私立と公立小学校、英語教育の違いとメリットとは

私立と公立小学校、英語教育の違いとメリットとは

「わが子に早いうちから英語教育をさせたい」「将来はグローバルな分野で活躍させたい」という親の想いから、英語の早期教育が過熱し、小学校低学年から英検取得を目指す子も増えています。また、2020年から小学校での英語教育が必修化しましたが、実際に私立と公立小学校の英語教育はどんなところが違い、子どもたちの能力に差はあるのでしょうか? 

そこで、私立と公立小学校のお子さんが在籍し、3つの教育理念(創造力教育・体験力教育・自助力教育)を基にした教育メソッドの“伸芽会式教育”と受験対応型の育児を両立できる教育託児・学童施設「伸芽’Sクラブ」で長年英語を指導されてきたネイティブ講師のベイリー キアリー先生と学童講師の菅原健太先生にお話を伺いました。親として改めて考えたい英語教育のリアルに迫ります。



伸芽会 ベイリー キアリー先生  
伸芽会式の託児&学童「伸芽’Sクラブ」のプラスワン教育である英語クラスを指導するネイティブ講師。日本での英語指導歴は幼児から大人まで27年に及ぶ。あらゆるレベルの公立・私立学校、大手国際企業、英会話学校、エリート向け放課後プログラムの指導や教材開発に携わり、2018年からは伸芽会で小学生を対象とした独自の革新的な英語プログラムの構築に貢献。私立、公立を問わず子どもたちのレベルに応じた英語指導や語学力アップには定評がある。

私立と公立小学校の英語教育、授業や宿題の違い

__私立と公立小学校の英語の進度や子どもたちの能力にはどのような違いがありますか? 私立の子の方が英語の上達は早いですか?

菅原先生:伸芽’Sクラブでは公立、私立さまざまな小学校に通う子どもたちの宿題を日々見ているのですが、英語の宿題に関しては、正直どこも模索しているなと感じることが多いです。

私学に関してはやはり進度が早く、1年生から難しいレベルの宿題を出すところもあり、4年生にもなると量も膨大でついていけない子もいます。そのため、学童でも低学年からオプションの英語クラスを受講される方は多いですね。

キアリー先生:公立と私立の子に関しては、英語においても学ぶスタンスが違うと感じます。一般的に私立の子はより早い年齢から英語に触れていることが多く、小学校に入学する時点で、長い時間集中して取り組む・先生の話を聞く・宿題を期限内に提出するなど、基本的な学習スキルをすでに身につけており、学びの場でのふるまい方や適切な行動の取り方にも慣れています。

しかし、この慣れ親しんだ感覚が時として興味やモチベーションの低下につながり、進歩を妨げることもあります。実際に、「英語をやらされている」と感じるモチベーションの低い子も一定数います。

一方、公立学校の生徒は、小学校に入学する時点で英語への接触や学習スキルがほとんどない状態で来ることが多く、椅子に正しく座る・静かに話を聞くといった学びの場での適切な行動や振る舞いを学ぶのに時間がかかる場合があります。

これは一時的に進歩を妨げる可能性がありますが、英語や外国人教師に対する馴染みの薄さが、「もっと英語を話したい!」とより高い興味とモチベーションにつながり、結果として進歩を促進することもあります。

私立と公立小学校の生徒が混在する学童英語のメリット

__伸芽’Sクラブの英語のレッスンは私立と公立のお子さんが混在していらっしゃると思いますが、そのメリットはありますか?
キアリー先生:伸芽’Sクラブの英語クラスは習熟度別に分けられているので、公立と私立の生徒が一緒に学ぶことがよくあります。これは特に初級レベルで教師にとって難しい場合がありますが、適切に扱えば、相乗効果を生み出すことができます。

公立の生徒は私立の生徒の行動や学習習慣を見習うことができ、私立の生徒は公立の生徒のエネルギーや熱意に触れることで、自身の取り組みやモチベーションを向上させることができるのです。

菅原先生:授業に関してはネイティブ講師とスピーキングを重視したコミュニケーションと、日本人講師による英検取得などを目的としたライティングという2つのレッスンを、バランスを見ながら1週間の中で行っています。

キアリー先生:正しい発音やライティングももちろん大事ですが、コミュニケーションクラスのグループレッスンのときは、そのグループが男の子だけか女の子だけかなどで雰囲気が全然違うので、それぞれに合うアウトプットの仕方を探しながらレッスンを進めていきます。そうすることで、子どもたちは自然に自己表現をしたがり、積極的に話したいと思う段階へと移行します。

これが彼らの英語が本当に花開く時です。以前に学んだ語彙や文型を組み合わせて自分の考えを伝えようとする姿を目にするのは、非常にやりがいのあることです。

コミュニケーションクラスのグループレッスン
コミュニケーションクラスのグループレッスン

欧米から見た日本の英語教育の課題

__欧米から見た日本の英語教育は、どのように感じていますか?
キアリー先生:私は日本に来て長いので、日本式の教育方針や良さも理解しているつもりです。その上でお伝えしますと、日本の英語教育へのアプローチは、オープンマインドで受容的かつ柔軟であると評価できるかもしれませんが、全体的には一貫したビジョンや標準化されたアプローチが欠けているように見えます。

たとえば、今の日本の学校での英語教育は、全員が同じペースで進むことが好まれますが、
本来は個々のレベルの内容を習得してから次のレベルに進むべきです。

各レベルが必要な知識とスキルの習得なしに段階的に難しくなるため、学年が進むにつれてついていけない子(英語が苦手に感じる子)が増えてしまうのです。

あとは、テストで点を取ることが目的の英語の授業と、相手に伝わる“使える”英語の学習方法は別なので、高校や大学受験の入試をクリアしても終わったらすぐに忘れてしまう子も多く、それはもったいないなと感じます。

ただ、日本には幼少期から学年で分ける先輩後輩という素晴らしい関係がありますよね。
私の英語のレッスンでも上の学年の子が下の学年の子に教えたり、下の子が入ってくると上の子たちがお手本になるためにしっかりする、そういった学び合いは西洋にはないので、最初は理解するのに時間がかかりましたが、今では日本ならではのユニークな教育の特徴のひとつだなと感じています。

早期化する英検取得のメリット・デメリット

__早期化する英検取得についてはどのようにお考えですか? やはり幼少期から対策した方がいいのでしょうか?
菅原先生:私学でも「中学3年生で英検2級取得のレベルを目指す」など、英検を基準に掲げる学校が多く、中学受験の入試でも英検3級以上で加点がつく学校も増えています。そうなると、我々としても、英検を無視したレッスンを展開するわけにはいかないんですよね。

もちろん、算数検定や漢字検定などと同じで、目標を持って学ぶことはいいことなのですが、幼少期の英語に関しては資格取得と使える英語のバランスが大事なのではないでしょうか。

キアリー先生:英検は英語能力を測る上で役立つ面もありますが、日本独自の基準ですし、元々小学生を念頭に設計されたものではなく、発達段階に適していません。

特に低学年の生徒にとっては、英検の内容の多くが日本語で理解するのも難しいものです。むしろ、英検Jr.やJET(Junior English Test)、TOEFL Primaryのような、小学生の発達段階に適した方法で英語能力を評価できるテストに移行する方が良いのではないでしょうか。

わが子にどんな英語を習得させたいか。家庭で英語を伸ばすコツ

__幼少期から英語を学ばせたいと考える日本の親御さんにメッセージと、おうちで英語を伸ばすコツもあればお願いします。
菅原先生: 私学では英語だけではなく第二外国語を学ぶ学校もありますが、単語はわかるけれど話せるかはまた別。学ぶ環境は整っていても、使う機会がなければ語学は成長しません。

特に幼少期は楽しみながら、親子で一緒に英語を使う頻度を増やし、「通じた」「わかる」という経験を増やして、やらされているのではなくて英語を自発的に学べるようにしてあげてほしいなと思います。

これからの子どもたちは、英語を話せるかではなくて英語で何ができるかの時代になってきます。ですから、私立、公立問わず、将来わが子にどういう英語力を身に付けさせたいかを考えて、学校でも足りないなら+αの学びにエネルギーを注ぐ必要があるのではないでしょうか。

限りある時間を有効に使う意味でも、伸芽’Sクラブの英語クラスはおすすめです。

キアリー先生:週に1度のレッスンだけではなく、ぜひおうちでも英語に触れる環境を意識して増やしてほしいですね。

たとえば、英語の本やポスターを置いたり、日本語字幕付きの英語の番組や映画を見たり、英語の音楽を聴いたり、英語のみの日や時間を設けるのも効果的です。

音声入出力が可能なAIを搭載したアプリを活用するのも発音や流暢さの向上におすすめです。

あとは、日本語でも読み聞かせや音読があるように、英語もReadingはとても大事です。英語の87%はフォニックスに基づいていますから、フォニックスさえ習得すれば意味は分からなくても読めるようになります。

フォニックスをマスターすると、英語の習得が7倍も容易になると言われています。教育アプリ、ビデオ、オンラインレッスンなどを通じて少しずつReadingも慣れていきましょう。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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