異文化×サスティナブル 世界のエリートが求める、未来の教育の姿 バリ島グリーンスクール
IT化、そしてグローバル化が進む現代。世界で活躍する人材を育てるには?という悩みは世界中の子育て世代の共通の話題です。
そんななか、設立およそ10年あまりという短期ながら、名実ともに世界中に知れ渡っている、バリ島のGreen School(グリーンスクール)があります。異文化×サスティナブルをテーマとしたグリーンスクールとは?現場で目にした、未来の教育の姿をレポートします。
目次
1.海外のエリート層の子女が通うバリ島グリーンスクール
インドネシアバリ島にあるグリーンスクールは、シルバーアクセサリーデザイナーである、カナダ人のジョンハーディーが2008年に設立した学校。自然を生かした広大な敷地を有し、主にインドネシア以外から来た幼稚園から高等部まで500人以上の生徒が通っています。
エリートの子女が集まる学校ではありますが、最新のITを取り入れたプログラムだけにとどまらず、それとはむしろ対極にある、芸術的、農的なプログラムが特長です。
東南アジア特有の濃い緑の空間に、自然素材の建築物が映える。ここが生徒の学び舎となる。
2.グローバル教育の中枢に環境教育、サスティナブル教育を据える取り組みと実績
グリーンスクールは、オーガニック農園、家畜の飼育、水の浄化システム、コンポストトイレ、太陽光発電システムなどが取り入れられたエコスクール。
校舎、宿泊施設(ゲスト、先生、生徒向け)自体も大規模な竹建築でできています。バリ島の伝統的な建築物の素材である竹はすぐに成長し、古くなったものは土に還ります。また、その土地の人々に竹の生育や建築物の修復という雇用を生み出すことにもつながっています。
校舎外観だけでなく、階段、机、椅子などもすべてオリジナルの竹製品。生育から製品化まで手掛ける。
感受性の高い幼少期に、緑あふれる環境で、自然と共生して生活することの重要性が注目されています。日常的に自然と共存する環境で学び、ディスカッションやプレゼンテーションを通して思考を深めていくことで、地球環境や、未来の人間の暮らしについて深く考える子どもに育つようです。グリーンスクールは、サスティナブル=持続可能性を意識した教育環境といえるでしょう。
インドネシア全土で、グリーンスクールの取り組みを広め、2017年環境親善大使となる子どもたちを100万人育てようというプロジェクトがあり、国連事務総長Ban Ki-moon氏らが2014年に同校を訪れています。
カリキュラム内にはNPO法人の立ち上げや起業などもあります。理想論ではなく、理想を現実化して社会を変える力をはぐくむ教育、それがグリーンスクールにはあります。
アートの要素をふんだんに取り入れる。プレゼンテーション力や発信力を育てていく。
3.世界的な観光地でもあるインドネシアバリ島に学びの舎があるメリット
グリーンスクールは、バリ島の玄関口であるングラライ空港から車で1時間ほど。バリ島文化の中心ともいえるウブドからも車で40分ほど離れた、緑豊かな田舎にあります。生徒と家族は、グリーンヴィレッジというスクール内の竹建築の宿泊施設に滞在することもできますが、たいていが車で40分~1時間程度の場所から通学しています。
バリ島は、バリヒンズー教というアニミスムの思想に近い宗教観のなかで市民が生活をしており、とても独特な文化の残る土地です。カリキュラムのなかにもバリ島の伝統がふんだんに取り入れられ、異文化理解にもつながっています。
バリ島の暦の新年ニュピを前に、伝統的な魔物の”はりぼて”の製作。英語教育のなかに異文化体験がふんだんに盛り込まれる。
バリ島に中長期滞在をする外国人は、異文化体験のためにバリ島に滞在しているケースも多いです。親はリモートワークで仕事をし、子どもはグリーンスクールや現地のインターナショナルスクールに通わせる。まさにこれからの働き方、教育の姿といえるのではないでしょうか。
ヤシの木よりも高い建築物を建ててはいけないバリ島。宗教感とアジア暮らしの濃厚な空気は人を惹きつけてやまない。
のびのびとした環境のなかで、多様な文化を受け入れ、地球環境のことを真剣に考える子どもを育てる特徴的なカリキュラムは、グリーンスクールの大きな魅力になっています。
それだけでなく、バリ島の物価の安さと観光地の利便性を享受しながら、英語教育を受けられること、海外富裕層とのコネクションも作れることは、子どもだけでなく親にとっても大きなメリットがあるようです。
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
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