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子育て

命を大切にする子に育てる、幼児期からの心の育み方

命を大切にする子に育てる、幼児期からの心の育み方

ある調査によると、夏休みなど長期休暇明けに自ら命を絶つ18歳以下の子が突出して多いようです。

いかなる理由があっても、「命はかけがえのない、尊いもの、自ら命を絶つことは絶対にいけないこと」です。家庭や教育の現場でも指導されていることですが、いくら知識としてそれらを教えられても、「かけがえのないものだから、大切にしよう」「尊い命だから、大事にしよう」という気持ちが芽生えていなければ効果は薄いでしょう。

それらを実感させるのは、幼児期、学童前期の家庭での心の育み方が特に重要になってきます。親はどのように関わっていけばよいのでしょうか。

バーチャルの世界を身近に感じる今の子は「死」の実感がより困難

幼児にとっては、「死」と「寝ている」「目の前からいなくなる」「永遠の別れ」などの違いをきちんと理解するのは、まだ難しいかもしれません。

またゲーム機の普及で、簡単に人が死に、リセットすれば簡単に生き返る、というバーチャルの世界を身近に感じている今の子ども達は、さらに「死」というものをきちんと実感できない子が多くなってきています。

今の時代、「ゲーム機に全く触れさせず、子どもを育てましょう」とは言えませんが、できれば、自然に触れて遊ぶ時間を長くし、ゲームの時間を短くしたいものです。

自然の中で生き物の死に出会った時は、「命の尊さ」を教えるチャンス

自然の中で遊んでいると、うっかりダンゴムシを踏みつけちゃった、というような経験はあるでしょう。その時、命への理解や心が育まれていないと、「面白い」と、さらに踏みつけるような行動に出る子もいます。

このような場面を見れば、命について教えるチャンスだと思ってください。

お説教をするのではなく、「命」について心に何かを感じさせる会話を交わす方が子どもの心には響くでしょう。

たとえば、こんな感じです。

「このダンゴムシ、お母さんダンゴムシだったのかしら?」
「きっと、子ども達が家でお母さんの帰りを待っているね」
「『お母さん、遅いな、遅いな、まだ帰ってこないのかな……』って、きっと泣いているかもしれないね」

と、母を想う子どもの気持ちを感じさせる話をしてみましょう。

もし、子どものダンゴムシだとしたら、
「お母さんが家で、『子ども達、まだ帰ってこないのかしら?どうしたのかしら?』って心配してるね」
「ご飯用意して待っているかもしれないね、もう帰って来ないとわかったら、お母さん、凄く悲しむね」

と、子どもを思う母の気持ち感じさせる会話を交わしてみましょう。

身近な人の死に触れた時「死」について考えるきっかけを与える

また、祖父母や身近な人の死に遭った時、弔いとともに、自分の命は多くの人の命をつないで、「頂いたもの」である、ということを説明してあげましょう。

お父さんとお母さんからあなたが生まれてきたこと、そのお父さんとお母さんは、それぞれのおじいちゃんとおばあちゃんから生まれてきたこと、誰一人欠けても、今のあなたが存在しないこと。

幼児には少し難しいかもしれませんが、限りある命を考えるきっかけになれば良いと思います。

何でも話し合える関係を作っておく

普段の生活の中で、草花に水をやり大切に育てる、飼っているペットを可愛がるなど、命あるものへの接し方で、子どもも命の大切さを学んでいきます。

「命の尊さ」を教える指導の方法に、明快な答えはありません。ですが、日常の生活の中で、家族で命あるものを大切に扱うことや、命に触れて親子で考え、話し合う時間を持つこと、それによって何でも話し合える関係を築いておくことなどが、「かけがえのない命」を大切にする心を育むことにつながるでしょう。

著者プロフィール
田宮 由美

公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA

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