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英語教育成功の秘訣は日本語力にあり!? 新発想のインタープリスクールの取り組みとは?

英語教育成功の秘訣は日本語力にあり!? 新発想のインタープリスクールの取り組みとは?

英語を重視するインターナショナル幼稚園が多数を占める中、インター入学を検討する親たちの間に「正しい日本語が身につかないのでは?」という不安の声があるのも事実。
そこで今回は、英語力だけでなく“日本人としてのアイデンティティ”もしっかり育てる独自カリキュラムで注目されるインターナショナルプリスクール「ファンシャインアカデミー」(池袋)の代表・早川真由美さんに、あえて日本語を大切にする理由、そして子どもたちが将来、世界で活躍するグローバルシチズンになるために必要な教育についてうかがいます!

早川真由美さん_profile
早川真由美(ファンシャインアカデミー インターナショナルプリスクール 代表取締役)
幼少期をシンガポール、日本で過ごした後、16歳で単身渡米。高校、大学時代をアメリカで過ごす。カリフォルニア州立大学卒業後、インテリアデザイン事務所、総合商社勤務を経て2010年、ファンシャインアカデミーを設立。http://www.funshine-eng.com/

ファンシャインアカデミーの教育理念について教えてください。

私たちは、子どもたちが世界共通語である英語でコミュニケーションできる力をしっかり身につけ、さらに母語である日本語力も伸ばすことができるプログラムを意識しています。なぜなら、私たちの教育のゴールは「3年後、流暢に英語を話せるようにすること」ではなく、「20歳になったときグローバルに価値を発揮する日本人を育てること」だからです。世界を舞台に活躍するためには、日本語や日本の伝統・文化への深い理解、つまり日本人としてのアイデンティティを身につけることがとても大切なのです。母語の力を高めることは、第二言語である英語力の向上にも非常に効果があるといわれています。

また、21世紀を生きる子どもたちに何よりも求められるのは、自分の意見を持ち、主体的に行動し、的確に自分を表現できる力です。そのため講師からの一方通行な指導ではなく、実践や体験にもとづいたインタラクティブな学び合い=アクティブ・ラーニングを重視し、子どもたちの自己表現力の養成に力を入れています。

ファンシャインアカデミーにはどのようなコースがありますか?

幼稚園に相当する「キンダーガーデン」(3〜5歳)、2歳児を対象にした「プリスクール」をメインに、1歳児向けの「プリ・プリスクール」(午前のみ)や他園に通うお子さん向けの「アフタースクール」など7つのクラスを用意しています。1クラスは10〜15名前後の少人数制で、現在約120名の生徒さんが在籍しています。講師はネイティブを含む外国人4名、日本人バイリンガル4名の計8名。全員が高い英語レベルを持つ、幼児教育の有資格者または保育経験者となっています。

具体的にはどのような授業を行っていますか?

基本的には、ネイティブ講師1名とバイリンガル日本人講師1名がペアになって授業を行います。オリジナル教材を中心に、英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)をバランスよく伸ばしていきます。一方で、日本の伝統文化や言葉を理解するため週に1度、日本語のみで授業を行う日を設けています。
さらに、語学だけではなく心身の健やかな発達もサポートするため、外部から講師を招いてスイミングや空手、体操、アート、音楽、知育プログラムなどのアクティビティを日替わりで取り入れ、必修化しています。
また、ユニークな試みとして「こども哲学」というクラスもスタートしました。講師がファシリテーターとなり、善悪で割り切れない“答えのない問題”をテーマに、ディスカッションするのです。授業を通じて、答えは一つとは限らないこと、そしてそれぞれの意見は尊重すべきであることを、早い時期から子どもたちに知ってもらうことがねらいです。

母語である日本語に対する取り組みや「子ども哲学」の導入など、ファンシャインアカデミーのプログラムには早川さんの教育に対するこだわりが反映されています。このような幼稚園を作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

2009年に長男が生まれたことです。私は幼少時をシンガポールで過ごし、その後、アメリカの高校・大学に進学したこともあり、息子にも早くから英語教育を受けさせたいと考えていました。
ところが、いざスクールを探してみると「英語も日本語も重視する」という私の理想と一致する学校がなかったのです。ならば自分で作ってしまおう、と考え、一念発起して池袋に小さな物件を借りました。生徒数は、わずか3名からのスタートでした。

他にもインターナショナル幼稚園は数多くありますが、ファンシャインアカデミーのいちばんの強みは何でしょうか?

他園とのもっとも大きな違いは、やはり母語である日本語教育を大切にしている点でしょう。
授業では、紙芝居や本の読み聞かせのほか、季節ごとの行事やアクティビティを通じて「言葉」と「文化」を体得していきます。子どもたちの日本語学習に対する関心も高く、みな年齢に応じた日本語力を身につけることができています。そのためインターナショナル幼稚園でありながら、小学校受験にもスムーズに対応できる点も大きな強みといえます。実際、当園を卒業後、都内の有名私立小学校に合格し、進学されるお子さんも少なくありません。

ファンシャインアカデミーの今後の展開、ビジョンについてお聞かせください。

繰り返しになりますが、私たちの目的は、より多くの子どもたちをグローバルに活躍する大人に育てることです。英語を話せるようになるだけではなく、世界中にあふれる豊かで多様な文化への理解=ユニバーサル・カルチャーという視点も忘れずに持っていてほしい。
そんな思いを胸に、来春、神谷町に新しいコンセプトの保育園(1〜5歳まで)をオープンします。こちらはインターナショナル幼稚園ではなく認可外保育園となりますが、これまでのノウハウを活かし、英語による授業も積極的に取り入れていく予定です。今後も、日本人としてのアイデンティティをコアに英語力というスキルを身につける、という新しいインターナショナル幼稚園の在り方を、さらに追求していきたいと思っています。

 

いかがでしたか? バイリンガル教育においては、英語ばかりを重視するのではなく、母語もしっかりと学ぶことが大切だといいます。ところが、小さい子どもたちは日常よく使う言葉ばかりを覚えてしまうもの。海外やインターといった英語環境では、意識して使う努力をしないと、母国語をどんどん忘れていってしまいます。3〜6歳まで息子をセブ島で子育てした私も、英語と日本語をバランス良く教えていくことの難しさに直面中です。子どもたちの将来の可能性を広げるためにも、日本語+英語のハイブリッド教育の選択肢がもっと増えることに期待しています。

著者プロフィール

ライター/親子留学アドバイザー。インタビューを中心に雑誌、Web、書籍等で活躍後、フィリピン・セブ島へ移住。2012〜2015年まで3年間、親子留学を経験。現在はライター業の傍ら、早期英語教育プログラムの開発・研究にも携わる。明治大学サービス創新研究所・客員研究員。

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