子どもの中間反抗期とは?特徴とパターン別対処法を解説!
小学校入学前後に見られる子どもの反抗は「中間反抗期」と呼ばれています。反抗だけでなく、屁理屈だったり、聞かぬふりだったりと、親からすると「腹が立つ」と感じることも多いこの時期、どのように受け止め、接していけばいいのでしょうか。
中間反抗期がひどくなるパターンを分析しながら、この時期の接し方のポイントを見ていきます。
目次
中間反抗期とは?
一般的に知られている反抗期と言えば、第一次反抗期と第二次反抗期。前者は2~3歳のときに見られる通称「イヤイヤ期」、後者は「思春期に多い反抗」のことです。
中間反抗期は、その2つの間にあるためこう呼ばれています。でも実はこの言葉、心理学の教科書に載っている用語ではありません。
育児の悩みは、親が困っている事象に対し、名称をつけることは割とよく見られるのですが、今回の「中間反抗期」も同じで、実は「イヤイヤ期」「上の子かわいくない症候群」なども教科書には載っていません。
「現場の声が形になった言葉」でもあるわけで、実際に困っている人が多い証とも言えるかもしれません。
中間反抗期は年長さんから小学校低学年の子に多く見られるので、年齢的には5~7歳あたりです。
中間反抗期の子どもの特徴
・親の言うことを聞かない
・何か言うと反抗する
・言葉尻を掴んで反論してくる
・屁理屈を言う
・無視する
・ウソをつく
などで悩むことが多いようです。
親がカチンと来るようなことを言い返してくるというのは、この時期の反抗で悩む親御さんからよく聞く話ですが、それは言語の発達も関係しています。言葉が達者になることで、イヤイヤ期の反抗よりも親の感情を逆なでする言動が多くなります。
「ママだっていつも○○してるくせに」と案外図星のことを言われて、余計に腹が立ってしまったという方もいるでしょう。イヤイヤ期も反抗期ではありますが、当時はまだまだ言葉が長けていなかった分、中間反抗期と比べて「かわいい反抗だった」と感じる方も多いようです。
中間反抗期がひどくなるケースとは?
反抗期全般に言えることですが、ひどくなるケースもあれば、ほとんどないまま過ぎるケースもあります。中間反抗期はどのような場合にひどくなりがちなのか。私の相談事例を踏まえると、
①親の期待が高過ぎる場合
②子どもの方が家庭内で強くなっている場合
が挙げられます。
まずはじめの「高い期待」に関して。これは、小1の子の「僕は僕」「私は私」という自我や、「自分で決めたい」という自立心と、親の期待がぶつかってしまうケースです。
もちろんまだ小1だと、何でも子ども任せというわけにはいきませんが、「親の思い通り」というわけにもいきません。もしその子の意志よりも、親の「こういう子がいい」「この子はこうあるべき」という理想を追求してしまうと、どうしてもぶつかることが増えてしまいます。
①が親の過剰なコントロールで起こるとしたら、②は逆に、親が子どもにコントロールされてしまっている状態とも言えます。親が子どもに振り回されてしまっているということです。
この場合、子どもの反抗は今に始まったことではなく、「イヤイヤ期からずっと続いている」とおっしゃる方が多い印象です。イヤイヤ期の頃よりも成長している分、反抗がより激しくなり、「これはまずい」と相談に来られるのです。
たいがい、家庭内のルールが甘めのことが多く、その背景には、「子どもの思いを尊重しなくては」「心を傷つけてしまっては大変」という思いがあります。
しかし過度に甘くしてしまうことで、その子は感情を制御する機会が同年代の子よりも乏しく、親にちょっと注意されただけでも、「我慢ならない!」となってしまうのです。
親が子どもを思い通りにしようとするのもダメ、逆に親が子どもの思い通りにさせてあげるのもダメ。塩梅が難しいですが、ほどよいバランスが大事ということです。
パターン別、中間反抗期の対処法
中間反抗期をひどくしないために、どのようなことが親にできるでしょうか。まずは要因を探ることが大事です。
別の人間であれば多少のぶつかり合いは「あるもの」なので、それはそれとして受け止め、それ以上の強い反抗がある場合は、上記①②の事例を参考に要因を探ってみましょう。今回は代表的な3つのケースをご紹介します。
ケース1 子どもを自分の思い通りにしたい気持ちが強いと感じた人
→親の期待度をあらためて見直し、調整する
「期待」と言うと聞こえがいいですが、ここで言う期待は、「子どもは自分の思い通りに動くものだ」という過度な思い込みとも言えます。その場合、「反抗は子どもからの重要なメッセージなのかもしれない」という視点は大事です。「自分よがりな期待がないか」「これは期待していいことなのか」と自問してみましょう。
親が子どもの人生に入り込み過ぎている場合、「自立した人間になってほしい」という子育ての最終的なゴールから遠ざかっている可能性もあります。
このやり方のまま思春期に突入するよりは、「この時期に気づかせてくれてありがとう」と捉えて、子どもを一個人としてリスペクトしていけると望ましいです。それまで窮屈さを感じて反抗していた子は、自分が尊重されることで緩和されるはずです。
ケース2 これまでの子育てのやり方が甘かったと思った人
→子どもが感情の自己コントロールができるよう促していく
ここで言う「自己コントロール」は強いものを求めているわけではありません。でも小さいころから、何でも自分の思い通りにしてきた子にとっては、「ごはんだからテレビを消す」ということでさえも“耐えられない憤り”になりがちです。
小学校に入ると、集団で動くことが求められる分、思い通りにならないことに遭遇することが増えていきます。まずは家庭の中で、ちょっとした我慢や気持ちの切り替えの練習を積んでいきましょう。その際、「我慢しなさい!」というアプローチだとうまくいきません。
すでに反抗期の子ならなおさらです。基本的には、子どもはほめたり認めることで伸びていくので、1日の中でちょっと我慢できたり、いつもより素直だったり、という場面を意識的に見つけようとし、「気持ちを抑えられたね」「自分で泣き止めたね」とほめていく。
このように、よい行動の“小さな粒”から育てていくことをおすすめします。
また、それまで甘かったという家庭に多いのが、タブレットやテレビ、ゲーム機器などにまつわる反抗です。そもそものルールがないことも多く、気づいたらエンドレス状態という事例もあるので、ここも同じく切り替えの練習が求められます。
依存性があること、年齢を追うごとに対応が難しくなることを踏まえ、早めの対応がおすすめです。
ケース3 子どもと同じ土俵に乗って喧嘩してしまう人
→親も自己コントロール力を養う!
また、反抗の大小や要因に関わらず、この時期に意識していくと望ましいのは、親も自己コントロールを養う、ということ。中間反抗期は、言葉で逆なでされる場面も多いため、気づいたら同じ土俵に乗っていたということも多いものです。
強く叱ってしまうと、関係がこじれてしまいかねませんし、言葉で子どもを傷つけてしまうこともあります。親自身も自分で自分をコントロールできるように、気分転換できることを探したり、アンガーマネジメントを学んだりしてみてください。
私の相談室でも「アンガーマネジメントで提唱されている6秒ルール が効かない」という話をよく聞きますが、そんなにすぐに効果が出るものではありません。これを機会にじっくり向き合うのも有効な策です。
中間反抗期における幼児教育の役割
上記のように、中間反抗期真っただ中のわが子の自主性を尊重しながら、親が冷静に対応するには、家庭でのルール設定や対話、適度な負荷をかけるといった幼児期の家庭での教育(幼児教育)がカギとなります。
改めて、中間反抗期の子どもに取り入れたい幼児教育のポイントをまとめてみました。
【中間反抗期に取り入れたい幼児教育とその効果】
・我慢を覚える→感情のコントロールができるようになる
・リズムある生活を習得する→1つの行動から次の行動への切り替えが上手になる
・タブレットやテレビ、ゲーム機器類とのつき合い方を一緒に考える→節度を持つことで日々の流れがよくなる
・好きなこと、興味のあることに取り組む→得意分野ができると自信につながる
・外で体を動かして遊ぶ→心身のリフレッシュに加え社交性が促される
・難しそうなことはスモールステップにして挑む→努力の習慣が身につく
いろいろな角度から中間反抗期を見てきましたが、ここでこじらせたまま思春期に向かうのは避けたいので、上記にご紹介したケースを参考に現状を見直し、何ができるかを検討してみてください。
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育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/