麹町中学も導入済み! AI型タブレット教材Qubenaとは?
SHINGA FARMの読者が気になる、これからの時代の子育て。今回は、『人工知能時代を生き抜く子どもの育て方』の著者である神野元基さんに、AI時代の教育や子育てのこと、さらに神野さんがCEOをつとめる株式会社COMPASSが開発したAI型タブレット教材「Qubena(キュビナ)」についてお話を伺いました。
神野元基(株式会社COMPASS 代表取締役CEO)
2010年よりシリコンバレーにて起業。その際に2045年のシンギュラリティを知る。今後30年間で起こる変化は、産業革命に匹敵すると言われており、誰もが容易に予想できない未来を前に、子どもたちに未来を生き抜く力を身につけてほしいという思いから、2012年に学習塾COMPASSを設立。2015年にAI型タブレット教材Qubenaを開発。Qubenaは日経コンピューター「ミライITアワード2016 教育部門」グランプリ、「2018年度日本e-leaning大賞」経済産業大臣賞を受賞、2018年度・2019年度 経済産業省「未来の教室」実証事業に2年連続で採択されるなど多方面で注目を集め、教育×ITのイノベーターとして日々精力的に活動を続けている。2019年より、中央教育審議会臨時委員に選任。著書『人工知能時代を生き抜く子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
目次
AI時代の子育てで最も大事なのは親の意識を変えること!
私たち大人が子どもだった頃には、スマホもインターネットもYouTubeもありませんでしたが、現在・これからの子どもたちにとっては、これらはすでに生活の中心であり、新しいテクノロジーとされているAIやドローン、VR、3Dプリンターも生活や産業において当たり前の存在になってくるでしょう。
つまり、私たち大人の子ども時代と今の子どもたちの環境は、まったく違うということを保護者がきちんと認識した上で子育てをしなければいけません。
さらに、AIの進化に伴い、今の子どもたちが小さい頃から夢見てきた仕事が将来なくなったり、求められる能力が大きく変化するかもしれないということ。
学歴だけでは働き口が見つかりづらくなるし、受動的に指示を待っているようではだめですし、コンピュータを使いこなせないという事が読み書きができないと等しい扱いになるでしょう。
そんな時代を生きる子どもを育てるのは容易ではありません。ではどうすればいいか。それは、最先端のテクノロジーを使いこなし、自ら課題を見つけ、解決する能力を身に着けることです。
これは時代が変化しても必要とされる能力です。そのため、COMPASSでは直営する学習塾で「未来教育」と称した最先端のテクノロジーを使った課題解決の体験を重視したSTEAM教育を提供しています。
もちろんSTEAMだけに限りませんが子どもの適正と欲求を見つけるために、さまざまな刺激を与え続けることが重要です。また、親も子どもと一緒に新たなテクノロジーに多く触れ、学んでいくという姿勢が、何より大事だと言えるでしょう。
教育×ITの時代、先生はコーチとなればいい
学校教育はどうでしょうか。最近では、学力のフタコブラクダ問題と言われているように、学力の高い子と平均以下の子と2つの山があり、それは算数・数学において顕著に表れています。
先生たちは、クラスの平均値の子に向けて授業をしていますが、そのゾーンに該当する子は少なく、多くの子が学校の授業についていけなくなってしまっているか、簡単だと感じてしまっているということを示しています。
私たちが開発したAI型タブレット教材Qubenaはその問題をまさに解決できる教材で、アダプティブラーニングで子どもたち一人ひとりのレベルに合わせて最適な問題を出題するため、誰一人として取り残すことなく自分のペースで学習ができるのです。
また、2020年を境にさまざまな教育改革が急ピッチで進んでいますが、たとえば今から全ての小学校の先生たちがプログラミングを完璧に理解するのは難しいですよね。こうした新しい分野においても、特に、先生=教える人ではなくて、教科によってはタブレットが先生だっていいと思うんです。
AIが勉強を教えるのが当たり前な時代はもう目の前まで来ていると思います。しかし、人間にしか教えられないこともあります。
子どもたちのモチベーションを上げたり、心に寄り添うといったことは現時点では人間にしかできないので、先生は教えることが無くなるということはなく、生徒にとって良い“コーチ”になっていただきたいと考えています。
今の子は忙しすぎる!それなら効率よく学習すればいい!
2045 年までのテクノロジーの発展とシンギュラリティを考えた時、僕は子どもたちに「未来を生き抜く力を身につけて欲しい」と思いました。
なので、東京で学習塾COMPASSを開き、勉強と一緒に未来を生き抜く力について教えていたのですが、今の子どもたちは勉強や習い事に忙しく、未来のことや最先端テクノロジーのことを教えたいけれどその時間がないんです。
そこで考えたのが「学習を圧倒的に効率化すること」。それがQubena誕生の経緯です。
まず私は数学の単元を極限まで細かい要素まで分解したプリントを作り、生徒によって理解できていない要素の問題を出し分けて学習の効率化を検証しました。(この要素を非常に細かく細分化した学習を「ナノステップ・ラーニング」と呼んでいます)
簡単に言うと、様々な生徒に対して一律の授業や宿題ではなく、個々がどこでつまずいているかを見つけ、そこを重点的に補う学習法です。その結果、プリントを使った学習でもかなりの学習を効率化できることが実証できました。
Qubenaは従来のタブレット学習とどう違うの?
先生がいなくてもできるように先述した「ナノ・ステップ・ラーニング」をAIに学習させたものがAI型タブレット教材Qubenaです。
Qubenaでは、間違いの原因をAIが分析し、たとえ過去の単元や前の学年の分野につまずきポイントがあったとしても、原因を解決するためにその生徒が解くべき問題へと誘導します。
人工知能が「解くべき問題」を自動的に出題してくれる、まさに“自分だけの先生”となるわけです。実際のノートと同じようにペンを使って全て手書きで学習を進めていき、文字認識や、自動の正誤判定も可能です。
また、生徒が解いている問題や解答時間、正答率などの学習テータは、専用の管理システムによってリアルタイムに収集・分析されます。先生は、それぞれの生徒の理解度を瞬時に把握できるので、適切な学習指導が可能になります。
実際に弊社の運営する学習塾Qubenaアカデミーに通う生徒は、1学年分の学習を従来の学習時間の1/7の時間で学習を終えるという実績も出ています。こうした、圧倒的なスピードで効率的に学習をサポートできることがQubenaの大きな特徴です。
麹町中学で導入してみてわかったこと
千代田区の麹町中学校では、昨年から数学の授業にQubenaを導入し、単元学習の約9割をQubenaを使って学習しています。
授業では、一人1台あるタブレットで自分のペースで問題を解き進んでいきます。しーんとした授業かと思いきや、これがうるさいんです(笑)。どんどん解きたいから、わからないと先生に「わかりません!」とどんどん質問。追いつかない場合は分かる友達に聞いたりしています。
従来の数学の授業でよく起こる、できる子は物足りなくて、できない子は置いてきぼりになってしまい、先生たちの「誰に合わせて授業をすべきか難しい」という悩みもなく、全員が自発的に楽しみながら学習しているんです。
さらに、効率的に学習して余った時間で、ドローンや3Dプリンターなどの最先端のテクノロジーを使ったSTEAM教育を実践しています。子どもたちも数学で学んだことは将来役立つと言う認識に変わったとアンケート結果にも出ています。これはとても嬉しかったですね。
いかがでしたか。教育にもAIが導入され、子どもたちが効率よく学習できれば、みんながハッピーになれるのではと感じました。親としても新しい取り組みを毛嫌いせずに、積極的に興味をもって理解していきたいですね。
今後もさまざまな小中学校・高校や塾、学童にQubenaを導入予定だそう。伸芽会の学童「しんが~ずクラブ学童」でもまもなく導入開始とのこと。お楽しみに!