上の子と下の子、ママがバランスよく関わるコツとは?
一人っ子のうちはいいですが、子どもが2人以上になると、どうしても上の子のスケジュールに合わせたり、下の子を守ったりという場面が出てきます。
「お互いさま」「仕方ない」とする向きもありますが、ここではできる限りバランスよく関わる方法について、Q&Aでお答えしていきます。
目次
Q.上の子の付き添いばかり、なんだか可哀想……、どうしたらいい?
A.上の子の予定に合わせて下の子が一緒に動く、非常によくある光景です。
・お兄ちゃんの幼稚園のお迎えがあるから、お昼寝もままならない
・お姉ちゃんの習い事で、しょっちゅう車に乗せられている
一人っ子時代を経験していない下の子は、生まれたときからこのようなペースで日々を送っているので、そんな状況にすっかり慣れっこかもしれません。むしろ、ママの方がその状況を気にして、「可哀想だな」「我慢させてごめんね」と思っていることが多いようです。
まずやってはいけない対処法として、次のような事例が挙げられます。
・今、お昼寝しているから、そのまま寝かせて、お兄ちゃんを送ってこよう
・10分だけ留守にするくらいなら大丈夫。テレビを見せておこう
のように、下の子を連れていかずに、家や車などに置いたままにしてしまうケースです。
下の子のペースを守りたいあまりに、1人にしてしまうのは、やはり危険。何か起こってからでは遅いので、これは避けなくてはいけません。
おすすめなのは、下の子を主役にした時間を設定してあげること。上の子を送ったあと、ママと下の子だけになった時間をうまく活用したり、別の日に下の子メインの会を設定してあげたり……。子どもが喜んでくれるのはもちろんのこと、ママが感じている「不平等感」の解消にもなるのでおすすめです。
Q.「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」は言っていいの?
A.上の子が我慢して下の子は守られる、こういう状況は多いもの。特に、兄弟の年齢差があったり、下の子がまだ小さかったりする場合に起こりがちです。
上の子からすれば、
「お姉ちゃんなんだからって我慢ばかりで不公平だ」
「弟はいいな。泣けばなんとかなる」
「私は損している! ママは妹ばっかりに甘い」
と思っていたりします。
「お兄ちゃんなんだから」「お姉ちゃんなんだから」、たしかによく使ってしまう言葉です。しかしこれを、我慢させる状況ばかりで使うと、子どもは「割に合わない」「理不尽だ」と感じやすくなります。
おすすめなのが、いい場面でもこのフレーズを積極的に使っていくことです。
たとえば、
「さすがお兄ちゃん、〇〇もできるのね」
「やっぱりお姉ちゃんは頼りになるわ。とっても助かっちゃった」
などです。そうすることで、「割に合わないこともあるけれど、いい思いもしている」と気持ちを相殺しやすくなります。
Q.暇さえあれば、兄弟げんか、どう対処したらいいの?
A.兄弟げんかの原因はさまざまですが、一般的に、どちらかが極端に悪いというケースよりも、ささいなことがきっかけだったり、どっちもどっちと言える発端だったりすることが多いようです。
明らかにどちらかが悪い場合は、しっかりと叱ってあげる必要がありますが、どっちもどっちの場合は、何より大事なのはクールダウンさせることです。
夫婦喧嘩にもいえることですが、火種はいったん大きくなると、どんどん飛び火し、しまいには収拾がつかなくなってしまいます。こうなってしまうと、ママが割って入ることが困難になりますので、その前段階で仲裁に入りましょう。白熱する前であれば、両者の言い分を聞き、折衷案を提案することで収まることもあります。
すでに熱くなってきていれば、何よりも距離を置くことです。物理的に喧嘩ができないような距離を作ってしまうのです。
どちらかの味方をする形で、「ほら、ママのところにおいで」とすると、もう片方がすねる原因となりますので、お兄ちゃんは子ども部屋へ、弟はパパママの寝室へ、のようにママと三角形を作るのが望ましいです。
注意したいことは、そこに、「お仕置き」のニュアンスを盛り込まないことです。「悪い子はここに入っていなさい!」というやり方では、子どもの反感を買うばかり。
「ほら、熱い熱い。いったんストップしよう」とお互いをクールダウンさせることが目的です。だから、各自部屋で好きなことをやっていてOK。そもそも兄弟げんかは、仲がいいあまりにちょっかいを出してエスカレートしていくことが多いので、深刻に捉えずに、その熱を冷ますことを優先させましょう。
Q.上の子と下の子の好みが全然違う、どうすればいいの?
A. 同じ親から生まれてきても、子どもたちの個性はそれぞれ。特に年齢差があったり、兄妹、姉弟など男女の違いでも、求めるものが違います。
たとえば、
・外出先で、お姉ちゃんはハンバーグ、弟は回転ずしが食べたい
・お兄ちゃんは仮面ライダーショーに行きたい、妹はプリキュアのショーに行きたい
など。こういうとき、親は困ってしまいます。
対処する際に大切なのは、親は常にフェアであろうとすること。望ましい対処法としては、
1.両方の望みを叶える工夫をする(パパとママで分担する、土日を1日ずつ使う)
2.両方の折衷案を考える(両方のいいとこどりをする)
しかし、これが上手くいかないこともあるでしょう。フェアにならないのであれば、どちらも見送るという選択もありです。ただ、見送るという決断を、親が一方的にしてしまうと子どもたちは納得できないので、一緒に巻き込んで決めるのがベターです。
たとえば、
「ハンバーグ屋さんでもなく、回転ずしでもないけれど、フードコートで好きなものを食べよう。それがイヤなら、このままお家に帰る。どっちがいい?」
親として、子どもの言い分に耳を傾けることは大事ですが、いつもいつもそれが叶うわけではないということを伝えていくのも親の仕事。成長とともに、その経験が協調性へと発展していきます。
育児相談室「ポジカフェ」主宰&ポジ育ラボ代表
イギリス・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。ポジ育ラボでのママ向け講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポート。2020年11月に、ママが自分の心のケアを学べる場「ポジ育クラブ」をスタート。著書に「子育て心理学のプロが教える輝くママの習慣」など。HP:https://megumi-sato.com/