グッズに頼りすぎない方が案外うまくいく? マネしたい海外式のトイレトレーニング術!
日本と海外の子育て、わが子に愛情を注ぐのは万国共通ですが、育児で重きを置く部分や育て方のヒント、そして育児グッズのバラエティーなどは、国ごとに違います。
今回は、トイレトレーニング特集ということで、海外のトイトレ事情にフォーカス。その中から、マネしたいヒントをピックアップし、お伝えしていきます。
目次
きめこまやかな日本VSざっくりしている海外
2歳を過ぎたあたりから気になってくるトイレトレーニング。私は、イギリス、フランス、オランダと渡り歩いてきましたが、ヨーロッパのトイレトレーニングをひと言でいうなら、「シンプル」。
育児全般が、日本よりもざっくりとしている傾向がありますが、トイレトレーニングに関しても同様です。その分、大ごとに捉えておらず、パパママも身構えていないというのが率直な印象です。
一方、日本では、トイレトレーニングの時期に多くのママがストレスに陥ります。インターネットなどでたくさんの情報を得て、トイトレグッズも万全に準備しているのにも関わらずです。できることなら、オムツは楽に取りたいですよね。
そこで、私が実際に海外で体験したり、見聞きしたりした中で、これはよかったというトイトレヒントをご紹介し、心理学的に見たおすすめポイントも加えていきたいと思います。
まずは、海外のトイレトレーニングの特徴からお話ししましょう。
海外トイトレの特徴1:タイムリミットがある
海外では、一般的に、幼稚園入園までにオムツを取ることが多いようです。それは、オムツ卒業が入園の条件になることが多いからです。
「オムツが取れていないと、入園を断る権利が学校側にある」ということを園の募集要項に書いてあったり、直々に手紙で通知されることもあったりとシビアなのです。
入園の年齢が3歳だったり4歳だったり、学年の区切りが1月だったり9月だったりと国ごとに入園時点の年齢は変わりますが、平均すると、3歳前後で取るご家庭が必然的に多くなる、これが海外の実情です。
その中でも、厳しい基準を設けているのがフランスです。フランスの幼稚園は3歳になる年の9月から始まるので、3歳になる前に入園時期がくる子も含まれるからです。
もし12月生まれだと、2歳9か月で入園、その段階でオムツが取れていないとダメなので、直前の7、8月に公園に行くと、明らかにトイトレ中という子どもたちが、ママとダッシュしているのを見かけます。
なんとか間に合って入園したものの、園でのお昼寝タイムにおねしょを連続でしてしまうと、お昼寝時間前にお迎えを示唆されるご家庭も……。一般的に大らかな印象を与えるフランスですが、トイレトレーニングに関しては、結構厳しいというのが印象です。
海外トイトレの特徴2:グッズがない
日本には、
・紙製、布製のトイレトレーニング用パンツ
・布パンツに付けて使う、トイレトレーニングパッド
・おしっこをかけると、シートの中から絵が浮き出るトイレ練習シート
など、様々なトイトレグッズがあります。多くのママが、トレーニングの補助として用いるのではないでしょうか。
一方、海外には、このようなトイトレグッズはありません。ですので、基本は普通のパンツ、中には、パンツもなしで、ノーパンというご家庭もあります。家の中ではとにかく軽装で過ごさせ、「おまるかトイレでおしっこをする」という目標にただただ奔走します。
トイレトレーニング中は、おもらしで服が濡れるので洗濯物が増える! こんなママの悩みを、日本はトイトレパンツでワンクッション置くことで緩和しますが、海外では、パンツオンリーにして洗濯物を増やさない、何とも合理的です。
「タイムリミットがある」「グッズがない」この2つの特徴を見ると、海外のトイレトレーニングはハードな印象を与えるかもしれません。でも、そこからアイデアをいいとこ取りすれば、逆にスムーズなトレーニングにつながります。
「これはマネしてほしい!」というポイントを次にまとめましたので、ぜひご参照ください。
海外式トイトレ、マネしたいポイント2
目標の卒業日を定める
『心理学から見たトイレトレーニング「スタート時期はいつが正解?」』でも書いたように、トイレトレーニングはその子にふさわしい時期がありますので、フランスのように、2歳代の子に「マスト」とするのは、ちょっとしんどいと感じるご家庭もあると思います。
トイレトレーニングは、その子の体の機能の発達とも関わってくるので、早すぎる時期に「マスト」としてしまうのは、母子ともに負担がかかります。しかし、海外式に、トイレトレーニングに目標の期日を設けて行うのは短縮化につながるので非常におすすめです。
何事においても、この日までにという目標があると、モチベーションを保ちやすく、集中して取り組むことができるからです。
「スタート時期はいつが正解?」の記事を参照にお子さんに最適な時期を見極めたら、ぜひ目標日を決めて、スタートしましょう。「いつか卒業したらいいな」くらいだと、長引いて、母子ともにストレスということになりかねないので、やるならスパッとがおすすめです。
時期が満ちていれば、早い子は1日でも、ある程度、形になります。目標はあまり遠い先にせず、3日、1週間、2週間、1か月くらいを目安に設定してみてください。その期間が短ければ短いほど、母子の集中力が続きやすく、濃いトレーニングができます。
普通のパンツで乗り切る
その際におすすめしたいのは、失敗を恐れず、普通のパンツで取り組むことです。日本と海外のトイレトレーニングを比較すると、グッズが存在しない海外の方が、スッキリ手早くオムツ卒業にこぎつけているからです。
トレーニングパンツとして作られたものは、紙タイプでも布タイプでも、やはり厚みがあります。おもらしをした時の感触は、オムツと比べれば不快ではあるけれど、普通のパンツとは違います。子どもにとって、「何とかして~!!」と大騒ぎするほどのものではありません。ママにとっても、紙や布のワンクッションがあることで、掃除が楽になります。
私たちは、失敗から多くを学ぶものです。痛感すればするほど、次回に活かされることも大きいので、おもらしを変にあいまいにしない方が、学びにつながりやすくなります。
おもらしは、トイトレが前進するきっかけですので、それ自体をゆる~く乗り越えようとせず、学びに変えていく方が得策です。
育児全般に言えることですが、グッズに頼り過ぎると、逆に、事を複雑にしてしまうことがあります。トイレトレーニングの目的は、トイレでおしっこができるようになること。一直線にトイレを目指す方が、シンプルで早道だということを海外の状況を見て感じずにはいられません。
日本では、一般的に、薄着で風邪をひきにくい夏や夏前がトイレトレーニングに適している季節と言われています。この夏、やろうかなと思っているママ、ぜひ、「目標日を決めて、パンツで乗り切る」を参考になさってみてください。
育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/