与える虐待行為であると位置づけているからです。
公共の場で、親が声を荒げて子どもを叱っていたり、小突いたりしていたら、周囲の人が止めたり警察に通報したりします。アメリカに住む日本人が、日本にいるのと同じ感覚で子どもを叱った結果、警察を呼ばれてしまったという事例もあります。アメリカでは、子どもの権利保護に非常に敏感なのです。
ルール3. 敬語を使い、子どもをフルネームで呼ぶ
子どもが好ましくない行動をした時の声の掛け方も、アメリカと日本では大きく異なります。
日本では「~しちゃだめでしょ!」「〜しなさい!」と声をかけます。これは、大人が子どもを庇護する立場にあり、子どもをたしなめるような言い方です。一方、アメリカの親は、威厳のある低い声で「〜してください」と敬語で注意します。命令するのではなく、してほしい行為を丁寧な口調で伝えるのです。
それでも子どもが言うことを聞かない場合、親は最終通告として子どものフルネームを呼びます。フルネームを呼ぶことで、親の本気度を子どもに伝えるのです。例えば、何度言っても子どもが部屋を片づけなかった場合に、「ジョージ・ウィリアム・スミス!」と親が子どもを呼ぶことで、子どもに「あ、いい加減片づけないとまずい」と気付かせるのです。
このようなアプローチは、学校でも教師が生徒に対して使います。あえて丁寧な口調で話すことで、自ら気付いて正せるように促しているのです。
ルール4. 決まりを破ると外出禁止
子どもがルールを破った際、体罰や怒鳴る代わりに、アメリカでは「子どもの権利を制限する」という罰則が設けられます。小学生以下の子どもなら数分間ひとりで特定の場所や部屋で過ごさせる「タイムアウト」を、ティーンエージャーなら一定期間の「外出禁止」を言い渡します。ゲームやスマートフォンをしばらく取り上げる、という家庭もあります。
アメリカは自由や権利を重視しているので、それを取り上げられるのはとても辛いものです。また、ルールを破ったことに対する罰則を課すことで、子どもに自分の行動を振り返ることを促し、ルールを守る大切さや責任感を身につけることを目指します。
まとめ
このように、アメリカ流の「叱らない子育て」は決して甘い子育てではなく、むしろ日本よりも厳しいと言えそうです。子どもを突き放しているように見える対応もありますが、アメリカでは将来のために、早くから社会のルールを身につけさせてあげることが愛情だと考えられているためです。
アメリカ流の「叱らない子育て」ぜひ参考にしてみてください。
叱らない・怒らない子育ての落とし穴
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
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