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パパは育休取得しましたか?日経DUALの「共働き子育てしやすい企業」ベスト3に学ぶ、これからの子育て

パパは育休取得しましたか?日経DUALの「共働き子育てしやすい企業」ベスト3に学ぶ、これからの子育て

先日六本木・東京ミッドタウンで行われた、「WOMAN EXPO TOKYO2019」。今回で第3回目となった日経DUALの「共働き子育てしやすい企業グランプリ表彰式・シンポジウム」に参加してきました。受賞した企業は、どこもママがワンオペ育児にならないための取り組みや素晴らしい制度が充実していることに驚きました。

ここでは、夫婦で子育てに取り組む企業の姿勢を紹介しながら、これからの子育てについて考えてみたいと思います。

今や子育てと仕事の両立は日本の大きな社会課題である!

まずは、審査員を務めた、育休後コンサルタントの山口理栄さんより。

「私は企業にお話を伺いに行く機会が多いのですが、“保活”という言葉を知らない管理職の方々がまだまだ多いこと…。これが世の現状なんです。

育児休業などの制度はあっても、実際に利用できなければ意味がありません。そのためには上司の理解やイクボスの育成が不可欠ですし、会社ぐるみでどう取り組んでいくかといった“風土”が問われます。

とはいえ、子どもが生まれて『子育てを奥さんだけに任せてはいけない』『一緒に育児をしたい』と考える若い世代のパパさんが増えているのは素晴らしいこと。最近では子育てのためにパパが転職するケースも少なくありません」

「政府が働き方改革関連法を施行したのは2019年4月(時間外労働の上限が原則月45時間、年360時間と定められ、年次有給休暇も年5日取得することなどが企業に義務付けられるようになった)ワークライフバランスを保ちながら、仕事と育児や介護が両立できるしくみをもっともっと作っていかなければいけないと痛感しています」(厚生労働省 雇用環境・均等局、職業生活両立課長の尾田進さん)

「仕事と子育ての両立は、今の日本の社会課題のひとつです。子育てを理由に仕事を離れることはあってはいけません。会社経営にとって、子育ては大きなキーワードと言えます」(日経BP執行役員 高柳正盛さん)

では早速、今回選び抜かれた3社の取り組みをご紹介します!

家族へのサポート、チーム評価制を導入した丸井グループ

グランプリは㈱丸井グループ。

「社員の役半数が女性で、お客様の8割が女性なのに、経営陣が男性ばかり。これでは女性の活躍を考えられない」と、一念発起しエントリー3年目にしてグランプリに輝いた丸井グループ。残業をしない、男性の育児休業取得率などはもちろんだが、夫婦のワークセミナーや、パートナーシップ研修といった家族へのサポート、さらにはLGBTや介護の支援にも取り組んでいる

働き方についても、個人の成果を問うものではなく、チーム評価制というも特徴的だ。結果的に、女性の上位職を目指す人が増えたり、復職後もフルタイムワーク希望者が増加しているという。「こうしたインクルージョン(包括的な)の考え方を追及していくことで、1×1=3にもなるんです!」と語る取締役専務執行役員・石井友夫さんの言葉が印象的でした。

19時前退社、男性育休率100%…制度を作って終わりにしない努力の大和証券

特別奨励賞は大和証券。「男性が多く働く証券会社にとっては、まさに大改革。どうしたら女性が働きやすくなるか、子育てと両立できるかを必至に考えて改善してきました」と話す常務執行役員の白川香名さん。19時前退社、男性育休率100%…。「制度を作って終わりにしてはならない!」をスローガンに、社員が必死に努力してきた成果と言える

また、子育て世代に限らず、計画的に誰もが休みを取れる職場運営も素晴らしい。最近では、女性社員の健康をサポートする「Daiwa ELLE Plan」という制度も登場した。実際に、このプランに含まれる不妊治療による休暇や治療費補助の利用者は5割が男性社員というから驚きだ。

「まだまだ完全ではないので、もっと知恵を出して頑張っていきたい」と白川さんは言う。大和証券の挑戦はまだまだ続きそうだ。

96.6%の社員が、平均18日間の男性育休を取得!㈱リコー

2010年頃は男性の育児休業取得者は16人程度だったというリコーが、2017年に「働き方変革プロジェクトチーム」を設置し、さまざまな改革に着手。

なかでも「育児は女性のもの」という意識を変えるべく、上司が希望を聞いた上で、部下の育休を計画調整するように。その結果、2017年には96.6%の社員が、平均18日間の男性育休を取得している。

他にも、月10日までのリモートワーク、最近では副業もOKになった。コミュニケーション不足を補うために、上司と部下とが向き合って1体1で対話をする、「1on1」制度もスタート。結果的に、導入前よりも、上司とのコミュニケーション量が増えていると言う。

「制度が増えると管理するマネージャー職は仕事が増えてしまいます。そのあたりが今後の課題だと思います。でも、いい会社に、いい世の中にしていきたいんです」とリコー執行役員・人事本部長の辻和浩さん。

最後に、このイベントに参加したママさんの声をお伝えします。

「時代は変わってきたとはいえ、多くの家庭や企業では、いまだに父親は残業で仕事が遅く、育児は母親の私がするのは当たり前になっている。わが家もそうです。今日の話を聞いて、その根底が覆る時代が来たら、子育てがもっと楽しくなるし、私の未来のライフプランを考える余裕が生まれそうです」(6歳・2歳女の子のママ)

「会社全体の風土を変えないと、制度は実現できないという言葉が強く刺さりました。私自身、前職は産休を使う人がいない(使えない雰囲気)職場だったので、子育てと仕事を両立できる今の会社に転職しました。上の人たち(特に男性)が意識改革をしないと、下の人や女性の立場は結局何も変わらないんです」(5歳男の子のママ)

いかがでしたか。ママが一人で子育てをしなきゃいけないという考えはもう時代遅れ。夫婦というチームで、どう子育てというミッションを楽しみながら遂行していくか。そのためには、夫婦の協力はもちろん、各家庭ならではの風土を育むことも不可欠です。

事実、幼稚園・小学校受験で合格を勝ち取るご家庭の多くが、こうした考えをお持ちです。「子育ても夫婦平等が当たり前」こんな考えが、日本の全体にもっともっと広まることを期待したいですね。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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