心理学から見たトイレトレーニング「スタート時期はいつが正解?」
“トイレトレーニング”と聞いて、ワクワクするママはきっといないでしょう。きっとほとんどの方が、「大丈夫かな……」と不安に感じてしまう、それがトイレトレーニングです。でも恐れることはありません。大事なのは、「いつ始めるか」という見極めです。トイレトレーニングが子どもの心理発達と密接に関係していることが分かると、その時期が判断しやすくなります。早速、お伝えしていきましょう。
目次
「2歳だから」「夏だから」トイトレのスタートはそれでいいの?
ママがそろそろトイレトレーニングを始めようと判断するきっかけとなるのが、
●年齢
●季節
一般的に2歳くらいになったら、「よし今回の夏にやろう」と決意するママが多いようです。「周りが始めたから、うちもやらなくちゃ」という方もいらっしゃいます。しかし、トイレトレーニングにおいて、もっとも気にかけてあげなくてはいけないのが、子どもの心の発達部分。
ご存知の通り、トイレトレーニングの時期は、イヤイヤ期とバッチリ重なります。
「イヤイヤ期と重なるから、ホントやりにくい……」
そう感じるママも多いと思いますが、子どもの心身の成長を見ると、トイレトレーニングがイヤイヤ期とかぶるのは必然的な流れでもあるのです。
トイレトレーニングとイヤイヤ期はバッティングして当然!?
「イヤイヤ期」というネーミングが先行しているため、この時期は、子どもが何でも「イヤッ!」と抵抗する時期なのだと思っているママもいるかもしれません。しかし、心理学的な観点から言えば、この時期の第一の目的は、「自立」をすること。
●何か新しいことをマスターしたい
●何でも自力でやってみたい
●制限やルールのギリギリまでプッシュしたい
●パパやママに「うん」と言わせたい
こうやって、子どもたちは、自分の腕試しをしながら、自立を促していきます。そのオマケとして出るのが「イヤイヤ」です。心の中で起こる「自立」は外に見えにくい一方、「イヤイヤ」は否応なく突き刺さってくるので誤解されがちですが、この時期のメインは“自立”であって、イヤイヤはあくまでサブ、大事なポイントです。
ここで改めて「2~3歳は自立促進期」という観点から、トイレトレーニングを見てください。「おしっこが1人でできること」は、これ以上ないほどの立派な自立行為です。子どもたちは、イヤイヤ期における自立のプロセスの中で、トイレトレーニングに挑んでいくというわけです。トイレトレーニングとイヤイヤ期を別枠で考えずに、「自立促進期」の大枠のプロセスの中に、イヤイヤ反応があり、トイレトレーニングがあると捉えると分かりやすいと思います。
絶好のタイミングを見極めることがスムーズなトイトレにつながる
イヤイヤ期の子は、意思がとてもはっきりしています。ママから、「〇〇しなさい」「〇〇はダメ」と言われるのが大嫌いで、何でも、「自分で決めたい」「自分でやりたい」のが特徴です。だから、親がトイレトレーニングの時期を一方的に決めてしまうと、上手くいかないことがよくあります。
親子ともにストレスに感じずに進めるコツは、子どもの行動パターンから、その開始のタイミングを見計らう方法です。
お子さんが、
●おまるに座りたがる
●おまるのことを話題に出し、抵抗がない
このようにおまるやトイレに対し、積極的な姿勢を見せる場合は、スタート時期としていいサイン。おまるをマスターしたい気持ちに便乗してしまうことで、トレーニングがスムーズに進む傾向が高くなります。
逆に、
●おまるの話題を出すと嫌がる、避ける
●オムツを取ろうと持ちかけると泣く
このような場合は、無理にスタートしても、こじれるのが目に見えているので、少し時間を空ける方が賢明です。無理にスタートして、おまるを見るのもイヤというトラウマ状態になってしまうと、のちのちのトライにも影響を及ぼしますので、いったんおまるを見えない所にしまいましょう。
スタート時期を見誤ったり、ママが独断で判断してしまったりすると、トイレトレーニングは長引いてしまうことがよくあります。そのタイミングが来たら、一気にやるという短期集中型がおすすめなので、待つことも大事なプロセス。その子の心の成長をしっかり見て判断してあげることで、ママにとっても、お子さんにとっても、トイレトレーニングはグンと楽なものになります。
育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/