元Google社員が創った今話題の学校「Alt School」【後編】実際の教育スタイルや雰囲気を潜入レポート!
未来の教育の形といまアメリカで話題になっている「Alt School」。
前回はテクノロジーを使ったパーソナライズ教育やビッグデータの活用などのほかの学校にはない特徴を書きましたが、実際に通学している子どもたちはどのように学んでいるのでしょうか?親の満足度は?
現在ブルックリン校でKindergarten(日本でいう年長)に通わせている保護者の話をもとに、潜入レポートします!
目次
遅刻しても絶対に子どもを叱らない!明るくオープンな雰囲気
「Good Morning!」Alt Schoolの校舎に一歩足を踏み入れると、先生とスタッフの満面の笑みが私たちを迎えてくれました。ここはダウンタウンブルックリンにある、同校のLower Elementaryクラス。
大きな窓から入る光と木目とグレーを基調にしたすっきりした教室は同校のイメージにぴったりの明るくオープンな雰囲気です。同校では学年ごとにクラスがわかれず、4歳と5歳の2学年が一緒のクラスで学んでいます。
Alt Schoolの一日は朝8時から9時までの「オープンドロップオフ」から始まります。生徒たちはこの一時間の間にいつでも登校でき、その間に各自思い思いに自分の好きな勉強を始めるのです。
万が一遅刻する場合でも、Alt Schoolの専用アプリからボタンを一つ押すだけで学校への連絡ができるようになっていてとっても便利。
何事もペースの速いニューヨークでは、せかせかしている人が多いですが、先生方からは「遅刻しても絶対に子どもを叱らないでください!」といわれるほど学校ではリラックスした空気が流れています。
子どもの脳は常にフル回転!テーマを深掘りしながら自分で考えるスタイル
同校では子どもの主体性を奨励する環境にあり、教えるというより「考えさせること」を常に学びの軸にしています。
例えば算数の授業では、先生が「何をするとこの数字になるでしょう?」という疑問を投げかけ、子どもたちにいくつも答えを考えさせます。理科の授業では、地球について勉強していましたが、まず粘土で実際に地球を作るところからはじまるのです。地球が層でできていることを学習させるため、地層の部分もきちんと手でつくらせます。
こうして、一つのテーマを表面的に学ぶのではなく奥深く勉強していく姿勢がみられます。常に自分で考える習慣を身につけているので、子どもたちが脳を常にフル回転しているのがよくわかります。
またグループで課題をするときも、子どもたち自身で役割分担を決めさせています。社会にでればグループでさまざまなプロジェクトを作り上げていくのは必須の作業。それを意識して、ほかの人とどのようにコラボレーションをすればいいのかを体験を通じてダイナミックに学んでいるのです。
そして、考えて学んだことを効果的に人に伝えることも大切なコミュニケーションの要素。クラスでは子どもに発言する機会をたくさん与えてくれています。
一人ひとりのキャパシティをしっかり理解し、個別に課題を与えることで、子どもたちもそれに精いっぱい応えようとしているのが垣間みえるこの教育スタイル。親としても、毎日ぐんぐんと子どもが知識を吸収しているのが実感できます。
子どもの可能性を広げてくれるAlt School。どんな大人になるのか将来がとっても楽しみです!
Alt Schoolのこれから
同校では学校経営のほかに教育や関連アプリのシステム開発部門があります。10月には開発したパーソナリゼーションメソッドを数校にライセンスすることになり、将来的には公立学校にもそのシステムを導入するような計画を進めています。
これからの社会に必要なスキルを子どもの能力に沿って丁寧に育むAlt School。今後このツールやメソッドが全米で展開されることを期待する限りです。
▼前編はこちら
元Google社員が創った今話題の学校「Alt School」【前編】ビッグデータ分析でパーソナライズ教育へ、未来の教育の形とは
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。