慶應、東大…就職せずに“起業する”大学生たちが考える「これからの子どもたちに必要な力」とは?
東大に慶應などの超一流大学に入っても、就職しない子が一定数いる時代。今回は、そんな“起業する道”を選んだ彼らに「今に通ずる幼少期の体験」「親に感謝していること」「今の子どもたちに必要な力」などを聞いてみました。これからの時代を生きる子どもたちを育てるヒントになるフレーズが満載です!
協力いただいたのは、このお二人
「YouTuberアカデミー」を手掛ける㈱FULMA 小島佑依里さん(埼玉大学3年)
http://youtuber-academy.jp/
LGBTの求職者向けサービスを運営する㈱JobRainbow代表の星賢人さん(東京大学大学院をこの春卒業)
http://jobrainbow.net/
目次
起業のきっかけは大学2年のある体験
__今のお仕事について教えてください。
小島さん:以前こちらでも紹介していただいた「YouTuberアカデミー」のスタッフとして働いています。コンセプトは「子どもたちのやりたいを形に」。私自身は他にベビーシッターの仕事もフリーランスで行っています。㈱FULMA代表は慶應大学4年、私は埼玉大学3年で現在は休学中です。
星さん:僕を含めた周りのLGBTの人たちが、心地よく働けるための求職サービス「JobRainbow」を運営しています。日本の人口の7.6%がLGBTと言われている今、僕らが掲げるコンセプトは「すべてのLGBTが自分らしく働ける職場に出会えること」。また、住友商事、Facebook Japan、かんぽ生命などのLGBT研修やコンサルティングも行っています。この春、東京大学大学院の情報学環を卒業しました。
__起業しようと思ったのはいつ、どんな理由で?
小島さん:卒業後の将来を考えはじめた大学2年のときです。Facebookを通して㈱FULMAの代表と知り合い意気投合。「私のやりたいことはコレだ!」と思い、2週間後には入社を決めました。それが大学2年の冬ごろですね。
星さん:僕も大学2年のとき。大学のLGBTのサークルの先輩が就職活動でひどい差別を受けたという話を聞いて。エントリーシートの男女欄、リクルートスーツの着用はもちろん、面接でLGBTだと告げると「貴方のような人はうちにはいないので帰ってください」と言われた人も。こういう話を聞いて何とかしたいと思い、当時、東大のロースクール在学中だった姉と会社を立ち上げました。
今の自分を作ったのは親の働く環境が影響している!?
__幼少期の遊びや体験で好きだったものは?
星さん:小さいころ好きだった本は「金持ち父さん、貧乏父さん」(筑摩書房)、「歯みがきつくって億万長者」(チア・ブックス)。父が弁護士で両方の祖父も苦労しながら一代で会社を作ったという家だったので、幼稚園の頃から会社員になるとは思っていなくて。小学校のときの夢が「社長になる」でした(笑)。遊びに行くときは主に父親と。ゲノムに興味があって日本科学未来館にはよく連れていってもらっていました。
小島さん:私も父が会社を経営していて、夜は比較的早く家に帰ってきて家族でご飯を食べるという家でした。周りの友達の会社務めのお父さんは「平日は帰りが遅くてあまり顔を合わせない」というのを知ってちょっと驚いたのを覚えています。うちは、夏はキャンプにプール、冬は温泉など恒例行事が決まっていて、よく家族で出かけていました。
__どんな子どもでしたか?
小島さん:小さいときはすごく人見知りでした。日記を書いたりするのは好きでしたね。
どちらかというと勉強が好きな子で、親には「勉強しなさい」と言われたことは一度もなく、弟と妹がいたので、それよりも「家の手伝いをしなさい」と…。
星さん:やりたくないことがはっきりした子でした。母が小学校受験をさせようとしたのですが、塾がある駅に着いたら改札で大泣きして、2日目であきらめたらしいです(笑)。
僕、大学まで勉強がすごく嫌いだったんです。
親に感謝していることは「いつでも自分の味方でいてくれたこと」
__どんな家庭で育ちましたか?
星さん:寛大というか、放任主義な家でした。中高一貫校に通っていたのですが、中学で不登校になって。そのときもネットカフェでゲームをしにいくお金はくれていましたから(笑)。
小島さん:大学に行きたいと言ったら「なんで行きたいの?」と。親を納得させないと、そう簡単に思い通りにさせてくれない家でしたね。私も中学のときに学校に行きたくない時期があったんですけど、「いいよ、別に行かなくて」と味方でいてくれて。結果数日で自分から行きましたけど、あのとき無理やり「行きなさい!」と言われていたらもっと閉じてしまっていたかもしれない…。
__親に感謝していることはありますか?
星さん:中学で学校に行かずゲームにハマっていた時期に、ゲームを通していろんな人とつながれたり、自分がLGBTであることをカミングアウトできたりしたので、今思うとあの時間は無駄じゃなかったなと。両親とはいろいろありましたが(笑)、今は自分の仕事を心配しながらも応援してくれています。
小島さん:何をするにも「なんでそうしたいの?」と言われてきたので、人生の選択や仕事をする上でも自分で「なんでそうしたいか」を考える癖がついたことです。
就職しない選択、正直迷いまくった!
__高校や大学、学校選びはどのように決めましたか?
小島さん:英語が好きだったので、留学ができる高校に行きました。その高校でボランティアの部活に入って、そこで衝撃を受けたんです。もちろん海外で異文化を体験することも好きだけれど、私にとっては自分と違う環境で生活している、たとえば近所の養護学校の子どもたちに触れる方が何倍も刺激的だったんです。それに気づけたのが自分の中でのターニングポイントでしたね。その体験で、英語の道ではなく、子どもたちの未来に関わる仕事がしたいと思うようになりました。
星さん:僕は中高大と一貫校だったので、勉強も正直受け身でした。でも、大学2年の先ほどの体験を知ったときに、「やりたいことを叶えるために、きちんと情報学を学びたい」と思って、東大大学院の情報学環に入り勉強しました。
__ずばり、就職しない選択に迷いはなかったですか?
星さん:めちゃくちゃありました。実は就活もして、外資系企業を含む複数社から内定をいただいていましたが、結局辞退したんです。会社の人事の人は泣かれました(笑)。でも、「なぜ辞退したのか、自分の会社に足りなかったのは何か」などオープンに話ができたり、今もいい関係を築かせてもらっていて感謝しています。
小島さん:私はこの仕事をはじめたら大学どころではなくなって。大学を休学するか辞めるかで今も悩んでいます。親も最終的には「任せるよ」と言ってくれています。
__起業して大変だったことは?
星さん:僕は就活中の中途半端な状態がすごく苦しかったですね。今は仕事1本になれてある意味ふっきれたというか、人に会っても一人前に見てもらえるのはすごく嬉しいです。
小島さん:私は休学してから親の仕送りを一切仕辞めたので、経済面は苦しいですね。会社としては軌道に乗りつつありますが、社員全員が安定した生活を送れるようになれるのは大変だなと実感しています。あとは週末に仕事があるので休みがあまり取れないことです。
子どもの好きは才能!たくさん褒めて自信のある子になってほしい
__これからの時代を生きる子どもたちに必要な力とは
小島さん:私はシッターもしているので、幼稚園や小学生と接する機会が多いのですが、自分で考えられる子が少ないと感じていて。「なんでそうしたいか」を考えられる子が増えたらいいなと思います。あと、親御さんの「うちの子なんて…」っていう謙遜は、その言葉のままを受け取って、傷ついている子が多いので要注意。ちゃんと本当の意味も補足してあげてほしいですね。
星さん:親に認められて褒められないと伸びないですよね。僕も褒められて育ってきました。
小島さん:私もそう。もっと子どもたちをたくさん褒めてあげてほしいです。
あと、「ゲームはダメ」とか決めつけすぎるのもちょっと違う気がします。何かに打ち込めるくらいの「好き」ってゲームでもYouTubeでもすごいこと。
星さん:同感です。ゲームを集中してやれるのも才能ですよ。「マインクラフト」「コールオブデューティー」なんかはすごく頭を使うゲームだと思います。
小島さん:ゲームでもYouTubeでも、親子で一緒になって楽しむくらいの余裕があると、その子は伸びると思うんです。
星さん:それと、僕自身言われて苦しかったのですが「男らしくしなさい」とか決めつけないでほしいですね。世の中の価値観に流されない子になってほしいです。
__今後挑戦したいことは?
星さん:今はLGBTの人の就職に関してのサービスですけど、教育や保険などライフイベントに広げられたらいいなと思っています。人生の目標は“自分らしく生きる”。自分が生きているうちに何ができるか、何をすべきか。ドキドキしながら楽しめたらいいですね。
小島さん:子どもたちが、自分のことを好きと思えるようなお手伝いができたらいいなと思っています。部活や学校など狭い世界にとどまらず、視野を広く持ち、“自分の言葉で気持ちを発言できる子”が増えたら嬉しいですね。
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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