30代後半から“プレ更年期”!? 体の不調と向き合うために知っておくべきこと
“プレ更年期”という言葉をご存知でしょうか。30代後半から40代前半がその時期に該当し、ホルモンのバランスが崩れ体の不調が起こり始める人がいるのだそう。
プレ更年期について、どのような症状が起こるのか、病院の受診は必要なのかなど、白金高輪海老根ウィメンズクリニック・海老根真由美院長にお話を伺いました。
海老根真由美先生
埼玉医科大学大学院修了。医学博士。2013年に「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」を開院。産婦人科、婦人科、小児科、乳腺外科、泌尿器科、内科、それぞれ専門の医師が勤務し、土日祝日も診察を行っているファミリークリニックとして多くの患者さんから信頼を集めている。点滴治療での疲労回復やホルモン補充療法などの更年期障害の治療も行っている。白金高輪海老根ウィメンズクリニック(http://ebine-womens-clinic.com/)
目次
30代後半からホルモンのバランスが崩れ始めるプレ更年期
__更年期障害とはそもそもどのような症状なのか教えてください。
実は更年期というのは、なにをもって更年期とするのか明確な答えがありません。閉経前後の数年間に起こる体の不調が更年期症状と言えると思います。
症状は人によって個人差があります。急に暑くなったり寒くなったり、汗がドバドバ出て止まらなくなったりする“ホットフラッシュ”は更年期によくみられる特徴のひとつですね。
あとは、急に怒ったりやる気がなくなったり、気持ちのアップダウンが激しくなることもあれば、胸が張る、眠れなくなる、関節痛が起こる、頭痛がする、疲れやすいと言う方もいます。うつ状態になる方も多いです。
人によって症状が違うので、これが更年期症状と言い切るのは難しいところですね。
__個人差があるということは、始まる年齢も違うということでしょうか?
一般的には48歳から52歳ぐらいまでに閉経すると言われているので、そのぐらいから始まる方が多いのですが、45、46歳ぐらいから症状が出てくる方もいます。
また、30代後半から40代前半は、プレ更年期と言える時期。その頃からホルモンのバランスが少し崩れてきて、妊娠しづらくなり、更年期症状みたいなものがパラパラと出始めてくる方も増えてきます。
38歳ぐらいから肩こりや頭痛が出てきたり、調子が悪くなってきたりするのは、普通の年齢の変化なのですが、それを知らない方も多いのではないでしょうか。
__更年期症状はどのぐらいの期間続きますか?
女性ホルモンが少なくなったことに体がだんだん慣れていって、ずっと続いていた症状も落ち着いてきますが、半年ぐらいで終わる方もいれば、3年、5年、10年続く方もいます。
症状が出ない方もいますし、重い方もいます。出産もそうなのですが、更年期の症状についても、お母さんが軽かったら娘さんも軽いとか、親子で似ている印象があります。
ホルモン補充療法や漢方薬など、症状に合わせて対処療法を
__症状がでたらどのように対処すればいいのか教えてください。
症状にもよりますが、基本的には対処療法になります。ホットフラシュが辛ければ肩までお風呂に入るとか、眠れない方にはあまりストレスをかけない生活をおすすめするとか、肩こりや頭痛の方は毎日ストレッチするとか。
更年期は女性ホルモンが減ったことで辛くなる症状なので、ホルモンを入れるホルモン補充療法が特効薬といえばそうなのですが、ホルモンを補充すると低ホルモンに体が慣れることができず更年期を通り抜けられないじゃないですか。ですからホルモン補充療法をやりたくないという方もいますし、漢方みたいなマイルドなやり方がいいという方もいます。中には漢方薬がすごく効いて、快適に更年期を過ごせたという方もいます。
更年期は、どうしても通らないといけない変化なので、その変化とどう付き合っていくかが重要になります。医学的に必ずいい方法があるとは限らないのですが、その時々の症状を主治医に相談して、ホルモン補充療法なり漢方薬なりを微調整しながら乗り越えていくしかないと思います。
__食事療法やサプリメントは効果がありますか?
大豆製品や納豆など、イソフラボンが含まれた食品がいいんじゃないかという考え方があり、エクオールのサプリメントを飲まれる方もいらっしゃると思います。
ただ、特効薬になるかといわれると、そこまでではないかもしれません。不正出血が生じることもありますので、その時は内服を中止してください。
__パパや子どもにも、ママの更年期症状について話しておくといいと思いますか?
もちろんそうですね。意外とご主人の方が先に気づいて、「それ、更年期じゃない?病院いったら?」と勧めるケースも多いです。
また、お子さんの登校拒否の原因がママの更年期だったということもあります。それまで優しかったママが突然イライラして怒りっぽくなったら、お子さんもパニックになっちゃいますよね。
ママは「私は悪くない。子どもが反抗期で言うことを聞かない」って怒っていたのですが、実はママの方が更年期だったので治療を行いました。「ママを治してくれてありがとう」と、登校拒否だったお子さんからすごく感謝されましたね。
無理をしないでゆったり過ごすことが上手に乗り越える秘訣
__プレ更年期や更年期、閉経の確認などで病院に通う必要はありますか?
更年期については婦人科に通うことになりますが、体の不調が起きたらまずは専門の科を受診していただくのがいいと思います。
頭痛の方は脳外科で精密検査が必要か、動悸の方に甲状腺や心臓の病気がないか調べることは重要です。検査しても大きな疾患がない、でも症状が止まらず更年期の時期と一致していたら、更年期でしょうねというのが医学的には正しい診断です。
閉経については、婦人科でホルモンの検査をすれば確認できますが、それが絶対というわけではないです。実は閉経の判断って難しいんですよね。ホルモンの数値もなく生理も来なくて閉経だと思ってたら、半年後にまたホルモンが出て月経が来るということもありますから。
ただ、体の不調の原因が更年期だとわからなくて大変だったという方もすごく多いんです。30代後半からは更年期を意識して、調子が悪くなったら、ひょっとしたらホルモンバランスのせいかなとわかっていれば気が楽だと思います。症状がひどくなったら病院に行くといいと思います。
__更年期が終わるとどんな感じなのでしょうか?
「更年期大変だったけど、もう何でもないわ!」という瞬間が来ます。40代後半から50代は疲れている方が多いけれど、60代になるとみんなすっかり元気なおばあちゃんになっていますよね。更年期後はホルモンのアンバランスな状況をくぐり抜けて快適みたいですよ。
__プレ更年期のアラフォーママへメッセージをお願いします。
自分が若いときは、努力したらもっと上にいけると信じて一生懸命努力するのですが、残念ながら、努力しても上に行けなくなる日は来てしまいます。それが更年期という時期です。
もっと頑張れるんじゃないかと思って今までと同じように努力しすぎて、混乱しているママたちが多いのですが、この時期は無理をしないほうがいいですね。
頑張ることがストレスになると、更年期症状がすごく悪くなります。目標は60%ぐらいにして、ゆったりした気持ちで過ごすことが上手に乗り越える秘訣になると思います。
更年期はまだ先の話かなと思っていたのですが、筆者もプレ更年期にはばっちり当てはまります。自分の体と向き合い始め、無理しない生活を心がけたいと思います。