「習い事」何をいつまで続ける?習い事の「やめどき」問題
最近は、子どもの習い事が非常に多様化し、習い事の種類も増えてきています。運動系、音楽芸術系、学習系…と、あれもこれもと習い始め、「気づけば1週間習い事でスケジュールが詰まっている」というご家庭もあるのではないでしょうか。小学生になると習い事の内容もレベルアップし、時間や曜日の変更があり、各種調整や見直しに迫られることもあるでしょう。
ではこのような場合、どのように習い事を取捨選択していけばよいのでしょうか。習い事をやめる時期やNGなやめ時、やめる時のマナーなど、習い事を取捨選択する判断基準とあわせて説明します。
目次
習い事をやめる時期の見極め方
1、習い事が多すぎ、全てが中途半端
「子どもが習いたいと言ったから」「学校の授業で新しく導入される教科だから」など、あれもこれも習い始めているうちに、ドンドン増えて、どれも中途半端になってきていると感じたら、何かを減らすことを考えた方がよいでしょう。
2、時間帯や曜日が変わり調整が必要
新年度を迎えた時や、習い事がレベルアップした時など、時間帯や曜日が変更されることがあります。その結果、他の習い事との調整が必要となり、取捨選択を迫られることもあるでしょう。
3、親の経済的負担が超過
気がつけば、子どもの習い事に要する費用が大きく膨らんでいることがあります。「子どもの為だから、少々お金がかかっても…」という親の気持ちも分かりますが、やはり家計を大きく圧迫し始めると、将来において困ったりすることも出てきます。中には、習い事にお金を費やし、高校、大学といった時期、学費資金が不足、という話も聞いたことがあります。きちんと家計を見直し、子どもの習い事に費やせる金額を考え、それを超えた時は習い事を見なすことを考えましょう。
4、指導者や方針の変更
新年度になり、レベルアップした時など指導者が変わることがあります。中には、新しい先生と相性が合わなかったり、指導者が変わらなくても、レベルアップして行くうちに方針が違ってくる場合もあるでしょう。そのような時は、その習い事を見直しても良いと思います。教室の移転や物理的な問題で、通い辛くなった場合も、同様に見直しを考えてもよいでしょう。
習い事をやめるNGな時期
その習い事に飽きて、子どもが「やめたい」と言い出した時、本人のやる気が失せたのですから、「やめどき」のように思えますが、安易にやめさせるのは、少し考えましょう。なぜなら、「習い始めた→イヤになった→やめる」では、やめ癖がつくことが懸念されます。子どもが「習いたい」と言ったにも関わらず、「やめたい」と言った場合、理由を丁寧に聴いて、少し休ませて再度考え直すなどの対応を取った方がよいでしょう。
できれば、習い始める時に、「1年間は続ける」「1級を取得するまでは頑張る」など目標を決めておくことをおススメします。
習い事の取捨選択の主な判断基準
では、習い事を取捨選択しなければならない時、どのよう基準で判断すればよいのでしょうか。
1、楽しそうに通っているか
習い事について楽しそうに話したり、その日を心待ちにしている様子が伺えるか、憂鬱そうな顔で仕方なく通っている様子が見えたら、やめる候補として考えましょう。
2、意欲的に取り組んでいるか
習い事の様子を見学し、先生の話を真剣に聞いているか、自宅で予習や復習練習が必要なものはきちんとしているかなど、意欲を持ってその習い事に取り組んでいるか。楽しそうに通っていても、遊び半分になっていて先生の話も聞いていないようでしたら、やめる候補に入れましょう。
3、上達が見られるか
意欲を持って楽しそうに通っていれば上達していくものなのですが、それにも関わらずスキルアップが見られなければ、継続するかどうか考えてよいでしょう。ただし子どもが「続けたい」と言った場合は、一方的に「いつまで経っても上達しないじゃあないの!もう、やめなさい!」ではなく、子どもの続けたい理由を聞き、「どうしてもやめたくない」と言った場合、期限と目標を決めるといいでしょう。例えばスイミングの場合、「3ヵ月後のテストの時、クロールが合格すれば続けよう!」 とその場で目標を決め、約束をするのもよいでしょう。
「習い事の場所が遠方になった」「先生が変わって相性が合わない」などの時も同じで、子どもがそれでもその習い事を「続けたい」その習い事が「好きだ」と言った場合は、その習い事を優先して考えましょう。後に能力が開花してくる可能性も高く、無理にやめさせた場合、親子の信頼関係にも影響してくることもあります。十分に子どもの声に耳を傾け対応することを忘れないでください。
やめる時のマナー
習い事には規約があると思いますので、それに従ってルールを守ってやめましょう。細かな規約が無い場合も、1カ月くらい前には、やめることを指導者に伝えておいた方がよいでしょう。
下の子どもがお世話になることもありますし、やめてからも指導者やお友達に会うこともあります。ですので、やめてからも良好な関係性を持てるようにしておきたいですね。
習い事をやめるのは、新しく次にステップに進むため
習い事をやめることは、後ろ向きな行動のように感じる親もおられるかもしれませんが、子どもの成長に合わせつぎのステップに歩むために取捨選択することは、これからの人生でも必要なことです。
ただし、やめるのは子どもですので、なぜやめるのか、やめてからの事などを子どもと十分な話し合い、納得し、次にすることを明確にしておくことで、より前向きな選択となるでしょう。
習い事で「得意」を作り、人生を豊かにする
習い事によっては、スキルアップだけでなく、忍耐力や責任感、協調性などを養うことにも役立ち、自分の得意ができれば自信にもつながり、ポジティブな将来に繋がっていくでしょう。
他にもピアノを習っていると、大人になっても余暇でピアノを演奏する喜びを感じたり、野球チームに入っていたなら、野球の試合を観戦することが好きになり、将来仲間とチームを応援したり、草野球を楽しんだり後の人生を豊かにしてくれます。
“習い事をやめる時=子どもの将来の人生を豊かにするためのステップアップ”として考え、対応するとよいでしょう。
公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA