マルコメ直伝「味噌作りで子どもを伸ばすコツ」小学校受験や自由研究にも役立つ体験
見た目や味の変化を五感で感じられる味噌作りは子どもにとって最高の学びであり、小学校受験にも役立つ体験ですが、「なんだか難しそう」と思われる人も多いかもしれません。
そこで今回は、味噌のプロ「マルコメ 株式会社(以下、マルコメ)」で食育ご担当の須田信広 さんに、味噌の魅力や学びの深め方についてお話を伺いました。食べ比べもできる工場見学や絶対に失敗しない味噌作りのコツも必見です!
目次
味噌の歴史は1300年! 知っておきたい味噌の基礎知識
味噌の歴史は1300年
味噌の起源は古代中国の食品「醤(しょう/ひしお)」だと考えられていますが、日本にいつ頃伝来したかは、よくわかっていません。大宝律令(701年)に「未醤」の文字が書かれており、これが「みしょう→みそ」へと変化していったと言われています。
平安時代では地位の高い人の贅沢品でしたが、鎌倉時代に武士の一汁一菜の食事が確立し、味噌汁や味噌文化が広まったそうです。ちなみに、信州味噌は、武田信玄が行軍用の兵糧として造らせた「川中島溜り」が起源とされています。
味噌は、1300年もの長い間、日本人の食生活を支えてきた伝統食品なのです。詳しく知りたい方はHPをご覧ください。
味噌について知っておきたい3つのこと
その1 主な原料は大豆(煮汁も含む)と塩と麹だけである
その2 世の中の80%が米味噌であり、塩の配合で味(甘口・辛口)が変わる
その3 まったく同じ材料でも熟成度合いで色も味も香りも変わる
こうした基礎知識を知ったうえで味噌作りをすると、より深い学びとなるはずです。
味噌の種類は全部で4つ!
味噌の種類は米味噌、麦味噌、豆味噌、調合味噌の4つで、現在国内で生産されている8割が米味噌です。シンプルな材料でも味の違いがあるのは、その配合と熟成期間によるものです。ちなみに、「無添加味噌」とは、熟成タンクから出した蔵出し味噌にアルコール添加をせずにそのまま容器に充填した味噌のことを言います。
そのため、流通過程で酵母が活動して発酵し、容器が膨張することがありますが品質には全く問題ありません。
小学校受験や自由研究でも役立つ! 子どもが味噌作りで得られる学びとは?
__味噌作り体験では、子どもにとってどのような学びが得られるのでしょうか?
味噌作り体験では、以下のような学びがあると考えています。
・「大豆をつぶして米麹と塩と水を手で混ぜる」シンプルな工程は子どもでも楽しい
・小学校3年生の国語で習う「すがたをかえる大豆」ともリンクする
・「麹かび(コウジカビ)」という生きた菌(国菌)に触れられる(発酵食品への理解が深まる)
・持ち帰って見た目や香りなどの変化を観察できる(自由研究にも最適!)
・夏だと1~2ヵ月、冬だと半年ほど熟成に時間がかかるため、気温や季節の変化にも敏感になる
私はこれまで多くの子どもたちに味噌作り体験や学校で味噌の出前授業を行ってきましたが、言葉で「熟成する」と読むのと、実際に五感を使う体験では、理解度が全く異なります。何と言っても一番の魅力は、“子どもたちの記憶に残せる”ということです。
味噌作り体験で学んだことを自由研究にまとめて賞を取ったお子さん や、味噌作りの工程や食育体験が小学校受験にも活かせたという声もいただいています。
日本人にとって身近な調味料だからこそ、作る工程や味の変化に感動できるのです。お子さんはもちろん、大人の方もぜひ一度は体験してほしいですね。
マルコメで大人気の工場見学&味噌作り体験でできること
__工場見学や味噌づくり体験施設ではどんなことができますか
マルコメには2つの体験施設があります。
団体向けの「マルコメ本社工場見学ツアー」
長野市にあるマルコメ本社工場は、主に学校などの団体利用を目的としている社会科見学施設です。30トンもある麹を製造する巨大な麹室(こうじむろ)や、1分間に味噌120個を充填する機械など、貴重な味噌作りを見学することができます。「味噌の食べ比べ教室」も人気です。
https://www.marukome.co.jp/factorytour/
個人でも予約可能な「美麻高原蔵みそ仕込み体験」
https://www.marukome.co.jp/miasa/detail03/
長野県大町市にあるの美麻高原蔵は、1名からでも味噌作り体験ができる施設です(3日前までに要予約)。
体験には1.5kgの味噌を仕込んでお持ち帰りできる「みそ仕込み体験」(1セット2,000円)」ができ、希望すれば9種類の味噌を食べ比べできる「みそ食べ比べ教室」(要事前予約、無料)も追加体験できます。
手ぶらで味噌作り体験ができること、さらに北アルプスを臨む避暑地にあるため、特に夏休みの利用者が多いです。
味見も大事な工程!
味噌作り体験では、作る前に、蒸した豆や米麹を少量味見することから始まります。豆本来の味や麹のほんのりとした甘さを感じ、混ぜただけの熟成する前の味噌とできあがった味噌も食べ比べしてみます。
仕込んだ熟成する前の味噌は、最初はしょっぱいだけなのですが、発酵・熟成していくと甘味やうまみが増していきます。ご自宅に持ち帰ってから、時々においを嗅いでみたり、少し味見をして熟成の変化を感じていただくとより深い学びとなるはずです。
プロが直伝! 絶対に失敗しない味噌作りのコツ
__家庭で手作り味噌を作る際の失敗しないコツがあれば教えてください
マルコメでは、年間3,000件以上の味噌仕込み体験を行っていますが、過去に1度も失敗したという声は聞きません。決められたものをきちんと混ぜればまず失敗しないはずです。ご家庭で作る際は、以下の点を意識してみてください。
ポイントは保存状態よりも配合
味噌作りは塩分と水分のバランスを崩すと異常発酵状態になって、酸っぱくなり、味噌にならないこともあります。そのため、塩分が心配だからといって、規定の配分配合から塩を控えるのは避けましょう。
仕込んだらかき混ぜずに放置でOK
熟成は暖かくなるとより早まりますが、直射日光や35度以上の場所は避けて常温保存すればOKです。工場などの大規模な仕込みでは「天地返し」と言ってかき混ぜますが、家庭用の少量の場合は酸化するだけなので、かき混ぜずそのままで問題ありません。
容器はポリビニール袋が手軽でカビの心配もなし!
ホウロウの容器に塩で蓋をしてラップで密閉をする手法もありますが、わずかな隙間からカビが発生してしまうことがあります。
そのため、我々のキットや味噌作り体験では、ポリビニール袋に材料を入れ、袋の外から混ぜて、空気を抜いて袋をゴムで縛ってそのまま熟成させる手法をとっています。袋なら発酵熟成途中で容器が膨れてきたらガスを抜くのも簡単ですし、塩で蓋をすると食べる際に表面を削り取りますが、袋なら仕込んだ味噌100%を食べることができます。
「素手で混ぜる方が美味しい」は迷信!
これもよく質問されるのですが、手についた菌は味噌の塩分で死んでしまいます。ご自宅で食べる分は手洗い消毒をすれば素手でも問題ありませんが、味噌作り体験では衛生面からも袋の外から揉み込んで混ぜる方法をとっています。
味噌の材料や作り方はHPにも記載しています。オンラインで購入できる便利な「みそ手づくりキット」もおすすめです。
マルコメ流、ワンランク上の味噌汁の作り方
__市販の味噌は種類が多いですが、選ぶポイントについて教えてください
米味噌、麦味噌、豆味噌とありますが、初心者には米味噌の中で甘口の味噌と辛口の味噌の2種類から始めてみるとよいでしょう。米味噌で同じ塩分ならお米がたくさん入っているほど甘くなり、大豆が多くなると辛口となります。
色の違う味噌を使うのもよいでしょう。赤味噌や白味噌に定義はありませんが、熟成期間と材料の配分によって色が変わってきます。一般的に淡い色の味噌はさっぱり・すっきり、濃い色の味噌はコクがあって濃厚です。色が異なる2種類を混ぜて使うのも、深い味わいが出ておすすめです。
__いつもの味噌汁をワンランク上の味にするコツはありますか?
豆腐などさっぱりした味の具材なら淡い色の味噌、しじみなどの貝類や癖のある具材には色の濃い味噌がよく合います。料亭だと夏は酸味のある赤味噌、冬は甘味のある白味噌など季節によって使い分けているところもあります。
また、味噌汁の香りが一番たち、おいしく飲める温度は75℃とされています。沸騰直前(煮えばな)の95℃で火を止めてお椀によそうと、食べるころに丁度良い温度になっています。
仕上げに、ごまやねぎ、三つ葉や青じそなど、「吸い口」と呼ばれる香りの薬味を添えると、ワンランク上の味噌汁になります。
__味噌汁は1日何杯まで飲んでよいのでしょうか?
味噌自体は10〜13%程度の塩分を含んでいて、多量に摂取すると塩分過多になってしまいますが、お湯に溶かせば味噌汁1杯あたり1gちょっとの塩分量です。カレーやラーメンなどと比べたら断然低いですし、1日2杯程度の味噌汁であれば問題ないと思います。
ある研究によると、味噌汁を飲んでも血圧には影響しないだけではなく、味噌汁を飲む人は高血圧になるリスクが下がるという結果もあります。
塩分が気になる方は、塩分の排出を促すカリウムを多く含むわかめや根菜を具にするのもよいでしょう。さらに、大豆を含む味噌には水溶性食物繊維が豊富ですから、お子さんの便秘解消にもぴったりです。旬の食材をどっさり入れておかずにもなる「食べる味噌汁」も栄養満点です。
この記事を読んで、少しでも味噌という身近な食材に興味・関心を持っていただき、お子さんと五感で感じる味噌作り体験にもぜひ挑戦していただければ幸いです。そして、日本の伝統食材である味噌をご家族で味わっていただきたいですね。
【食育】 子ども×料理で非認知能力や生きる力を伸ばそう!
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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