「旅育」で子どもの自己肯定感を高める!冬のおすすめ子連れ旅行スポットもご紹介
年末年始、旅や帰省を考えられている方も多いことでしょう。この機会に、旅を通じて親子の絆を深め、子どもの生きる力を育む「旅育(たびいく)」を実践してみませんか? 旅育コンサルタントの村田和子さんが、家族との旅行の大切さ、旅育実践のヒント、さらにこの冬のおすすめの旅育スポットまで紹介します。
村田 和子 トラベルナレッジ代表
「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに活動する旅行ジャーナリスト・旅育コンサルタント。実体験をもとにした旅の魅力や楽しみ方を年間100以上の媒体で紹介する他、各種講演、宿や地域のコンサルティングを行う。また、旅を通じて子どもの生きる力を育む『旅育メソッド®︎』の発案者であり、『旅育BOOK』(日本実業出版社)など著書も多数。総合旅行業務取扱管理者/販売士一級/クルーズコンサルタントなどの資格も持つ1児の母。
HP(https://www.travel-k.com/)、X(@travel_k)、Instagram(@murata_kazuko)
目次
なぜ今、家族旅行が必要なのか?
教育改革が進む中、先駆的な取り組みとして愛知県や茨城県などでは、平日に家族で出かける際、学校をお休みしても欠席にならない「ラーケーション」の取り組みが始まるなど、旅を通じた「学び」に注目が集まっています。
ここからは、家族旅行のメリットについてご紹介します。
子どもの日常は狭い世界。旅で社会の広さや多様性を感じる
世界中の情報が得られる一方で、リアルな世界では、核家族化が進み、地域のつながりも希薄になっています。
子どもは身近な大人を通じて社会とつながりますが、日常で子どもの周りにいる大人は親御さんや先生など「片手で足りる」ほど。
普段過ごしている日常は、世の中のほんの一部であること、社会は広く、さまざまな考え方の人がいること(多様性)を体感から知る機会が重要であり、旅はその絶好の機会になります。
親も心と時間の余裕ができる旅では絆が深まる
旅では時間や心のゆとりができ、子どもと密な時間を過ごすチャンスです。さまざまな人と交流をすることで、子どもなりに、自分という存在や周りとの関係を考えるきっかけにもなります。
また、育児は長丁場。親御さんも旅で心身のメンテナンスをして、元気に子育てをする英気を養うことも大切です。親子で過ごした楽しい旅の思い出は、子どもの心の安定につながり、親子の絆も深まります。
子育ての1つの方法として注目される旅での学び。より学びを大きくするために、親が心掛けたいことや、提唱する「旅育メソッド®︎」について順に紹介します。
家族旅行(旅育)で大切な3つのこと
その1 「どこへ行く」より「何をする」を大事に
家族旅行では、「どこへ行くか?」より「何をするか?」が大切です。電車で数駅、あるいは車で30分の近場でも、子どもにとっては非日常。好奇心が刺激され、「なぜ?」「なに?」という疑問を大事にすることで探究する力も育めます。
やってみたいことを親子で話し「やりたいこと×地域」で検索をしてみましょう。意外と近場でもさまざまな体験ができることも多くあるはずです。
その2 子どもとはフラットな関係を意識する
親子の縦の関係ではなく、子どもと「旅仲間」として対等に接するように心掛けましょう。例えば「〇〇しなさい」ではなく、「〇〇をしてもらえる?」と声をかければ、子どもの反応も変わります。対等に接し信頼して任せることで、自主性も芽生えます。
その3 親御さん自身が楽しみ、学ぶ
「子どもに学ばせよう」とするのではなく、親御さん自らが、好奇心全開で旅を楽しみ、学ぶ姿を見せることが旅育への近道です。子どもは親の姿を真似るもの。子どもにこうあってほしいと思うのなら、まずは自ら実践しましょう。
旅育実践!旅育メソッド®︎の5つのポイント
旅そのものが、子どもの好奇心を刺激し学びの場となりますが、大切なのは親御さんの働きかけ。旅での学びを大きくするコミュニケーションのヒントである「旅育メソッド®」を、ポイントとともに紹介します。ぜひ、できそうなものからチャレンジしてみてくださいね。
メソッド1 旅の計画や準備は子どもと一緒に
連れていかれる旅ではなく、自分が関わった、行きたい旅にすることで、旅での学びも大きくなります。「旅育」では、旅に出る前がとても大切です。地図を見ながら、旅の行程を一緒に確認することで、出発前から親子でワクワク感も共有できます。
メソッド2 役割や目標を設定、褒めて成功体験に
子どもが意識して行動をすることが大切です。役割や目標は小さなことでOK。頑張りを認め、ほめることで「できた」という成功体験となり、その積み重ねが自己肯定感を高めます。未就学児、小学校低学年なら、社会のマナーや自分の身の回りのことを目標に始めましょう。
メソッド3 旅先では家族それぞれで過ごす時間を作る
初めての環境で過ごすことは、大きなチャレンジ。短時間でも大きく成長します。その間に親御さんも自身のリフレッシュを! 再び家族が集うと、自分の体験を伝えあい会話も弾み、子どもの表現力も鍛えられます。子どもだけで過ごすのが難しい場合には、家族で分かれて過ごす時間を持つのもいいですよ。
メソッド4 本物に多く触れ関心の芽を育む
非日常の旅では、子どもの好奇心が刺激され、新たな興味関心、あるいは才能を見つけるチャンス。「知ること、学ぶことが楽しい」と思えることは、変化が激しく学び続ける必要がある今の時代、大きな力になります。
メソッド5 思い出を「かたち」にして記憶に残す
ふり返る機会を持つことで記憶に深く刻まれます。たとえば旅先で作ったものや、印刷した写真などを家で飾れば、見るたびに旅の光景や頑張りを思い出し、日常にもプラスに働きます。
詳細は拙著『旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ』(日本実業出版社)で解説しています。ご興味ある方は、ぜひ参考にしてみてください。
この冬行きたい旅育スポット
視点を変えて3つのテーマで紹介します。
・冬ならではの自然を体感するスポットへ
季節限定の自然体験は、旅育の王道テーマになります。北海道の「星野リゾート トマム」は、スキーやスノーボードなどウィンタースポーツが人気のリゾートです。イチオシはマイナス10度以下になる寒さを活かした、幻想的な氷の街「アイスヴィレッジ」。
氷の滑り台や雪や氷でできたドームには、「氷の郵便屋」や「氷のBar」などもあり、体感型で自然の神秘に触れることができます。また、ゴンドラでアクセスできる標高1,088mのトマム山には霧氷テラスがあり、空気中の水蒸気や霧が樹木などに着きキラキラと輝く絶景を楽しめます。
星野リゾート リゾナーレでは、子どもがミッションをクリアしながら周れる旅育プログラムも開催中。
・沖縄で自然や文化を体験する
冬の沖縄は、本州の春の陽気で過ごしやすく、お子さま連れで観光や体験をするのなら、断然夏よりおすすめです。人気の美ら海水族館を訪れたり、沖縄ならではの伝統文化や、食文化を楽しんだりするのもいいですね。
沖縄本島にある「ルネッサンス リゾート オキナワ」には、ホテルで飼育されているイルカや海の生き物とふれ合う自然体験から、持続可能な未来に向けてできることを考えるプログラム「SDGsアドベンチャー」やクマノミ号船長体験やエイサーチャレンジといった「お仕事体験」のプログラムもあります。
また沖縄の離島は、手つかずの自然が魅力。特に石垣島近辺には石西礁湖 (せきせいしょうこ)という世界有数のサンゴ礁があります。シュノーケルで美しいサンゴや魚を眺めれば、SDGsなど自然環境への関心も高まります。
・日本で海外文化を体感する
円安などの影響で海外旅行のハードルが高い今、日本で海外を味わうのもよいでしょう。福島県にある「スパリゾートハワイアンズ」は、年中28度の常夏リゾート。魚を眺めながら泳げるプールや、ハワイアンミュージックの生演奏、本格的なフラダンスやファイアーナイフダンスのショーも楽しめます。
ショーには小学生以下の子どもがステージに上がり、ダンサーと一緒に踊るコーナーも! 誇らしげな姿は、忘れられない思い出になるはず。ハワイでは女性の正装であるムームーやアロハの館内着やポリネシアン料理など、五感でハワイを感じられます。
幼児期の旅育は五感を磨き、情操教育を育むよい機会でもあります。
お子さまと過ごすこの時期ならではの体験のヒントにしていただければ幸いです。
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