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年齢別で解説!おうち遊びで「非認知能力」を伸ばす方法

年齢別で解説!おうち遊びで「非認知能力」を伸ばす方法

「非認知能力」という言葉をご存知でしょうか。ペーパー試験などで測りやすい能力を認知能力と呼ぶのに対し、我慢する力ややり抜く力など測ることが難しい能力を非認知能力と言います。将来大人になってから、社会的経済的に成功をもたらすのは、この「非認知能力」が大きく影響をしていると外国で研究が進められ、日本でも今や幼児教育を語る上では欠かせないキーワードになっています。

今回は、そんな「非認知能力」をおうち遊びで伸ばす方法とそれをサポートする際に親が注意したいことについて、年齢別で解説していきます!

まずは、子育て支援士の田宮由美さんに非認知能力の基本知識について解説いただきました。

非認知能力とは?

積み木を積む・文字を書く・跳び箱を飛ぶなど、ハッキリと成果が分かる認知能力に対し、

・積み木を高く積もうとする「集中力」、
・文字を覚え手紙を書けるようになりたいという「意欲」、
・跳び箱を何度も繰り返し練習する「努力」などを非認知能力と言います。

他にも、

・困難にぶつかった時の「忍耐力」や「回復力」
・最後まで「やり抜こうとする力」
・人と上手にコミュニケーションを取ったり、協力し合う「社会性」や「協調性」
・規律やルールを守る「自制心」や「制御力」
・「感情を上手にコントロールする力」
・新しいモノを生み出す「創造力」や「発想力」

なども非認知能力です。測ることが困難でどれだけ身についたか分かりにくい力ですので、見落とされがちになることもあるでしょう。ですがこれらこそが、後に子どもの人生を豊かにしていく能力だと言われています。

非認知能力が低いと子どもの将来に影響する!?

「非認知能力」というこの言葉が注目され出したのは、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマン教授の研究からです。

アメリカに住む低所得者層家庭の3〜4歳児の子どもたちを2つのグループに分け、非認知能力の向上に重きをおいた就学前教育を施す子どもと施さない子どもを比較し、追跡調査をする実験を行いました。その結果、教育を受けた子どもと受けなかった子どもを比べると、基礎学力の到達度や、将来大人になってからの月収や持ち家率はいずれも、就学前教育を受けた者の方が優れているということが導き出されました。

このように非認知能力とは、子どもの将来に大きく影響すると言われており、つまり、幼少期(4~5歳まで)に非認知能力を高めることが、その後の思考に繋がると言われている理由なのです。

おうち遊びで気を付けたい3つの環境

非認知能力は教えて身についていくものではなく、子どもが自ら積極的に取り組むことで育まれていくのがほとんどでしょう。

遊びにおいても、「このように遊びなさい」と、指示や命令をするものではないですし、単に遊ばせているだけでよいわけでもありません。親がすべきことは、子どもに非認知能力を育みやすい「遊びの環境」を整えること。親が注意したいのは以下の3つの環境です。

その1 子どもが自由に、のびのび遊べる「安心・安全な環境」
その2 子どもが遊びに熱中できる時間
その3 スマホやTVなどの受動的な遊びではなく、子どもが「自主的・能動的に取り組める遊び」

では、実際に家庭での遊びでどのように非認知能力を鍛えていけばいいのでしょうか。
伸芽会佐藤眞理先生の著書『伸芽会式 非認知能力の伸ばし方』より、年齢別で意識したい「遊び」にフォーカスして解説していきたいと思います。

伸芽会式、非認知能力を鍛えるおうち遊びとは?

子どもたちにとって、生活の中心は遊ぶこと。幼児期を十分遊ばずに早くから詰め込み型教育をしてしまうと、その学習効果よりもマイナス面の方が多く出るという研究結果もあるようです。伸芽会では、幼児期に身につけておきたい「5つの力」を掲げていますが、これらは、学びの大事な土台となる認知能力であり、非認知能力を養うためにも必要な力となると言います。

0~1歳は「見る力」を育もう

この時期は目に入るものが一つひとつ刺激になりますが、注意したいのが「人の顔を見る力」をつけること。これはその後の聞く・話す力にも通じてきます。

生後4ヵ月くらいになったら「いないいないばあ」やそれを発展させた空き箱2つのどちらかにバナナを入れてどこに入っているかを当てさせる「バナナはどーこ?」遊びもおすすめ。集中して見ることで非認知能力の一つである「集中力」も身についていきます。

2歳は理解して「聞く力」を養おう

2歳では語彙力が400ほどと言われています。まだ言葉の意味をすべては理解していなくても、たくさん話しかけて聞く力を意識しましょう。その際注意してほしいことは、しっかりと子どもの目を見て話すこと。

2語文や3語文も理解できてきたら、「何の音かな」クイズがおすすめ。外から聞こえる風の音やサイレンの音に「何の音かな?」と耳を澄ましてみたり、一緒にイメージを膨らませることで、聞く力はもちろん、非認知能力の一つである「集中力」や「想像力」も養えます。

3歳は「コミュニケーション力」を身につけよう

幼稚園に通い出す3歳は、1体1の関係から集団生活になる時期。同世代の集団遊びを通してコミュニケーション力が飛躍的に伸びていきます。お友達との関わりで、見る・聞く+話すことで非認知能力の「コミュニケーション力」や「自制心」につなげていきましょう。

オススメの遊びは「なぜなぜキャッチボール」。子どもの視野が広がる言葉がけや会話をしながらうまく言葉を引き出すのが理想的です。雨を見て「太陽が泣いているよ」→「なんで泣いているんだろうね?」→「ママに会いたいんじゃない?」→「さみしいのかな」など。

この時期は特に、お子さんにかける言葉を惜しまないことも大切です。

4歳は「考える力」を養おう

4歳は親子の意思疎通がよりしっかりとできるようになってくる時期。語彙力も豊かになり、より複雑な思考が働くようになってくるので、4歳では「考える力」を着実に身につけることを目標に。そのためには「なぜ?」「どうして?」がスタート。それを解き明かそうと奮闘するプロセスこそが「想像力」「発想力」といった非認知能力となるからです。「もしも〇〇だったら」や「あれはなんだろう?」と会話をしながら想像力を膨らませるゲームがオススメです。

5歳は「行う力」につなげよう

5~6歳の年長さんは知識も増え、論理的にものごとが考えられるようになり、問題解決能力も劇的に高まります。これまで培ってきた「見る」「聞く」「話す」「考える」「行う」という一連の流れを総合的に行えることが目標です。そのためには、非認知能力でいう「最後までやり抜こうとする力」や「自信」「自己肯定感」も必要となってきます。こうした総合的な力を伸ばすには、休日に何をするかの計画やお誕生日会を企画して一緒に実行していくのがおすすめです。

非認知能力を伸ばすには失敗体験と自然体験がカギ

また、非認知能力を伸ばす上で欠かせないのが「失敗する体験」と「自然体験」だと、佐藤眞理先生は言います。

「失敗する経験」

今の子は親が何事も先回りしてしまうため失敗する経験が少ないと思います。また、一人っ子などは誰かに負ける経験が少なく、完璧主義の女の子などは折り紙などの失敗を隠したがる子もいます。子どもは失敗から学習していきます。幼児期にたくさん失敗したり、負けて悔しい思いをする体験はとても重要なのです。

「自然体験」

イメージすること=考えることの基であり原型です。たとえば、TVや絵本で見る海と実際の海は違いますよね。実際にいろんなものを見て触って、感じる自然体験が多い子はイメージする創造力が豊富になるので、頭の中で考えられる子になるのです。そうした自然体験で得た発見や驚きは、知識の記憶を定着させる大きな原動力になります。

失敗体験と自然体験を意識しながら、出来る範囲でおうち遊びで非認知能力を養っていきましょう!

キーワードは家庭での「ルール作り」と「対話」

『非認知能力の育て方』の著者であるボーク重子さん(Shigeko Bork BYBS Coaching LLC 代表)は、非認知能力を伸ばすために、「家庭でのルール作り」と「対話」にフォーカスしていたそうです。

子どもの自己肯定感を高めたり、自信を持たせたり自由に遊んだり意見するのは非認知能力を高める上では大切ですが、なんでも好き勝手にやっていいというわけではありません。4歳以降だときちんと説明すればルールを理解できる発達段階にあるので、家族でのルールを決める話し合いに子どもも参加させ、自ら守らせることによって、自己肯定感や達成感、自制心、自主性などの非認知能力が育んでいきましょう。

また、ルール決めの話し合いでは家族の「対話」がカギとなると言います。

その際、親が意識したいのは

イエス・ノーでは答えられないオープンな質問に(「どうすればいいと思う?」など)
イライラしても否定的な言葉を使わず、怒鳴らない
子どもの能力よりプロセス(努力)を褒める(「偉いね」ではなく「よく頑張ったね」)
論理的な対話で自制心を伸ばす(今〇〇しているから少し待ってね。そうしないと〇〇になるでしょうなど)
親の思い込みを押し付けない(「~しなさい」ではなく「あなたならどうする?」)

ボーク家では、娘のスカイさんが小さい時から食事の際に「今日楽しかったこと」から政治や美術など今気になる話題について家族でディスカッションしていたと言います。

「自分と違う意見やものの見方があると知ると面白い」
「自分の考えや意見を言うことは特別なことではなく、必要なこと」
と幼少期から知ることで、非認知能力でいう「コミュニケーション力」が身につき、人前でも自信を持って自己表現できる子になるそうです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください!
https://www.shinga-farm.com/parenting/bork-shigeko-interview/

「非認知能力」は家庭の遊びでも十分に伸ばしていけますが、「認知能力」が土台となっているということがわかりました。無理のない範囲で、楽しみながら親子で実践していきましょう!

〇参考文献
『伸芽会式 非認知能力の伸ばし方』(佐藤眞理)
『非認知能力の育て方』(ボーク重子)
第3回自己肯定感を高める3週間BYBSコーチング(2022年1月8日開催、一般募集開始12月13日~)、第7期生ボーク重子認定非認知能力育児コーチ課程(2022年2月開講、一般募集開始1月3日~)などボークさんの非認知能力メソッドを学ぶ機会も。詳しくはHP(https://bybscoachingbyshigekobork.com)を。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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