アメリカの子どもが政治に関心を持つ祝日「プレジデントデー」とは?
アメリカにはさまざまな魅力的なイベントがあり、学校でもそれらイベントの日にはアクティビティに力を入れています。たとえばハロウィンやサンクスギビング、独立記念日などにはアメリカの文化や歴史を反映した行事が盛大に行われ、それらに関する授業も実施されます。
今回は日本であまり知られていない「プレジデントデー」について、さらに子どもたちが学校で体験するアクティビティなどを紹介します。
目次
アクティビティを通じ大統領のことや民主主義を学ぶ
プレジデントデー(別名:ジョージ・ワシントンデー)は、アメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンの誕生日を祝う日です。国の発展に寄与した歴代大統領を讃える日として、毎年2月の第3月曜日に祝われており、多くの企業や学校は休業日となります。
プレジデントデーはアメリカの民主主義やリーダーシップについて考える大切な日として国民に認識されています。
プリスクーラー(3~4歳)の子どもたちは、学校での制作活動や読み聞かせを通じて大統領とは何かを勉強します。授業ではカラフルな画用紙や紙コップ、紙皿などを使い、それぞれ工夫を凝らしながら、ジョージ・ワシントンに関するクラフト作品制作に挑みます。
紙皿の真ん中をくりぬき、蝶ネクタイをセットし、茶色い毛糸の髪の毛を貼り付けて作られるのは、大統領のお面です。トイレットペーパーの芯を使い、ミニサイズの大統領人形なども作られます。これらを使って「ロールプレイ(ごっこ遊び)」をしたり、お面をかぶって大統領になった気分を味わうのです。
3~4歳児の授業ではクラフト作品を制作して楽しむ(筆者撮影)
ロールプレイにより投票への意識を高める
さらに、幼いながらも大統領選のロールプレイを実施し、模擬選挙後には「VOTED(投票しました)」というステッカーを胸に貼ってもらいます。こういったアクティビティを通じて、小さい頃から「投票」への意識を高めていくことが重要とされているのです。
プリスクールの先生たちは、大統領の絵本を用いて子どもたちにプレジデントデーのお話を聞かせます。子どもたちは、ジョージ・ワシントンやエイブラハム・リンカーンなど歴代の著名大統領の功績や特徴について学ぶのです。
また、アメリカのシンボルである「自由の女神」や「ホワイトハウス」、「自由の鐘」などについても説明を受けて学びます。当時4歳だった我が子は、「前に見に行った自由の女神のことを話してもらった!」と嬉しそうに語っていました
大統領の日のワークショップではリンカーンの髭を描いたり、アメリカの国旗に色を塗ったり、星や線など国旗のパーツや配色を学ぶことができます。
大統領に関するイラストからアルファベットを学ぶワークシートもあり、こういったアクティビティを通じて楽しみながら歴史や文化、文字やことばについての知識を深めていきます。
ディスカッションやスピーチでリーダーシップを実践
少し上のクラスの子どもたちになると、歴代大統領のトピックについても勉強します。ロールプレイや作文プレゼンテーションを通じて大統領のリーダーシップを学び、それを実践するのです。
順番に大統領に扮し、問題解決のための重大な決断を行ったり、クラスメイトに向けてスピーチを披露したりと、まさに国のリーダーそのものに扮します。
また、クラスメイトを国民に見立て、ディスカッションを行います。賛成・反対意見を聞き入れることは、他者の視点を尊重する練習になり、コミュニケーションスキルの向上に役立つはずです。
このように、アメリカでは自分の意見を発表する場やプレゼンテーションなどの機会が学校教育の中に多く取り入れられています。
その結果、自分の意見に自信を持ち、ためらいなく目の前の人たちに伝えることができるようになります。作文プレゼンテーションでは、リサーチ力や構成力、文章力が身に付きます。
まとめ
アメリカ人は小さなころから政治に興味を持ち、若者の投票意識は日本人よりも高いとされています。プレジデントデーなどの授業を通じて、自分の意見を持ちディスカッションする力を育てることは、子どもの成長課程においてとても重要と思われます。
プレジデンツデーは単なる祝日というだけではなく、子どもが政治に興味を持ち社会に関わっていくことを促す貴重な機会です。
ディスカッションやディベートは家庭の団らんの時間にも取り入れやすいので、お子さんが興味を持ちやすいようなトピックを使い、一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
<参照URL>
https://ch.usembassy.gov/holiday-calendar/presidents-day-honoring-u-s-presidents-washington-lincoln/
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