図鑑でわが子を伸ばすには? KADOKAWA図鑑編集部小荒井編集長×伸芽会教育研究所麻生先生

図鑑でわが子を伸ばすには? KADOKAWA図鑑編集部小荒井編集長×伸芽会教育研究所麻生先生

「頭がいい子の家のリビングには図鑑がある!」という話を耳にしたことがある人は多いと思いますが、実際のところ、図鑑のあるご家庭のお子さんはかしこいのでしょうか。そんな疑問を解決すべく、今回はKADOKAWA図鑑編集部の小荒井編集長と伸芽会教育研究所の麻生先生のスペシャル対談が実現。小学校受験における図鑑活用術や図鑑を買ったままで終わらせないコツも必見です!

またKADOKAWA図鑑編集部の方々に、様々なジャンルの図鑑を通じた「子どもの興味関心の引き出し方のコツ」を伺っていくコラムシリーズも公開中。ぜひ合わせてご覧ください!

「子どもの好奇心を伸ばす!図鑑活用術」連載記事一覧
子どもの好奇心を伸ばす!図鑑活用術【第1回 〜恐竜編〜】
子どもの好奇心を伸ばす!図鑑活用術【第2回 〜魚編〜】
子どもの好奇心を伸ばす!図鑑活用術【第3回 〜人体図鑑編〜】

幼児期の学びと図鑑が果たす役割とは?

__幼児期の学びと図鑑が果たす役割についてどのようにお考えですか?

麻生先生:小学校受験では絵画を出題する学校も少なくありません。その際、描く表現力も大切ですが、その時にテスターに「何を描いてるのですか?」と途中で質問された際の会話も重要なポイントなんです。「魚とイスと自分がでてくる絵を描く」というある学校の課題で、魚が大好きな男の子がカジキマグロを釣っている自分の絵を描いて、頭から突き出た吻(フン)の説明を熱く語り見事合格したという例がありました。

自分が好きなことを自信をもって相手に伝える意欲がある子は、とても魅力を感じます。そして何より、そういうお子さんは、親御さんがきっかけを与えたり、興味の幅の広げ方が上手なんです。そんなご家庭はきっと、親子で一緒に図鑑を広げる機会も多いと思います。

小荒井編集長:私は雑誌の編集部にいたんですが、図鑑編集部に来てから、いろんなジャンルの知識が増えて、休みの日などに、子どもに多少面白い話ができるようになりました。図鑑は親子の会話のツールにもなるなと実感しています。子どもがそのとき興味があるものに対して働きかけてあげる、同じものに興味を持つことって幼児期においてとても大事ですよね。

麻生先生:素晴らしいですね。小学校受験でも親子面接が非常に多いのは、ご家庭の雰囲気を見たいからなんです。普段から会話が多いご家庭は自然に対応できますから、図鑑を会話のツールとして雰囲気作りに役立ちますよね。「じゃあこれ知ってる?」などと親子でクイズを出し合うのもお子さんにとっても楽しいと思います。

伸芽会式、小学校受験対策の図鑑活用法!

__小学校受験対策では図鑑をどのように活用していますか?

麻生先生:小学校受験では、「これは何の種かな?」「たまごで生まれるものにはどんな生き物がいるかな?」などといった植物や動物に関する課題や、仲間分けする問題が常識の課題としてよく出題されます。
毎年、授業の中で、ちょうちょの一部分や、鶏の胴体だけ描いてある絵に、足りないところを書き足してみようという課題をしています。びっくりするような絵を描く子もいましたが(笑)、授業ではあえて答え合わせをせず、持ち帰って親御さんに見てもらって、「おうちでお子さんと一緒に図鑑などで答え合わせをしてみてください」とお伝えしました。
最初は上手くできなくても、知識を身につけるためには、あえてすぐに答え合わせをしないことって大切ですよね。

小荒井編集長:同感です。わからないことがあったらすぐ調べるのではなくて、一瞬でも大人が「なんでだと思う?」と聞き返すのって大事だと感じます。自分の中で一度仮説を立てるというか。

麻生先生:そうなんです。伸芽会では子どもたちに気づかせる問いかけを意識して、教師自身が「つぶやく」指導を大切にしています。「あれ?おかしいな」「なんでだろう?」と言うことで、子どもたちが何かに気づいてくれるんです。「どんな色かな?」「何を食べるんだろう……」など、キーワードをちりばめることで、その違いに気づけるようになるんです。

小荒井編集長:そこが学びの楽しい瞬間ですよね。一方で、知っていることでもあえて時間をかけて図鑑で調べるというのも、興味を深める学びにつながると思います。

インターネットと図鑑の違い

__インターネットと図鑑にはどのような違いがありますか?

小荒井編集長:ネットはすぐに答えが出るメリットもありますが、知識のインプットで終わりがちです。大事なのは、もっと知りたいと思えること。興味を見つけるきっかけはネットでもいいですが、次の疑問につながりやすいのは図鑑かなと思います。
図鑑なら調べたいことに辿りつくまでに他のページもパラパラめくりますし、答えが載っていた箇所のまわりにも、いろんな情報が載っています。そこでまた、「あれ? こっちはどうなっているんだろう?」って思ってもらえるはずです。
1つ知ることが、次の疑問や、行動のきっかけにつながることが大事だと思います。インプットで終わらず、図鑑を知識のアウトプットのきっかけとして、使ってもらえたら嬉しいですね。

麻生先生:ネットは便利ですがフェイクもあるので、子どもにはそれを見抜くのは難しいと思います。その点図鑑は、事実に基づいた情報ですから安心できますよね。また、ネットでカブトムシと調べたらそれしか出てこないけれど、図鑑だと同じ場所に住んでいる虫や地域によって種類が違うなど、関連情報が得られるので、次に調べるきっかけになるのも魅力ですよね。
一方で、この動物どうやって動くか、といった疑問はネットの動画で見るのがいいかなとも思います。

小荒井編集長:最近の図鑑はQRコード付きで動画もリンクさせているものが多いですから、図鑑と動画をリンクさせるのはとてもいい使い方かと思います。
パソコンやスマホから図鑑GET+を楽しめるこちらのサイトもぜひチェックしてみてください(https://plus.zukanget.com)。

図鑑を買っておしまいにしないコツ

__図鑑を買っておしまいにしないコツを教えてください!

麻生先生:息子の入学祝いに図鑑をいくつかそろえたのですが、買って満足してしまって、本棚から出すのがおっくうだったんですが、先日お友だちの影響で恐竜に興味を持ったので、すぐ手に取れるように机にそっと恐竜図鑑を置いておいたら、自分から見るようになりました。読者の方からそういったお悩みはありますか?

小荒井さん:よくあります。子どもの「ちょっと知りたいとき」が図鑑の活用チャンスなんです。ですから、本棚にきちんとしまうのではなく、テレビを見ているときやおやつ中の会話で出てきた話題に関連する図鑑をすっと近くに差し出す作戦はとても効果的です。
他には、動物園や水族館に行く前に一緒に行く大人が図鑑で「アフリカゾウはインドゾウと耳の大きさが違うとか」予習するんです。その知識を現地で家族に披露すれば、子どもも食いついてきますし、「ママすごい!パパすごい!」と尊敬されるはずです(笑)。

麻生先生:図鑑は改めて読むと大人も楽しいしかけがいっぱいですから、親が予習として活用するのもいいですね。例えば、動物園に行く前に読んだり、動物園から帰ってきてから子どもと「この動物見たよね」などと復習にも使えば、さらに知識が深まりそうです。

プレゼントに図鑑を贈る際は関連ジャンル2冊がおすすめ!

__クリスマスや誕生日など、プレゼントに図鑑を贈る際はどんなことに気をつけたらいいでしょうか?

小荒井編集長:図鑑は最初から一式そろえずに、興味のあるものから揃えていくほうが楽しめると思います。たとえば、同じ昆虫図鑑でも、出版社ごとに取り扱う昆虫や構成が違うので、「昆虫図鑑だけ数冊ある」という子も少なくありません。

そこから他のジャンルに興味を広げたい場合は、「虫 → 植物」「危険生物 → 絶滅危惧種」など関連するテーマにしていくといいと思います。たとえば、「宇宙と新海」も一見別のようですが、同じような研究方法であったり専門用語が出てくるので、楽しめると思いますよ。

プレゼントに図鑑を贈る際は関連ジャンル2冊がおすすめ!

疑問があったら図鑑編集部に聞いてみよう!

__最後に、今回の対談の感想や読者へのメッセージをお願いします。

小荒井編集長:図鑑は監修者の仮説や年代によって見解が違ってくることもあります。
もし、わからないことや監修者の先生に聞きたいことがあったら、ぜひ図鑑編集部にお手紙やメールで質問を送ってください。私たちのところにも全国の子どもたちからたくさんの質問が届くんですが、それが本当に嬉しいんです。わたしたちの図鑑を読んで、新たな疑問が生まれ、それを知りたい、と思ってくれたということなので。

また、図鑑に載っていることは本当に一部で、載せきれなかったこと、まだ分かっていないことがたくさんあります。だからこそ、多くの研究者たちが今も日々研究を重ねていますし、子どもたちに研究を引き継いでほしいと思っていることと思います。ぜひ「なんでだろう?」と思った気持ちを大切に育ててほしいと思います。

ちなみに「GET!恐竜」の監修者である千葉謙太郎先生は、子どものころから恐竜が大好きな「恐竜少年」だったそうです。そこから、同じく「GET!恐竜」の監修者である小林快次先生をはじめ、たくさんの先生のイベントに参加したり、師事したりして、ついに自分も恐竜の研究者になり、今では最先端で活躍されているんですよ。

麻生先生:とっても素敵なエピソードですね! 今度子どもたちにも話してみようと思います。子どもたちも未来の研究者になれる可能性が多いにありますし、大人でもわからないことがあるから何歳になっても学びは続く、ということを知るのもいい経験ですよね。

今回の対談で改めて、図鑑の奥深さを知ることが出来ましたし、答えや結果を急ぐのではなく、それを調べていく過程が学ぶ楽しさになるということを実感しました。

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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