ステイホームも充実!親子でチャレンジしたい食文化豊かなNZの伝統料理
新型コロナウィルスは世界中で多くの感染者と犠牲者を生み、残念ながら依然として収束の様子は見られません。このウィルスの流行により、人の移動や娯楽が制限されたり、仕事のあり方が見直されたりと、私たちの生活は大きく変わりました。
しかしながらどんな状況下でも、「食べること」は生きるうえで決して切り離せない大切なものです。
ニュージーランド(以下NZ)ではコロナによるロックダウン中、「おうち時間」を充実させようと「親子クッキング」が流行しました。そのときのようすやNZの伝統料理などについてお伝えします。
目次
ロックダウン下のNZではスーパーの買い物に長蛇の列
NZでは3月下旬より、約2か月のロックダウンが実施されました。食料品や医薬品といった生活必需品の購入以外の移動は禁止され、エッセンシャルワーカーを除き就業も禁止されました。
大手スーパーのみが営業が許可されていたため、買い物には長蛇の列ができました。人々は1度に大量に買い込むため一部の商品では欠品が続出。最初にトイレットペーパーやハンドサニタイザーなどの衛生用品がなくなり、次に小麦粉が姿を消しました。
その後、パンやピザ作りには必需品のイースト菌やベーキングパウダーも姿を消すなど、一時期は混迷を極めました。
この期間中はほとんどの人が自宅で過ごすことを余儀なくされたため、ガーデニングやDIYに凝る人も多かったのですが、多くの家庭では「親子でクッキング」をする姿が見られました。
レストランなど外食産業が軒並み閉店しているなか、毎日の食事作りは憂鬱になりかねない家事だったといえます。ただ、この危機をチャンスとばかりに多くの家庭が子どもと一緒に料理に取り組み、普段の生活ではなかなか学べない「食の大切さ」を知るよい機会になりました。
豊富なNZ素材を使った伝統料理・デザートの歴史とレシピ
NZは実に豊かな食文化を持っています。その理由として、自給率が300%にのぼる農業大国なうえ海に囲まれて海産物も豊富という地理的条件に加え、世界各国からの移民が住みさまざまな料理が味わえることなどが挙げられます。
ここではNZを代表する伝統料理やデザートの歴史とレシピを紹介しましよう。
フィッシュアンドチップス
衣をつけた白身魚とジャガイモを揚げたフライ料理です。NZは多くのイギリス系移民が入植して国の礎が築かれたため、本国イギリスでよく食べられていたフィッシュアンドチップスは手軽な料理として現在でもとても人気があります。
どこの町に行っても、フィッシュアンドチップスを売る店を必ず見かけます。
NZの先住民族であるマオリ民族の人々はクマラ(さつまいも)を非常に重用していました。クマラも人気のある食材で、ジャガイモのチップスだけでなく、クマラチップスが売られているのもNZならではの風景です。
(レシピ・材料)約4人分
材料:白身魚(タラなど)4~5切れ・ジャガイモ適量・小麦粉100g・重曹小さじ4分の3・ビール150ml
① ジャガイモは切って水にさらします。白身魚は食べやすい大きさに切り、下味(塩・胡椒)をつけたあと、小麦粉をまぶしておきます。
② 揚げ油を温め、ボールに小麦粉・重曹を混ぜ合わせておきます。
③ ②のボールにビールを入れ、もったりとした衣をつけます。
④ 油が適温になったら、③の衣をまぶした魚を揚げます。芋はそのまま揚げましょう。
⑤ 塩コショウやケチャップをお好みで添えてでき上がりです。
パプロバ
NZの定番デザートといえばパプロバで、NZではクリスマス時期に食べる習慣があります。泡立てた卵白にコーンスターチを加えて焼き、果物や生クリームで飾って食べます。小麦粉を使っていないので食感が軽く、いくらでも食べることができる不思議な味です。
メレンゲを焼いて作るという製法上、湿気やすく日持ちしないため、カフェなど外出先ではなく「家庭で楽しむ」代表的なデザートといえるでしょう。
ちなみに、このパブロバという料理の名前は、1926年にNZを訪れたロシア人バレリーナのAnna Pavlobaに由来しています。彼女がホテルを訪れた際に、当時の料理長が彼女の衣装のチュチュを模してメレンゲを焼き提供したことから話題になり、国内で広まったそうです。
そういった裏話もしながら、ご家庭でお子さんと作ってみてはいかがでしょうか。
(レシピ・材料)3~4人分
卵白3個分・コーンスターチ大さじ1・レモン汁小さじ1・砂糖100g
飾り用として生クリーム・季節のフルーツ(苺やキウィ・ブルーベリーなど甘酸っぱいもの)
① オーブンを130度に温めておきます
② 卵白を泡立てます。砂糖を2~3回に分けて入れ、しっかりと角が立つまで泡立てましょう。
③ レモン汁とコーンスターチを入れて、さらに泡立てます。
④ メレンゲができたら、スプーンですくって天板に載せ円形に広げます。薄くなりすぎないよう気をつけましょう。
⑤ 130度で60分焼きます。
⑥ その間に、生クリームと飾りの果物を用意します。
⑦ 焼き上がり、荒熱がとれたら生クリームや果物をトッピングし、でき上がりです。
親子クッキングのメリットは?
ロックダウンや外出制限によりNZだけでなく多くの国で親子クッキングが盛んになったようですが、親子で料理することには大きく分けて2つのメリットがあると思います。
座学では学べない力を育む
材料や調味料の量を計ったり、食材を炒めたり揚げたりする経験や感覚は、座学では学べません。物質の量的な感覚を知ることや、料理する過程で食材が変化していくようすを実体験することは、テストでは測れない「目に見えない力」を育むきっかけとなります。自分で作り食べるという豊かな体験は、子どもの感性を育むのに役立つのではないでしょうか。
フードロスなど食品を取り巻く環境について学ぶきっかけとなる
実際に食事を作る経験を通して、料理にはたくさんの手間がかかっていることを子どもは実感します。その一方で、たくさんの食品が先進国では毎日廃棄されていたり、途上国では飢餓にあえぐ人がいることなどを伝えることで、普段の生活ではなかなか触れることのできない問題について一緒に話し合えるきっかけとなるでしょう。
まとめ
退屈と思いがちな自粛生活ですが、親子でクッキングに取り組むことで有意義な時間に変えることができるかもしれません。今回ご紹介したレシピはどちらも簡単なものですので、親子でNZの歴史について話しながらぜひ調理と食事を楽しんでみてください。
執筆者/加藤 海里
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。