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芦屋市長の髙島崚輔さんも実践!「対話型」の読み聞かせ ハーバード式「ダイアロジックリーディング」とは?

芦屋市長の髙島崚輔さんも実践!「対話型」の読み聞かせ ハーバード式「ダイアロジックリーディング」とは?

日本の読み聞かせは“静かに聞く”のに対し、アメリカの読み聞かせは“たくさんの対話をしながら絵本を楽しむもの”でしたと話すのは、2023年朝日新聞社主催大学SDGs ACTION! AWARDSを受賞した「オンライン読み聞かせYOMY!」の代表、安田莉子さん(現役慶應大学生)。

慶應義塾大学の石戸奈々子教授監修の元、ハーバード大学で研究されているアメリカ式の読み聞かせ方法ダイアロジックリーディングを土台にした、子どもたちの「自分の考えを伝える力」や「対話力」を育む読み聞かせを届けるサービスとは具体的にどのようなものなのでしょうか? 詳しくお話を伺いました。

ハーバード式「ダイアロジックリーディング」とは?

__「ダイアロジックリーディング」とは?
ハーバード大学などで開発され、長年研究されている対話型の読み聞かせ術です。「PEER」(Prompt, Evaluate, Expand, Repeat)」と呼ばれる順序に沿って行われ、「伝える力」「思考力」「読解力」など、これからの社会を生き抜くための基礎力を育むことができます。

日本の保育施設では読み聞かせをするとき、大勢の子どもたちの前で一人の先生が1冊の絵本を読み、子どもたちは静かにお行儀よく聞くことが多いと思います。一方で、アメリカ現地の図書館の先生にお伺いしたところ、アメリカでは読み聞かせの中でたくさんやりとりができるよう、保護者に手伝ってもらいながら少人数のグループを作るなど工夫している保育施設も多いようです。

「絵本=対話をしながら楽しむもの」(絵本≠静かにお話を聞く)という認識があるようです。

大学においても、日本では講義中は「先生の話を生徒が静かに聞く」という受身のスタイルが多いですが、海外では「ディスカッションやプレゼンテーションの時間」が多く、生徒はアクティブに授業に参加します。以前、アメリカのスタンフォード大学で学ぶ機会があったのですが、みんなとにかく手をあげて発言していて、ディスカッションの時間が2時間ほど延長してしまいました。

YOMY!で絵本の読み聞かせにおける日本と海外の違いを調べていく中で、この教育のあり方における両者の違いは、実は絵本の読み聞かせや、幼少期からの環境から始まっているのではないかと思いました。アメリカの保育園や小学校では「Show &Tell」という時間があります。みんなの前で自分の好きなものを見せて(show)、伝える(tell)力を養うことができ、幼少期から人前で意見を言う機会が多くあります。

そんな機会、環境が次世代の子どもたちにはもっと必要なのではないかと考え、対話型読み聞かせYOMY!を始めました。

日本とアメリカ、読み聞かせの違い

__日本とアメリカで読み聞かせはどんなところが違うのでしょうか?
読み聞かせのスタイルの違いに加え、保護者が読み聞かせに期待する効果が違うようです。

日本では、読み聞かせを通して、「さまざまな感情と出会ってほしい」「新しい世界に触れてほしい」といった「情緒面の教育」に重きを置くのに対し、アメリカでは、絵本は幼児教育としての役割が強いです。

こうした違いから、日本では「聞く力」がより身につく一方で、アメリカでは読み聞かせを通して「考える力」や「意見を伝える力」が育まれます。どちらがいい悪いということではありませんが、こうした違いが、その後の教育のあり方の違いに繋がっているのではないかと思います。と同時に、YOMY!でアクティブな読み聞かせの体験を通して日本の子どもたちの可能性をもっと広げたいと思っています。

考える力や対話力を育む「オンライン読み聞かせYOMY!」のこと

__YOMY!のサービスについて教えてください。
YOMY!は「ただお話を聞くだけが読書じゃない」がコンセプト。3歳~8歳を対象に、少人数のグループで対話型の読み聞かせを行うサービスです。1回25分のレッスンは、15分読み聞かせ、10分絵本クイズや絵を描くワークショップという構成。事前予約は不要で好きなときに好きなセッションにオンラインで参加するだけなので、いつでもどこでもできるのが最大の特徴です。また、レッスンが終わると保護者の方にレポートが届くので、忙しい共働きの親御さんでも、安心して習い事感覚で取り組んでいただけます。

オンライン英会話のようなイメージに近いですが、日本語なので子どもたちも「何を言っているかわからない」ということはありません。次第に積極的に発言をしてくれるようになりますし、オンラインレッスンの入り口としてとてもよかったというお声もいただいています。

また、読み聞かせを行う「読み手クルー」は、将来保育士や教育関係の仕事を目指す現役大学生。ダイアロジックリーディングの研修を受け試験に合格した読み聞かせのスペシャリストなので安心して受講いただけます。さらに、扱う絵本は若手作家(YOMY!クリエイターズ)さんが子どもたちに届けたいSDGsや多様性といった質の高い絵本ばかり。作家さんにとっても新しい活躍の場となっています。


__実際に体験したお子さんの反応や変化はいかがですか?
対話の経験が少ないと、「質問されている=責められている」と感じて萎縮してしまい「わからない」と答える子も少なくありません。でも次第に、「WHY?」に慣れてくると、自分の考えを伝えることが楽しくなってきます。

参加された親御さんたちからは、
「お兄さんお姉さんたちが優しく対話をしてくれるのがいい」
「親子以外の大人と話をする機会がなかったのでとてもよかった」
「わが子からあんな言葉が出るなんて。語彙力がアップした」
「絵本を読む習慣がついた。気になった絵本は購入できるのもいい」
「オンラインレッスンの導入になり、嫌がっていたオンライン英会話も再開できました!」
「小学校受験の対策にもなった」

といった嬉しい声もいただいています。

家庭で「ダイアロジックリーディング」を行う際の注意点

__家庭でも「ダイアロジックリーディング」はできますか?
もちろんです。詳しくはnoteでも書いていますが、家庭で行う際は、以下の4つの頭文字をとった「PEER」を基本ですが、
・Prompt:あいづちをうち、間違っていても共感しながら戻り、発言を促す
・Evaluate:子どもの発言に対して評価していく。決して否定はしない
・Expand:「うさぎさんのお耳は長いね」など情報を足して発話を拡張する
・Repeat:理解を促進するために、大事な単語は繰り返したり、一部分を読んでもらう

「細かな部分に注目して質問する」「生活に関連した質問で理解を深める」
なども大切です。

さらに、対話には「他者との対話」と「自己との対話」の2種類があり、自分と対話してから他者に伝える対話という流れになります。ですから「いつでもうるさくしていい」ということではありません。

私たちはレッスンの中で、3つのお約束
*「なぜ?」「わくわく」をたいせつに!
*こたえはいろいろ、とにかくつたえてみよう!
*ひとのいいねをみつけて、ちがいをたのしもう!

を設定しています。

これらは何度かお話するうちに、未就学児の子でもきちんと理解してくれますし、子どもたちも「決まった答えのないやりとり」の中で、考える習慣と対話する楽しさを学んでいきます。もちろん、絵本によっては没入感を味わい最後まで読んでから対話した方がいいものと、途中で対話してもいいものがありますので、作品によって対話の仕方を変えるといいと思います。

ハーバード卒の髙島崚輔市長も幼少期にダイアロジックリーディングをしていた!

__ハーバード卒で芦屋市長の髙島崚輔さんも幼少期にダイアロジックリーディングをしていたそうですね。

そうなんです。「あなたの読み聞かせ履歴」という企画でお話を伺ったのですが、幼少期から本が大好きで、小学校3年生まで多い時には1日50冊もの読み聞かせをしてもらっていたとのことでした。弟さんが生まれてからは親御さんの真似をして、ご自身も読み聞かせをしていたそうです。そのおかげで本を読む習慣や読解力が身につき、長い文章を読むことが苦にならなくなったとも。さらに、その体験はまさに「対話型の読み聞かせだった」とおっしゃっていました。

絵本の魅力を伺うと「親子で何かを一緒に考えたり、それを通じて会話できることが最大の魅力。これからは時代にあった絵本のテーマ選びも大切になってくると思います」だと。まさに私たちYOMY!が目指す姿だと感じました。

現役慶應生たちの想い「幼少期の対話がすべての学びの土台に」

__YOMY!の立ち上げメンバーは、皆さん英語はもちろん、プログラミングなどを勉強されていらっしゃいますが、幼少期の日本語の対話の重要性をどのようにお考えでしょうか?

YOMY!には海外にバックグラウンドを持つメンバーも多いですが、皆幼少期に絵本の読み聞かせをしてもらったという原体験があります。絵本の読み聞かせを通して、母国語の土台をしっかりと身につけることができたと、その大切さを実感しているメンバーもいます。また、今は算数やプログラミングなどSTEAMS教育も注目を浴びていますが、これらに欠かせないのは論理的思考力や読解力です。絵本の読み聞かせでは、そんな「考える力」の土台も育むことができると考えています。

__プログラミングにも読解力が必要でしょうか?
例えば数学での問題でも問いを読みとく必要があるのと同様に、公式ドキュメントをしっかりと理解する必要があり、プログラミングには読解力も欠かせない力と言えます。さらに、開発するサービスがどんなターゲットかを設定してデザインに落とし込んでいく作業は、考える力や共感力も不可欠なので、男女問わず、コツコツ学習したり相手の気持ちになって考えられることも重要です。

いかがでしたか。ダイアロジックリーディングは小学校受験にも通ずる学びがたくさんあるなと感じました。無料体験会があるそうなので、気になった方はYOMY!に一度お問い合わせください。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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