夏休みに親子で考えたい「防災のこと」
先日も大阪北部で震度6弱の地震や、西日本の豪雨がありました。大きな地震や台風、大雨による被害は、いつやってくるか分かりません。急に遭遇して、慌て混乱しないように日頃から備えておきたいものですね。
災害が身近に起こらないと、なかなか防災の準備ができないこともあるかもしれませんが、夏休みは親子でゆっくり防災の重要性について話しあい、準備できるとてもよい機会です。その際、チェックしておきたいことを次にまとめました。阪神淡路大震災も経験した筆者が体験から学んだこともお伝えします。
目次
緊急に持ち出す避難用リュックを作る
まずは緊急時、持ち出すグッズをまとめて準備しておきます。両手が空くように、リュックなどの背負えるカバンに入れておくとよいしょう。
基本セット
・飲料水
・非常食(クラッカーやチョコレートなど)
・懐中電灯(予備電池)
・スマートフォンと充電器
・ティッシュやウェットティッシュ
・タオル
・アルミシート(軽くてかさばらず、防寒にも使える)
・笛
・救急用品
・ヘルメットや防災頭巾
・貴重品(現金、通帳、印鑑等)
必要な人は
・常備薬
・メガネまたはコンタクト
女性は
・生理用品
小さな子どもがいる場合は
・紙オムツ、紙パンツ・哺乳瓶とミルク
その他に軍手やビニールル袋もある方がよいでしょう。携帯トイレやマスク、下着類、使い捨てカイロなどもあるに越したことはありませんが、緊急時持ち出し用リュックが重過ぎても反対に逃げ遅れの原因になるかもしれません。どのくらいの量だったら、身軽に動けるか、何を入れ、何を入れないかなど選択するのも重要です。必要な物を家族で話し合っておくといいでしょう。
私自身23年前、早朝に地面から突き上げるような大きな揺れを感じ、阪神淡路大震災を経験しました。私が娘の手を引き、まだ赤ちゃんだった息子を夫が抱きかかえ、慌てて階下へ降り咄嗟に机の下にもぐりました。揺れが治まってからも、外へ出た方が良いのか、自宅にいた方が良いのか、オロオロしたのを覚えています。その後、徐々に被害の情報が入ってくるにつれて、その凄まじさに心痛めたのと同時に、わが家は大きな被害を免れた方だと分かりました。ですがその恐怖は、今も小さな揺れがあるたび、蘇ります。
その後当然、避難用リュックは用意したのですが、「あれもこれも、あった方がいい」とドンドン量が多くなっていき、結果、重くなりすぎて、余震があると子どもだけを連れて、結局リュックは背負っておりませんでした。
災害の避難用リュックを準備する時、大切なことは、「どれくらいの重さ、大きさだったら、簡単に持ちだせるか」を考えることだと感じました。「何を入れるか」よりも「何を抜くか」が難しいですね。
「とりあえず必要な物」の選択を家族で話し合って、急いで非難することを妨げない量を準備しておきましょう。
ハザードマップで、危険な所と避難場所の確認
居住地の自治体のホームページや国土交通省ハザードマップのサイトなどから、防犯マップやハザードマップを入手しておきましょう。
土諸災害や水害が起こりやすい場所など、危険地域を把握し、緊急避難場所を確認し、避難ルートも家族で共有しておくことも大切です。また夏休み中に、実際に足を運んで場所やルートの確認を行ってみるとよいでしょう。
緊急時の連絡手段の確認
災害が起こった場合、電話は非常に繋がりにくくなります。メールやラインは繋がりやすいものの、子どもや高齢者はその手段を持たない場合もあるでしょう。その場合は、緊急の防災用緊急ダイヤル(171)の使い方の確認もしておきましょう。
通学路の確認
学校の登下校中に突然災害に遭うこともあります。ですので、必ず通学路を通って帰ることを約束し、通学路に危険な箇所がないかも、大人は改めて点検しておきたいですね。
就寝時の注意
地震でガラス食器が割れ、床に散乱することもありますので、就寝時はスリッパを近くに置いておくとよいでしょう。また笛もあると、逃げ遅れた時など、合図に役立ちます。
とっさの時の行動の確認
とっさの時の行動も家族で確認しておきましょう。
例えば、地震の時は、机の下などに隠れ、揺れがおさまるまで待ち、先ずは身の安全を確保する。
ガスの元栓を消す。逃げ道の確保。電気のブレーカーも、避難時には落として出る、など。
夏休みは、災害体験学習を行うよい機会
さまざまな災害シュミレーションを体験で学ぶ、子ども向けの防災センターが、地域によってはあります。
関東には、東京都江東区有明に「東京臨海広域防災公園」
関西では、神戸市中央区に「人と防災未来センター」などがあり、その他、防災について学べる施設を設置している地域もあります。
これらは、夏休みに防災について考えるいいきっかけになると思います。有明の防災公園は、タブレット端末を使いゲーム感覚で学べる「地震発生後72時間の生存力をつける体験ツアー」も人気です。
災害は、国や地方自治体による取り組み「公助」、地域や身近な人々が助け合う取り組み「共助」、そして一人ひとりが自ら取り組む「自助」が必要だと言われています。
被害をできるだけ少なくするために、災害時の対応について日頃から家族で話し合っておきたいですね。
公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA