幼児期の食事の質と学力は比例する!食べるべきものとは?
日々の忙しさに、ついおろそかになってしまいがちな食事。しかし、子どもが小さいときに食べたものが、人生を左右することになるのだそう。
全国各地で「おやこ保健室」を開催し、母子の健康向上を目的に活動している「Luvtelli Tokyo&NewYork(ラブテリ トーキョー&ニューヨーク)」の公認カウンセラー・管理栄養士の風間幸代さんに、子どもの成長に大きく関わる食事の大切さを伺ってきました。
管理栄養士。一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)公認カウンセラー。子どもの発育と家族の健康について取り組む「おやこ保健室」などでカウンセリングを担当。1男1女の母。
http://www.luvtelli.com/
目次
6歳までの食事が、脳や体を育てる
子どもは体が小さいから、食事は大人の半分ぐらいの量でいいのではないかと思われがちです。しかしながら、体重1Kgあたりで見ると、エネルギーは約2倍、たんぱく質に関しては大人の1.5倍量を摂らなくてはいけません。
成長ホルモンによって生成される「IGF-1」というタンパク質は、細胞や骨、筋肉の成長に関与しますが、これは、たんぱく質×カロリーの摂取量に比例して増えます。不足すると身長が伸び悩んでしまうことにもなります。
また、子どもの脳の発育は、6才ぐらいまでにほぼ完成してしまうことをご存知でしょうか。DHAなどが豊富なお魚をしっかり食べることで、脳はしっかり育つようになります。
しかし残念ながら、DHAは体内で作りだすことはできないため、毎日の食べ物からとらないことには、脳に供給することはできません。
さらに、おやつも食事で不足する栄養をチャージするための補食として考えましょう。甘いお菓子やジュースではなく、フルーツやヨーグルト、海藻せんべいなど栄養が摂れるものにしたほうがいいですね。
小学校や保育園の給食があるから安心、ではありません。朝昼晩の3食と、補食としてのおやつをきちんと食べないとダメなのです。
こどもの成長にとって食事は欠かせないものです。良い脳や体を育み、文武両道を目指したいのなら、食事をしっかり摂ることが大切です。
集中力をあげる! 糖質+たんぱく質の朝食が◎
3食の中でもとくに朝食は重要です。朝食に甘いジュースや菓子パンなど、糖質だけしか摂らない食事ですと、血糖値が急上昇・急降下し、午前中の早い時間から疲れてボーっとしたり、イライラしたりしてしまいます。
朝食に糖質と一緒にたんぱく質おかずを摂ると、血糖値上昇が緩やかに持続し、集中力も上がります。肉や魚、卵、大豆製品といった良質たんぱく質を含む食品の適量の目安は、毎食、片手手のひら一つ分と覚えておきましょう。
やる気のなさや疲れという症状は、朝食を変えるだけですぐに効果が出てきますよ。
また、パン食の子とご飯食の子では、脳の神経細胞の量や知能指数にも差が出てくると言われていますので、やはり和食がおすすめです。
育脳に欠かせないDHAが摂れる鮭フレークやしらす入りのおにぎりと、野菜や豆腐など具だくさんのお味噌汁といった食事は、満足感もあって手軽に栄養バランスも整います。
どうしてもパン食、というお子さんは、白いパンではなく茶色い全粒粉やライ麦パンにするだけでも、血糖値上昇は抑えられます。ジャムよりも、ツナサンドや、しらすとチーズを乗せたトーストなどがおすすめです。
今の子に足りないのは血液をつくる“鉄”
最近は栄養状態の悪いお子さんが多く、肥満と痩せが2極化しています。これはいろいろな栄養不足が絡んでいますし、痩せているお子さんも、太っているお子さんも、将来の体に与える影響は大きいと言えます。
栄養素の点では、とくに近年では鉄不足が深刻です。落ち着きがなかったり、すぐに疲れたり、集中力がないのは、裏を返すと、栄養不足、とくに鉄不足というものが潜んでいる可能性もあります。
鉄は、全身の細胞に酸素を送り届ける、とても重要な役割をしている血液をつくります。
ヘルシー志向・節約志向で鶏肉を食べるご家庭もあるかと思いますが、鶏肉は、たんぱく質は多いけれど、ほとんど鉄が含まれていません。実は、吸収率の高いヘム鉄が多く含まれているのは、赤身の肉や魚なのです。
鉄補給というと、ひじきやほうれん草を思いだしがちですが、植物性の食品に含まれる非ヘム鉄は吸収率が低いのです。うちの子鉄不足かも?と思ったらぜひ赤身の肉や魚を毎日食べるようにしましょう。
また、子どもが順調に成長しているのか、親御さんはほかの子と比べて心配してしまいますが、子どもの発育発達には個人差があるのが特徴。まずは、乳幼児だったらカウプ指数、小学生だったらローレル指数など、成長曲線をひとつの目安として、お子さんの身長・体重が範囲内でカーブから外れていないか、しっかりとチェックしておきましょう。
そして、お子さんの状態や顔色も親御さんが常に見ておく必要があります。
バランスよく食べるために、まずは買い物内容の見直しを
買い物をするときは、10食品を意識してください。まず5つは肉、魚、卵、大豆、乳製品のたんぱく源の食品、残りの5つは、タンパク質を効率よく働かせる食品である緑黄色野菜、芋類、海藻、果物、油です。
まずはこの10食品を毎日少しずつでも摂っていただきたいです。1日に7つ以上を目標にすることで、自然と栄養不足が防げます。
とくに油の質は、お子さんの脳にも大きく関わりがあるものです。ファストフードや市販の焼き菓子に含まれているトランス脂肪酸は、脳に炎症を起こさせる悪い油と言われていますので注意が必要です。
くるみなどのナッツ、魚油、亜麻仁油などは脳や体に良いオメガ3脂肪酸とされていますので、なるべくこういったものにしましょう。
肉は、ヒレ肉やモモなど脂身の少ない部位がおすすめ。ばら肉やひき肉は肥満の原因や学習能力に悪影響を及ぼす飽和脂肪酸が多く含まれます。ハンバーグを作るときは、ひき肉は少量にして、鯖缶を混ぜたり、豆腐を混ぜたり、ちょっと工夫してみると良いですね。
これからの季節は、サンマやサケなどのお魚から良い油をしっかり摂っておくと、肌の乾燥も防げますし、便秘予防にもなります。
あとはきのこ類がおすすめ。魚ときのこには、抗ウイルス作用のあるビタミンDが含まれており、インフルエンザなどを予防する効果が期待できます。鮭ときのこをホイル焼きにしたり、ほうれん草や豆乳とシチューにするのもいいですね。
おやつには、さつま芋。肌荒れや風邪予防にはビタミンCも効果的ですが、芋類に含まれるビタミンCは加熱しても比較的破壊されにくいのが特徴ですし、腸内環境を整える食物繊維の補給になります。実は、食物繊維をしっかりとることで、睡眠の質を高めるいうデータもあります。
これから受験を控えているお子さんには、試験日の前夜の食事は、翌朝胃もたれせず、しっかりと朝食をとるためにも、油がひかえめで消化が良く、色の濃いお野菜がたっぷりなメニューがおすすめです。
カラフルな野菜にはビタミンやミネラルがたっぷりで、免疫力アップに欠かせません。感染症が増える受験シーズンを乗り切るためにも、1食に5色を意識してとりましょう。鍋焼きうどんや具沢山のスープにすると、水に流れてしまうビタミンやカリウムなどの栄養素も一緒にいただけますよ。
また、よく噛むことで、脳を刺激し、記憶力を高めたり、だ液が出ることで消化や吸収もよくなります。上手に噛めたらほめて、食べる意欲を高めましょう。
食べたものが将来の体を作る、常にその意識を持つこと
いまの私たちの体の筋肉などは、2ヵ月前に食べたものでできていると言われています。常に、食べるものが将来の体を作っているということを意識しておきましょう。
とはいえ、急に食事内容を変えようと思って頑張りすぎるのは、ママの負担になりますよね。専門家の私でも、子どもの食事には日々悩んでいます。まずは、親子で楽しく食卓を囲み、美味しく、食事することが大事だと思います。
風間さんのお話を伺い、まずは、ラブテリの2WEEK MEAL CHECKシートを利用して食事の傾向をチェックしてみようと思いました。
また、Luvtelli Tokyo&NewYorkを主宰する予防医療コンサルタントの細川モモさんが監修する『成功する子は食べ物が9割』という書籍もおすすめです。イラストや写真で栄養のことを詳しく理解することができ、食事作りの参考になります。
子どもの将来のために、親として今できることを考えましょう。
ラブデリのホームぺージからダウンロードできる2WEEK MEAL CHECKシート。2週間で食べたものに〇をつけていくことで、足りないものがわかります。
https://www.luvtelli.com/_files/ugd/de1f54_766f3364f6884191bdfab6cabeaba300.pdf
『成功する子は食べ物が9割』細川モモ監修、宇野薫監修(主婦の友社刊)
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