簡単手作り!オーストラリアのボタンや食品保存袋を活用した知育玩具3選

簡単手作り!オーストラリアのボタンや食品保存袋を活用した知育玩具3選

保育士の筆者が働くオーストラリアの保育施設では、知育教育がとても大切にされています。主に使われているのはボタンや靴紐、プラスチック製食品保存袋など身近な物を使ったコストをかけない知育玩具で、多くの教育機関がこの方法を推奨しているのです。今回は、そうしたオーストラリア式の手作り知育玩具について紹介します。

ボタンや鍵など日常的な生活用品を利用

「知育」と聞くと「難しそう」「お金がかかりそう」といった印象を持つ方が多いかもしれませんが、オーストラリアでは子どもが日常生活で目にする物が知育玩具として活用されています。

たとえば、ボタンやホック、ファスナー、靴紐など、普段着ている洋服や靴についている部品を厚めの布生地に縫い付け、子どもが自分で服を着たり靴を履いたりする動作を練習できるようになっています。また、さまざまな形をした鍵やフック、電卓、スポンジなど身近な生活用品を生地に縫い付けた玩具を使って遊ぶことで、日常生活に役立つスキルが自然と身に付きます。

これらの知育玩具は市販の物を購入しなくても、工夫次第で手作りすることが可能です。

知育玩具

身近な物が選ばれる3つの理由

市場には多種多彩な知育玩具が溢れているなかで、オーストラリアの保育施設が身近な物を取り入れる理由は、以下の3つです。

1)生活に必要な力を育むため
生きていくためには自分で洋服を着たり、鍵を開けたりといった基本的な生活力が必要です。オーストラリアでは、子どもたちがこうした力を自然に身に付けられるよう、実際の生活で使う物を遊びのパーツとして取り入れています。

2)自信を育むため
ボタンを自分で留めたり、チャックを開けたりできるようになると、子どもは「できた!」という達成感を味わえ、自信が付きます。保育施設ではこうした自己肯定感を育むことを大切にしているため、身近な物での知育が推奨されているのです。

3)バランスの良い発達を促すため
たとえば鍵を開ける際、子どもは手の動きや音、感触などさまざまな感覚を駆使します。五感を使って体験することで、バランスの良い発達を促せるのです。

家庭でも簡単にできる知育法

ここからは、オーストラリアで実際に行われている知育法の一部を紹介します。家庭でも気軽に取り入れられる内容ですので、ぜひお試しください。

1)プラスチック製保存袋を使った遊び
食材保存に使うファスナー付のプラスチック製保存袋ですが、オーストラリアでは知育玩具としても活用されています。たとえば、なかに小さなおもちゃを入れ、箸やピンセットで取り出す遊びなどです。袋を開けたり、物を取り出したりと指先を使うことで、日常生活に必要なスキルを楽しみながら学べます。

ファスナー付プラスチック製保存袋は、科学を学ぶ際にも役立ちます。具体的には、以下の2つの例があります。

1つ目は、ファスナーを閉めた袋に水とおはじきを入れて押すことで、おはじきが浮いたり沈んだりする様子を観察する遊びです。これにより、子どもたちは水の中で物体が浮かぶか沈むかが、その物体の密度と水の密度によって決まることを学べます。また、袋を押すことで圧力が加わり、浮力の変化も観察できます。

2つ目は、袋に水と食用色素を数滴加え、色がどのように広がるかを観察する遊びです。袋を少し揺らすことで、色が混ざる様子や拡散の過程を確認できます。この遊びを通して、色素(分子)が水中でどうやって動き広がっていくのかを学ぶことができます。

実際に使用している手づくりおもちゃ

実際に使用している手づくりおもちゃ(筆者撮影)

2)お盆にお皿を乗せて運ぶ
お盆にお皿を乗せ、物を落とさずに運ぶ練習をすることで、バランス感覚が養われます。小さなお子さんの場合は、柔らかいおもちゃを入れたプラスチックのお椀などを使うとよいでしょう。

3)拭き掃除
拭き掃除は目に見える汚れを落とすことで達成感を味わえ、視覚的にもわかりやすい遊びです。部屋が汚れるのが気になる場合は、お風呂場に水性絵の具をこぼし、それを拭き取る遊びもオススメです。

拭き掃除

まとめ

高価な知育玩具を購入しなくても、家にある身近な物を使って遊ぶことで子どもは生活に必要なスキルを学び、達成感を得ることができます。ぜひ、家の中を見回してみてください。子どもにとって最高の玩具となる物が、あちこちに転がっているかもしれません。

注意点としては、日用品を玩具として使う際には、年齢に応じた安全性への配慮が欠かせません。例えば、年齢によっては小さな物は誤飲の危険があるため避け、鋭利な角のあるものは丸みを帯びた物に変えるなどの工夫が必要です。また、親子で遊びながら何がどうなっていると危ないのかなど、安全について一緒に学ぶことも大事かもしれません。

日々の生活のなかで、お子さまに身近なものを遊びに取り入れることで、楽しみながらお子さまの好奇心を刺激し、想像力を豊かに育みましょう。

執筆者/トラン摩耶

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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