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スクールカウンセラーがアドバイス!学級崩壊したら親子でどう乗り切ればいい?

スクールカウンセラーがアドバイス!学級崩壊したら親子でどう乗り切ればいい?

最近は小学校低学年で学級崩壊が起こるケースも珍しくありません。なぜ学級崩壊が起こってしまうのか、また、わが子のクラスが学級崩壊になったら親としてどう対応すればいいのか。親から子への声のかけ方など、長年スクールカウンセラーとしてご活動されている臨床心理士の半田一郎先生にアドバイスを伺いました。

半田一郎先生
子育てカウンセリング・リソースポート代表。茨城県公立学校スクールカウンセラー。日本学校心理学会常任理事。学校心理士スーパーバイザー。臨床心理士。公認心理師。1995年より現在までスクールカウンセラーとして51校の小中高校で活動。著書に『一瞬で良い変化を起こす10秒・30秒・3分カウンセリング―すべての教師とスクールカウンセラーのために』、『一瞬で良い変化を起こす カウンセリングの “小さな工夫” ベスト 50-すべての教師とスクールカウンセラーのために』(ほんの森出版)がある。https://www.resource-port.net/

小学校のどの学年で学級崩壊が起こってもおかしくない

__小学校で学級崩壊が増えていると聞きますが、そもそも学級崩壊とはどういう状態のことを言うのか教えてください。

文部科学省では「学級がうまく機能しない状況」と呼んでいますが、先生の指示を誰も聞いていない、聞いても反応しない、従わない、そういうのが広まってくると学級崩壊の状態と言えると思います。先生の指示が入らないと、学級が上手く機能しなくなります。最近は小学校のどの学年で学級崩壊が起こってもおかしくないという印象を受けます。

__なぜ学級崩壊が起こってしまうのでしょうか。

起こるメカニズムや理由は、高学年と低学年では違うと思います。高学年になると、思春期に入り、先生に反発したい、反抗したいと思う子どもが出てきます。思春期的な反発が出てくるのは自然なことなのですが、そこに先生が上手く付き合えるかが大事なところです。

低学年にもいろんな理由はあると思いますが、個人の動きに左右されるところが大きいです。低学年はまだひとりひとりの発達の未熟さが目立ちます。学級の中に、情緒的な発達が未熟な子どもや発達障害的な特性を持つ子どもなどもいるかと思います。授業中に45分間座っていられないとか、先生の指示に従えない子どもがいるときに、先生の対応が適切でないと、他の子どもにも影響が出てきてしまいます。

学校のストレスをためないように、よく眠れる工夫を

__学級に問題があると、子どもからどんなサインがでてくると考えられますか。

人それぞれなので難しいのですが、普段と違うことがあればそれはサインと言えますね。学校のことをよくしゃべる子どもがしゃべらなくなるというのもそうですし、食欲がなくなったり睡眠がとれなくなったりといった生理的なところまでサインが出てくると、かなりストレスを感じている状態だと考えられます。なかなか寝付けないことや夜中に起きてしまう状態が続くとストレスも蓄積していきます。そうなったら、原因を追究するよりもまず、ストレスを解消する工夫が大切です。その中で一番大事なのはよく眠れることです。家に帰ってきて気持ちがリラックスして、脳の活動がだんだん落ちて自然に寝てしまうというのが理想的です。刺激が大きくなったり激しくなったりすると脳に大きな反応が起きますので、刺激を小さくする工夫するといいでしょうね。寝る前にテレビを見ないとか、ゲームをさせないとか、大きな声で叱らないで丁寧にしゃべるというのも効果があると思います。

学級崩壊を乗り切る体験も子どもの成長につながる

__学級崩壊が起こったら親としてどう対応すればいいでしょうか。

実は私たちカウンセラーは、他人や状況を変えようとすることにはあまり重きを置きません。一番大切なのは自分を変えるということです。学級崩壊になった場合、その状況下でわが子が不利益を被らないように、上手く乗り切るためにご家庭でできることがたくさんあると思います。まずはストレスをためないことが重要です。学校で大変なことがあっても、家でストレスを発散して、エネルギーをためて、次の日また学校で頑張るというサイクルができるといいと思います。もちろん学級崩壊にならないことが一番いいわけですけが、もしそういう状況になったとしてもその体験は子どもにとって良い成長につながります。学校での負担をためこまずに、整理したり消化したりできれば、学級崩壊の影響は最小限になると思います。

__学校の話を聞いてあげるのもストレス解消になりますか。

それは一番いいストレス解消法になります。学校のことを毎日聞いてあげるのはすごく大事です。でも、「学校どうだった?」「勉強どうだった?」と聞くのは、漠然とした質問で答えにくいと思います。とくに低学年の男の子などは、あまり上手に報告ができないので、なるべく具体的に聞いていくのがいいと思います。給食の話などから聞くのはおすすめですね。このときも、「給食どうだった?」と聞くのではなく、「今日のメニューは何が美味しかった?」「誰と一緒に食べたの?」といった質問がいいですね。給食のときのことを思い出しながら他の記憶も芋づる式に蘇ってくるので、いろんなことを話してくれるようになると思います。

心の動きを消化させ、「お母さんになにかできることある?」と聞いてあげる

__子どもの話に対してどうコメントするのがいいでしょうか。

学級崩壊につながるような話って、まずはびっくりするようなことだと思うんですよね。「〇〇くんが先生の言うこときかないで騒いだんだよ」と言ってきたら、「それはびっくりしちゃうね」と言ってあげるとか、子どもの心の動きをうまく消化させるといいです。嫌な感情が消化されないままたまっていくと、いろんな悪影響がでてくるので、できるだけ共感して聞いてあげましょう。「それは嫌な気持ちになっちゃうね」とか「それは悲しくなっちゃうね」とか、本人の感情をくみ取って言葉で言ってあげるのが大事です。そして最後に、「お母さんになにかできることある?」と聞いてあげてください。学校の話を聞いた後にそれを言うと、「ギュウしてほしい」とか、意外と本質的な問題とは関係ない要望がでるかもしれないんですけど、それでいいんです。学校でこんな風に頑張ってるんだ、こんなことが大変なんだっていう話をして、それをわかってもらえて、ちょっと甘えて、元気になって、次の日も頑張るっていうのはすごくいいことです。

担任の先生との関わりに不安を感じたら、スクールカウンセラーに相談を

__担任の先生との関わり方についてはどうお考えですか。

単純な話ですけど、親御さんはまず先生のことを褒めるといいと思います。子どもの話で先生のことがでたときに、良いと思うことがちょっとでもあったら、褒めましょう。「先生の字、すごくきれいだね」とか、なんでもいいですね。

__中には新任の先生やキャリアの浅い先生が担任になって心配する親御さんもいるかと思うのですが…。

先生にダメ出しをするのはあまりうまくいかないことになります。新任の先生だから出来ないことはいっぱいあると思いますが、新任の先生にしかできないこともたくさんあります。子どもと年齢が近いというだけでも素晴らしく良い影響があるわけです。細かな目配りは上手にできないかもしれませんが、そこはちょっと大目に見てもらえると先生もやりやすいと思います。

__もし、わが子と先生との関係が良くない場合はどうすればいいでしょうか。

その子が悪い、先生が悪いと考えるのではなく、たまたまその子と先生の関わり方が上手くかみ合ってないことが問題と考えるのがいいでしょうね。ではどうやってかみ合うようにすればいいか、となるわけですが、当事者の先生だけで解決するのはなかなか難しいです。そういうときは外部の力を借りるのがおすすめです。小学校にはスクールカウンセラーがいるので、その方の力を借りるのが一番ですね。カウンセラーは客観的な立場から、教室の様子や子どもと先生の関係性を見たうえでアドバイスしてくれます。学級崩壊だけでなく、何か心配なことがあれば積極的にスクールカウンセラーに相談するといいと思います。

スクールカウンセラーとして多くの子どもと関わってこられた半田先生の「一番大切なのは自分を変えること」という一言が心に響きました。4月から新生活が始まったご家庭も多いかと思いますが、まずは学校での様子を具体的に聞きながら、ストレスをためないようにサポートしてあげたいですね。

著者プロフィール

大学生の頃よりファッション誌のライターとして活動し、主にインタビューページなどを担当。現在はママ向けライフスタイル誌やWEBに執筆中。小学生と保育園児の男子2人の母。

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