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英国王室も賛同!心の架け橋を生み出すレインボーアート・ムーブメントとは

英国王室も賛同!心の架け橋を生み出すレインボーアート・ムーブメントとは

新型コロナウィルスの世界的な大流行により、イギリスでも外出規制中の子どもたちの心身への影響が懸念されています。また、慣れない在宅ワークや、通常より回数が増えた食事の支度に加え、子どもの自宅学習の管理までしなければならない親たちのストレスも最高潮に達しました。

そんなコロナ禍のイギリスで注目を浴びたのが、「虹のお絵かき=レインボーアート」です。なぜレインボーアートがイギリスでムーブメントを巻き起こしたのか、その背景と広がりを紹介したいと思います。

コロナ禍で巣ごもり中の子どもたちが始めたアートがブームに

もともとレインボーアートは、ヨーロッパではいち早くコロナ感染が拡大しロックダウンとなったイタリアで始まったブームだと言われています。通行人に見えるように自宅の窓にお絵描きした虹の絵を貼るという、至ってシンプルなアクティビティです。

カラフルかつ手軽とあって、イタリアに続いて、スペイン、アメリカ、カナダ、そして、イギリスでもこのブームに火がつきました。

近年では虹というと、LGBT(セクシュアルマイノリティ)の象徴というイメージが定着しましたが、かねてより虹は「希望」「インクルージョン(包括)」「統合」のシンボルとして親しまれてきました。

イギリスの子どもたちはカラフルなものが大好きなこともあって、彩りが鮮やかな7色のレインボーアートはあっという間に大人気となったのです。巣ごもり生活中の子どもたちが思い思いに虹を描き、オンライン学習が始まると、小学校などの美術の課題としても多くの学校で取り上げられました。

(年長の次男(右)が描いた虹: 筆者撮影)

こうして、たくさんの窓を彩った個性あふれるレインボーアートは、ロックダウン時に唯一の気晴らしだった散歩や生活必需品の買い出しをする通行人に、ほっこりできるひとときを提供しました。

実際に友だちと会ったり遊んだりすることは叶わず、いつまでロックダウンが続くのか先行きが見えない不安な日々において、お互いに描いた虹を窓越しに見せ合うことは、友だちとの心の架け橋の役割も果たしていたようです。

SNS上でも拡散され、インスタグラムでタグ付けされた「#chasetherainbow (レインボーを追いかけて)」の投稿数は6月初旬時点で約2万8,500となり、「#rainbowchallange(レインボーチャレンジ)」は同じく約1万7,400 にものぼりました。

ツイッター上ではレインボーアートが貼られた場所を示すマップまで登場し、フェイスブックのプロフィール写真には虹のテンプレートが入れられるなど、レインボーアートの輪がどんどん広がっていきました。

ルイ王子はあるものに虹を描いて医療従事者たちを支援

イギリスでは、コロナの最前線で働く国民健康サービス「NHS(イギリスの国営医療事業)」の医療従事者に対する感謝と敬意のしるしとしても、レインボーアートが活用されました。

ルイ王子が2歳の誕生日を迎える4月23日の前日にキャサリン妃が撮影したという、満面の笑みを浮かべたルイ王子のポートレートが英王室のインスタグラム上で公開されましたが、その両掌には、なんと絵の具でべったりと描かれた虹が。誰もが思わず微笑んでしまうこの写真は世界中で報道されたため、ご覧になった方も多いかもしれません。

感染拡大を防止するためにロイヤルファミリーもそれぞれ家族ごとに自粛生活を送りながらも、ルイ王子のレインボーアート写真を公開することで、英王室がレインボーアート・ムーブメントに賛同し、NHSを支援している姿勢を示しました。

(イメージ写真 ※実際のルイ王子の写真ではありません)

著名アーティストや企業もチャリティーで協力

また、世界的に著名な英国人アーティストのダミアン・ハーストは、「バタフライ・レインボー」「バタフライ・ハート」と名づけられた虹シリーズの現代アート作品を制作しました。

両作品の限定版はオンライン販売され、その売り上げは全てNHSに寄付される予定です。限定版には手が届かなくても、窓に貼れるように「バタフライ・レインボー」のポスターを無料ダウンロードできるということで、話題になりました。

さらに、各企業でも虹のキーホルダーや、虹が描かれたTシャツやマグカップなどのチャリティー商品が販売され、その売り上げがNHSに寄付されるなど、さまざまな形でレインボーアートが展開されています。

このように、一般家庭だけでなく著名人や企業によるフォローもあったことで、レインボーアートは一躍ムーブメントとなり、コロナ禍で暗いムードのイギリスが虹色に包まれていきました。

まとめ

イギリスのロックダウン中における子どものお絵かきブームから始まったレインボーアートは、ロイヤルファミリーも巻き込み、医療最前線であるNHSを支援するためのチャリティーへとさらなる広がりを見せました。

外出規制の緩和後も、子どもや社会に希望を与えるシンボルとして虹色がイギリスを明るく彩り、Withコロナの時代に生きる人々を勇気づけてくれているようです。

【参考URL】
https://www.bbc.co.uk/newsround/51953553
http://www.damienhirst.com/news/2020/damien-hirst-charity-rainbow-editions
https://www.instagram.com/p/B_TFx2vF-ix/?utm_source=ig_embed

執筆者/ ハモンド綾子

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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