子どもの好奇心を伸ばす!図鑑活用術【第2回 〜魚編〜】
これからの時代は「何か強みのある子が強い」と言われています。とはいえ、子どもの興味関心の伸ばし方は親がそのジャンルに詳しくないと難しいもの……。
そこで、各ジャンルのプロフェッショナルが集結する、KADOKAWA図鑑編集部の方々に「子どもの興味関心の引き出し方のコツ」を伺っていく新連載がスタート。図鑑に子どもの好奇心を刺激する効果や、脳の発達への良い影響を期待するご両親も多いかと思います。第2回はこれからの季節、魚釣りや水族館などのお出かけにもぴったりな「魚編」。図鑑編集部の小出さんと小荒井編集長にお聞きしました。
目次
魚図鑑ならではの楽しみ方
__魚図鑑ならではの楽しみ方を教えてください
魚は、図鑑で見た種を水族館などで実際に見たり触れたりできるのが他のジャンルとは異なります。昆虫好きな子が、魚も好きになる例が多いのも、「実際に見たり触れたりできる」という共通項があるからだと思います。魚釣りとなると、船に乗ったり道具や専門知識が必要だったり、ややハードルが高いイメージがあるかもしれませんが、食べ物という身近な存在でもあるので、たとえば近所のスーパーでも立派な魚を深める体験になります。
また、魚図鑑を編集する際に先生方から教えていただいたのですが、魚以外にも身近に水の生き物はいっぱいいるんです。たとえば川や海に行って網で水をすくうだけでも、アメンボやタニシ、ミジンコなどといった小さな生きものや海藻類もとれますよね。それを持ち帰って図鑑で調べるのも楽しいですよ。
子どもたちに人気のサメや深海魚からの広げ方
__子どもたちに人気の魚ベスト3を教えてください!
読者の子どもたちに話を聞いた私の感想ですが、大きくわけると3つの視点があるようです。
その①サメ
「強くてかっこいい」「簡単には出会えない」といった、憧れ的存在。実はサメにはかなりの種類があるので、その奥深さから「危険生物」に興味を示す子も多いです。
その②形が面白い魚
ハリセンボン、メガネモチノウオ、エレファントノーズフィッシュといった、形が面白い珍しい魚も人気です。それらのルーツや進化をたどる面白さもあります。そこから、「絶滅動物」や「爬虫類」「危険生物」などに広がっていく子も多いです。
その③深海魚
テレビで水揚げされたというニュースを目にする機会があったリュウグウノツカイをはじめ、スライムのようなメンダコ、脳が透明なデメニギスなど、珍しい深海魚も人気があります。魚図鑑とは別に、深海図鑑で1冊の図鑑が作れるほど人気があります。深海は宇宙に行くより近いけれど、簡単には行けないですから、宇宙と同じくらい未知な世界だと言われています。そう言った興味関心の広げ方も面白いと思います。
海はつながっているのに魚の種類で生息地が異なる理由とは?
__どんなところにこだわって編集されましたか?
やはり、生息地別で編集したのが、GET!ならではです。一般的な〇〇種、△△科といった人間が決めた魚の分類にこだわらない図鑑になっているのは他社と大きく違う点だと思います。
魚の生息地はおおまかに「水深」と「水温」でわけられています。海はつながっているからどこでも行けるはずなのに、種類によって生息する場所が決まっているのがおもしろいですよね。まさに、生き物って環境で生かされているなと感じます。
たとえば、海と川、池で生息する魚が違うのはご存じかもしれませんが、外洋(岸から遠い海)では外洋をぐるぐる回っている魚(カジキ、まぐろ、サメ、マンボウなど)が多くて、沿岸(岸から近い海)は、北海道だとホッケやシシャモ、沖縄などだと熱帯魚など、日本は縦に長いので水温環境が大きく変わって住む魚も全然違うんです。
さらに、魚の漁獲量はエネルギー革命でも影響を受けてきましたし、環境破壊や温暖化によって生息地域が変わってきているので、政治や経済、地球環境など日々のニュースを見ていると、さまざまな分野とリンクしているのも奥が深いなと感じます。
日本は世界一の水族館大国だって知っていますか?
__魚をリアルに体験できる場所を教えてください
実は日本は世界で一番水族館が多い水族館大国なんです。各水族館で、その地域の海流や生息する魚の種類を紹介しているブースがあることも多いですから、自分の住む地域はもちろん、旅行に行った際に、その地域の水族館に行ってみると面白いですよ。ここでは一部紹介しますが、全国の水族館はこちら(https://yomeruba.com/plus/play/get-aquarium/)でチェックしてみてください。
新潟市水族館 マリンピア日本海 (新潟県)
約500種2万点の水生生物に出会える日本海側有数の規模を誇る水族館。毎日行われているアクアラボ体験も人気です。https://www.marinepia.or.jp
世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ(岐阜県)
世界最大級の淡水魚水族館を有するアクア・トトぎふは、「淡水魚好きの聖地」と言われている水族館です。水族館のまわりにいる生き物さがしのフィールドワークなど、子ども向けのアクティビティも豊富です。
https://aquatotto.com/index.php
新江ノ島水族館(神奈川県)
右手に富士山、左手に江の島と絶好のロケーションを活用した水族館。神奈川の近くの海にいる魚はもちろん、江の島のあたりは深海が近いので深海魚も見られるのが魅力です。
https://www.enosui.com
水族館以外に、食べ物から深められるのも魚ならではです。子どもたちにとって一番手軽なのはお寿司屋さんでしょうか。お寿司を食べながら「これってどんなお魚だと思う?」と家に帰ってから図鑑で調べたり、〇〇産サーモンなどと産地が書いてあるので、そこから調べることもできます。
身近な魚は自由研究や探求学習にもぴったり
__自由研究などの題材にする人も多いようですね
最近では、小学校の夏休みの自由研究以外に、普段の宿題で調べ学習があったりしますよね。そこで、身近な魚を題材にしてみるのも面白いと思います。海水魚専門の小枝圭太先生に魚の自由研究のネタをアドバイスいただいた記事がありますので、詳しくはこちらのサイト(https://yomeruba.com/plus/edu/get-sakana-jiyukenkyu/)をご覧ください。
たとえば私も実際に子どもと試してみたのですが、「耳石探し」も手軽でおすすめです。
魚が泳ぐ際にバランスをとるために頭蓋骨にある米粒サイズの小さな石なのですが、意外と簡単に探せるんです。私はタイの耳石を探したのですが、そのあと調理して食べるのも含めて、いい体験になりました。こういうテーマでレポートを出して来たら、きっと先生たちも驚くと思いますし、何より理科がどんどん好きになっていくのではないでしょうか。
__魚に興味を持ったら、どのように興味関心を深めていけばいいですか?
これは魚に限ったことではありませんが、やはり、体験したことがらを身近な人に共有することが学びを深める一歩です。ノートに書いてまとめる以外に、動画に撮って家族に自分の言葉で発信するアウトプットの仕方も面白いと思います。
幼児が魚に興味を持ったら『おさかなさがしえずかん』から始めるのもおすすめです。
図鑑的知識も絵本感覚でライトに学べるアクティビティブックになっています。
また、前述したとおり大人気のサメをもっと深めたくなったら、美ら海水族館のみなさんに書いていただいた、80種のサメが載っている『サメすご図鑑』もおすすめです。
いかがでしたか。身近な魚について知れば知るほど、奥が深いなと感じました。スーパーでも手に入る身近な魚をきっかけに、親子でいろいろな体験をしながら、興味関心を広げて行ってみてくださいね。
子どもの好奇心を伸ばす!図鑑活用術【第1回 〜恐竜編〜】
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
X(旧Twitter)、Instagram、Youtubeちゃんねる、Facebookにて最新更新情報やオリジナルの動画コンテンツを発信中!ぜひフォローください♪