幼児期の知育遊びが子どもの学力に影響する!トイサブ!×中室牧子教授の共同研究結果でわかったこと
慶應義塾大学の中室牧子教授(以下、中室先生)と、未就学児向け知育おもちゃサブスクレンタルサービス「トイサブ!」が、幼児期の知育遊びが子どもに与える影響を共同研究。その結果、知育玩具が将来の学力向上にも関係するとの調査報告が出ました。
そこで、研究担当者である株式会社トラーナの志田典道さんに、子どもに知育玩具を与える時期や選ぶポイント、さらに親が園選びでチェックしたい知育玩具についてお話を伺いました。
目次
3~4歳の間に知育玩具で遊んだ子は小2の学力で差が出る!
__中室先生と共同研究に至った経緯を教えてください。
近年、幼児教育の質への関心が高まる中で、知育玩具が幼児期の子どもの成長・発達にどのように影響していくのかが注目されています。
そこで、“教育には科学的根拠(エビデンス)が必要”と、教育と成果の間の因果関係を明らかにする研究を行う中室先生にご依頼しました。
__今回の研究で分かった知育玩具の効果について教えてください。
【実験内容】
練馬にあるライクキッズにじいろ保育園(14園・28クラス)の3、4歳を対象に、中室先生と選定した知育玩具を、保育活動の中で遊ぶ子と遊ばない子を1年間、研究員が定期的にモニタリング調査しました(不平等がないよう、非対称グループの子は研究後の1年間で遊んでもらっています)。
その結果、積み木やごっこ遊び、数を使う遊びなどの発達に合った知育玩具で遊んだ子たちが、遊ぶ前と後でエカーズ3(※)という指標スコアが、平均50とすると6.13~6.84%上昇しました。
※エカーズ3(ECERS-3)は、保育の質を数値化する国際的に認められた評価ツールであり、子どもを育てる環境の質を客観的に評価できる指標です。
中室先生のこれまでの研究と今回の研究結果で、以下のようなことがわかりました。
・発達に合った知育玩具が、子どもの「ものごとに対して夢中になる力」「学びに向かう力」を育み、保育の質を高める可能性がある
・3~4歳の時期にエカーズ3の活動スコアを上げておくと、小学2年生のタイミングで学力によい影響が出始める
・幼児期に小学校の勉強を先取りするような教育は、かえって逆効果になりかねない
__今回の研究で3~4歳が使用した知育玩具で意識したことはありますか?
3~4歳の発達を踏まえて、今回意識したのは、
・数の理解
・自然科学の理解
・文化多様性の理解
が得られる知育玩具です。今回中室先生と選んだ知育玩具は以下になります。
たとえば下段左から2つめの「MathLink Builders」は、各面に切り抜きがあり、縦横奥行きすべての面を繋げることができるカラフルなキューブ型ブロックです。
これは、足し算、引き算にもつながる“数の概念理解”を助ける知育玩具で、馴染みあるブロック遊びを楽しみながら、上述の「数の理解」に貢献します。色ごとにわけたキューブを積んでかけ算の初歩を学んでもよいでしょう。
先取りは要注意!知育玩具選びのポイント
__知育玩具の選び方のポイントを教えてください
知育玩具は、与える時期と、やってみようという環境がとても大事です。中室先生も、最適な環境は「先取りではなくて今を切り取ること」だとおっしゃっており、知育玩具の先進国であるアメリカでは、子どもの成長・発達・学びには順番があるという「チャイルドデベロップメントマイルストーン 」の考えが一般的です。
つまり、1個飛ばしするのではなく、その子のタイミングで順番に選んでいく必要があるということです。
※アメリカの知育玩具に関してはこちらの記事もご覧ください。
・「STEM」から「STREAM」へ。2017年のアメリカ最新知育玩具トレンドレポート!
__子どもに新しい知育玩具を与えるタイミングを教えてください。
0~2歳の乳幼児はすぐに飽きたり、せっかく買っても見向きもしないなど、今ハマる知育玩具を見つけるのは簡単なことではありません。
ですから、トイサブ!では、その子が今どんなことに関心があるのかをヒアリングしながら、その子にとって最適な玩具を定期的にお届けしています。
新しい遊びにステップアップする目安としては、個人差はありますが
・0歳児は2~3ヵ月に1度
・1歳児は3~4ヵ月に1度
・2歳児は4~6ヵ月に1度
と言われています。
トイサブ!では国内外のメーカーが定めた基準に基づき、知育のプロであるおもちゃプランナーが、発達や興味関心に合わせた知育玩具を選んでいますが、日本のST基準は海外のCE基準より安全基準が厳しいので対象年齢は高めに設定されている場合があります。
同じ1歳児でもその子によってできることや楽しいことが異なります。対象年齢はあくまで参考程度と考え、お子さんの反応に注目して選んでみましょう。
※トイサブ!に関してはこちらの記事もご覧ください
・2022ベストトイアワード&2023年の知育玩具のトレンド大予想!
__同じ知育玩具でずっと遊んでいてもよいのでしょうか?
トイサブ!でも1年間同じ知育玩具を借りっぱなしという方も少なくありません。幼児期はできる遊びで自信を高めていますから、ハマる玩具は無理に取り上げる必要はありません。
ただ、別の知育玩具も定期的に入れ替えておくと、ある日突然遊ぶようになったりします。1つ言えるのは「最初に手に取るものと長く使うものは違う」ということです。
子どもはたとえ赤ちゃんでも、自分で遊ぶ知育玩具を取捨選択しているのです。
0~3歳、年齢別おすすめ知育玩具
__具体的に、どのような知育玩具がよいのか、おすすめを教えてください!
以下、トイサブ!が推奨している年齢別の知育玩具一例をご紹介します。
詳しくはこちらのサイトをご覧ください!
0歳ごろ
握る、叩く、倒す、押す、追いかける、など単一行動による相応反応の学習及び体の動かし方を学習できるものを選びます。
1歳~2歳ごろ
積む、挿す、開ける、投げる、振り下ろすなど行動に伴う因果がわかりやすいもの、指先・手足の動かし方を学習できるものを選びます。
3歳ごろ
組む、記憶する、展開を考える、規則性を見出すなど思考の結果による行動を促し、反復及び記憶学習の基礎理論を作り上げるもの。幼稚園の入試対策としても役立ちます。
保育園選びでは知育玩具もチェックを!
__保育園選びの際、知育玩具や設備でよい園かどうか見極めることもできますか?
私は仕事柄、日本国内の多くの保育園を訪れていますが、保育園は運営会社の方針によって予算の使い方が異なります。人員(人)にお金をかける園と遊具や知育玩具など設備にお金をかける園があるのです。
見学に行った際は、ぜひ先生に「保育の質を高めるためにどんな遊びや向き合い方をしていますか?」と聞いてみてください。
いくら置いてある遊具や玩具が素晴らしくても、「正しい遊び方をしていない」「新規開設時は充実しているけれど、2~3年経っても玩具が更新されていない(予算が取られていない)」という園もあります。
見た目がきれい、家具がオシャレといった設備よりも、“子どもとどんな向き合い方をしているか”にも注目してみてください。
※知育玩具についてはこちらの記事もご覧ください。
・東大卒ママたちが使ってよかった!【知育玩具】と【年齢別の遊ばせ方】
・自宅学習のこの機会に!ボーネルンドの算数脳を伸ばす世界の知育玩具とは?
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SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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