アメリカで絶大な支持!セルフコントロール力を養う「123式しつけ」とは?
「ダメと言ったらダメ!」「何度同じことを言わせるの!」毎日こんなセリフを繰り返し、ウンザリしているママやパパも多いのではないでしょうか?できればガミガミを減らし、毎日笑顔で過ごしたいですよね。アメリカで絶大な支持を得ている「123式しつけ」は、子どものセルフコントロール力を養い、「してはいけないこと」がわかるようになるシンプルながら効果的な方法です。今回は、2歳から12歳頃まで使える、123式しつけについて解説します。
目次
セルフコントロール力は「SDGs」達成にも大きなかかわり
2030年までの達成を目指す世界共通の開発目標「SDGs」の1つに「平和と公正をすべての人に」がありますが、これにはセルフコントロール力が大きくかかわってきます。人と人、国と国が力で対立することなく、公正なルールのもと平和に暮らしていくには、セルフコントロール力を養うことが重要です。とはいえ、自分を律することは大人であっても難しく、ましてや幼い子どもができないのも無理ありません。
「123式しつけ」は、シンプルな方法で子どものセルフコントロール力を育てる画期的な方法です。臨床心理学者のトーマス・W・フェラン氏によって発案され、現在ではアメリカの親に広く認知されています。親が感情的になることなく子どもの問題行動をやめさせられるため、親子双方にとって負担が少なく、絆をより深める効果があります。
たったこれだけ!今日からできる「123式しつけ」の5ステップ
123式しつけは、「○○をやめさせたい」というシーンで使えます。実例とともに見ていきましょう。以下は、よくありがちな親子のやりとりです。
子)お母さん、テレビ見たい。
母)まだ部屋の片づけが済んでいないでしょう?終わったら見ていいよ。 ※1
子)でも今見たいアニメがあるから。
母)片づけが終わったらね。 ※2
子)後でちゃんと片付けるから、お願い!
母)ダメ。そういってこの間も片づけしなかったよ。 ※3
子)いいじゃない!ちょっとだけだから!
母)何度同じこと言わせるの。早く片付ければいいだけでしょ! ※4
子)ママはいつもダメばっかりだね!
母)いいかげんにしてちょうだい!毎日毎日!
子)ママのケチ!もう片づけなんてしない!(絶叫)
123式しつけでは、以下のように対応していきます。
1. まず子どもから要求があった時に、どうすべきか1回だけ伝えます。(※1のタイミング)
2. 子どもが諦めずに再度要求して来た際に、「1ね」とカウントします。それ以外は何も言いません。(※2のタイミング)
3. 子どもがさらにしつこく食い下がってきたら、「2ね」とカウントします。子どもの言うことに反応してはいけません。淡々とカウントするのみです。 (※3のタイミング)
4. 子どもがそれでも要求をやめなかったら、そこで「3ね。はい、5分」と言って、子どもを別室へ連れていき、そこで5分過ごさせます。子どもがひとりになれる部屋ならどこでもOKです。 (※4のタイミング)
5. 5分たったら、「はい、終わり」と声をかけてあげて終了です。なぜ3カウント取られたか、何が悪かったかなど説明してはいけません。ごめんなさいを言わせる必要もありません。5分たった後、親は何事もなかったかのようにいつも通りに振舞います。
「123式しつけ」のポイントと注意点
このしつけ方法のメリットは、自分の要求が通らなかったシーンにおいて、子どもが感情や行動をコントロールできるようになる点です。要求が通るまでしつこく繰り返していたのが、カウントを取ることで、「この方法では要求は通らない。じゃあどうすればいいか」と気付き、その場を離れる、違うことを始めるなど、ほかの選択肢を取れるようになります。
また123式しつけでもっとも大切なのは、「親がしゃべりすぎないこと」と「親が感情的にならないこと」の2点です。
この方法では、親がしゃべるのは、ほぼ最初の説明のときのみです。実際やってみると分かるのですが、親はついつい何故だめなのか、どうすべきなのかと子どもに説明しがちです。しかし、子どもは言われなくても最初から分かっていて、無理を承知で要求しているのです。子どもの言うことに耳を貸さずにカウントすることが重要です。
また親は、子どもの要求に振り回されて感情的にならないことが重要です。子どもはいつも親の関心を得ようとしています。たとえ注意される・叱られるというマイナスの行いをされても、無視されたり反応がなかったりするよりも子どもにとってはずっとよいのです。そのため、親が反応すればするほど、子どものわがままは悪化します。
なお、ひとりでいる5分は「罰」というよりも、「落ち着いた自分を取り戻す時間」という位置付けです。テレビやゲームは望ましくないですが、本を読んだりしていてもかまいません。
実践効果は絶大!親はイライラが減りおだやかな気持ちに
3歳と6歳の子どもがいる我が家でも123式しつけを取り入れてみたところ、大きな効果がありました。5分と言われて機嫌が悪くなったのは最初の1回だけ。しかも2回目からは、「1ね」と言われた時点で「わかったー」とすんなり止めてくれるようになりました。ごくたまに3カウントになることもありますが、5分たった後はけろりとした顔で出てくるので、お互いギスギスした雰囲気にもなりません。筆者はこの方法を始めてからイライラが驚くほど減り、おだやかな気持ちでいられる時間が増えました。
セルフコントロール力は、生涯役に立つスキルです。幼いうちから身に着けることができれば、子どもは将来ずっと生きやすくなるはずです。魔法のような123式しつけ、ぜひ試してみてください。
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。