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【インター幼稚園ママたちの匿名座談会:後編】日本の受験システムから脱落する!?意外と知らないインタースクールの落とし穴

【インター幼稚園ママたちの匿名座談会:後編】日本の受験システムから脱落する!?意外と知らないインタースクールの落とし穴

後編では、インタースクールの選び方、さらに英語力が身につくことで選択肢が広がる一方で日本の受験システムにキャッチアップできない可能性も高まる……といった、インタースクールの落とし穴にも触れていきます。

▼前編はこちら
【インター幼稚園ママたちの匿名座談会:前編】「早いうちから学べば英語が身につく」は本当?

インターの落とし穴。日本語の受験システムに対応できない危険あり!?

編集部(以下編) AさんとBさんにお聞きしたいのですが、お子さんが英語系の幼稚園から小学校に進学してみて、何か発見や感じたことはありましたか?

Bさん
「そうですね……。幼児教育の大切さを痛感していますね。
長男は小学校のインターコースに入って英語で科目を学んでいますが、しっかり勉強させるプリスクールに通っていたせいか、勉強で困ったことがあまりないんです。
一方、長女は同じインターコースに入ったものの、英語の読み書きですでにつまずいている状態(笑)。幼児期の学習体験で、こんなに差がでるのか……と実感しています。」

Aさん
小さい頃から勉強の仕方がわかっている、というのは強いですよね。
Bさんの長男くんはずっと英語メインで学んできたのに、うちの娘より国語のテストの点数はいいですからね(笑)。」

Bさん
「でも、英語中心の教育にももちろんデメリットはあります
長男は、日本語で問題を解くことがすごく苦手。例えば国語では、ものの名前をひらがなで書く問題で、牛乳のイラストの横にある6つの空欄に『ぎゅうにゅう』じゃなくて『ミルクパック』って書いて不正解になっていたりするんですよ(笑)。」

 でも、ミルクパックはある意味、正解ですよね(笑)。

Bさん
「算数でも、問題文に出てくる『分母』とか『二等辺三角形』という単語がわからないから、解けないんです。英語ならわかるのに。」

Aさん
「うちの長女も同じです。英語で勉強する、という状況に慣れてしまうと、日本語で学習するのが難しくなってしまうんですよね。
なので我が家は、通信教育を上手く利用して日本語での学習を補完しています。」

Bさん
「うちは学習言語が英語になりつつあるので、このまま行くと日本の受験システムにはアジャストできないだろうな、と感じています
英語力が身につくことで選択肢が広がる一方、可能性が狭まってしまう側面もあるんですよね。実際には。」

Aさん
「本当に『英語と日本語、どっちを選ぶか?』という究極の選択になってきますよね。
うちはこの春から次女が公立小に転校、息子も同じ公立小に通いはじめましたが、娘が持ち帰ってきた英語のプリントの内容に衝撃を受けました……。」

 公立小では、どんな英語の勉強をしているんですか?

Aさん
「勉強というか、いろいろなスポーツのイラストと名称が英語で書いてあって、それをみんなで発音するという課題で。
先生から『きれいな発音でがんばりました』と評価コメントが書いてありました。正直『小3でこの程度なのか……』と不安になりました
案の定、次女はすごい勢いで英語を忘れつつありますね(泣)。」

Cさん
「お二人のお話、ものすごく勉強になります。今通っているスクールには小学部がありますが、幼稚園の施設を間借りしているような感じで、規模がとても小さく各科の教室もなく不充分な気がします。そのまま上にあげてもいいのですが、施設面で学費と見合わないかと……。
卒園後は公立小に行くお子さんも少なくないのですが、みなさん英語力の維持にものすごく悩んでいると聞きますし、我が家もそのまま小学部に上げるか、別のインターに行かせるか、または公立や私立の小学校に進むか、とても迷っています。」

インターナショナル幼稚園を選ぶなら、その先の進路も考えておくべし!

 多くのプリスクールは未就学時が対象で、小学部~高校まで通える学校は限られますよね。みなさん、お子さんの将来の進路についてどのように考えていましたか?

Bさん
「うーん、じつは幼稚園に入園した当初は、公立小でもいいと思っていたんです。
でもプリスクールで、思っていた以上に長男の英語や学習面で大きな実りがあったので、こんなにできるんだったら小学校もインターに進ませてあげたいな、と。
実際、長男は勉強が大好きで成績も良いので、結果的に良かったと思っています。なので、長女は最初から付属幼稚園を選びました。」

Aさん
「中学はどうするの? このままインターコースに進む予定?」

Bさん
「まさに今、悩んでます。さきほども言ったように、インターで中学校まで過ごした場合、もう日本語で大学受験をして日本の大学に進むのは相当難しくなるので……。」

Cさん
「インターを選んだ場合、高校は海外の学校に行かせて大学の帰国子女枠を狙うか、そのまま海外の大学を目指すか、どちらかになりますよね。
もしくは、国内のインタースクールの卒業生も帰国生と同様に帰国子女枠で受け入れてくれる学校もあるので、そういうところを選ぶか……。」

Aさん
「インターの多くは文科省認可の学校じゃないから、小・中学校卒業の資格がもらえません。
なので、小学5年生になるタイミングでお子さんを普通校に転校させて、中学受験に備える親御さんもいますよね。」

Cさん
「インター以外でも、園で学んだ英語をしっかり維持できる仕組みがあればベストですよね。
そういえば、うちのスクールは小学生を対象にしたオール・イングリッシュのアフタースクール(学童保育)をはじめています。
進学先として提携している私立小にシャトルバスを出すなど、卒園後のフォロー体制も充実してきているみたいです。」

Aさん
限られたリソースを、どう配分するかがカギですよね。
うちの次女と長男は公立小を選んだので、学費は無料になりました。幼稚園で身につけた英語は衰えていきますが、これまでかかっていた学費を塾や学童などに振り分けて、英語力をキープすることは可能です。
なので、必ずしもインターに行かせることだけが正解ではないと思っています。ただ、いずれにしても親は大変ですけどね。
日本語と英語、両方しっかり伸ばしていくには、親が相当子どもの教育にコミットしないと難しいと思う。」

Bさん
「送迎の問題もあるし、母親は教育に専念する形になっちゃいますよね……。お仕事しながらだと厳しい。」

Aさん
いろいろな意味で、親には『覚悟』が求められる気がしますね。
経済的な覚悟、勉強をフォローし続ける覚悟、合わなかったら転校する覚悟。」

Cさん
「そういえば、海外の幼稚園に通っていたとき、とても衝撃的なことがあって。
海外の親たちって、少しでも教育方針に違和感を覚えると、みなさんすぐに転校するんですね。合わないところに居続ける意味はない、といった感じで。
そのときはじめて『学校は自由に選んでいいのか』と気付きました。」

Bさん
「たしかに。日本のママたちは『せっかく入れたんだから、辞めるなんてもったいない』という傾向はありますよね。」

Aさん
「子どもたちが成長していく中で、環境が彼らにフィットしなくなることはありますよ。努力で解決する部分もあるけど、親は常に『ダメならやめていいんだよ』と言ってあげることが大事。
いわゆる『みんなと同じ進路』を選ばなかった分、逃げ道も用意してあげないといけないと思っています。」

Bさん
「英語の学校もあるし、日本語の学校もある。勉強をたくさんする学校や、のびのびと学ぶ学校もある。
たくさんの選択肢から、自分に適している場所を選べるという心理的余裕は、子どもの成長にも大きな影響を与えるはず。」

Cさん
「そういう意味では、義務教育の前にいろいろな学習環境を体験できたことは、とても貴重な機会でした。
娘は『学ぶ環境は自分で選べる』と知っているので、学校や進路についてもはっきり主張します。親の言いなりになるのではなく、子ども自身が主体的に学ぶ場所を選んだという自覚を持つことは、とても大事だと思います。
今後も娘の考えを尊重しながら、いっしょにベストな道を考えていけたらと思っています。」

 

いかがでしたか? 小中と公立でのほほんと過ごして来た筆者にとって、今回の座談会で話題にのぼった「学校を選べる」という感覚は、とても衝撃でした。

いろいろな学びがあって、いろいろな言語環境があること、そしてそれらを自由に選べるということを早いうちから知っていると、自分の人生をより主体的に生きる感覚が身につくのでは? と思いました。
お子さんの進路にお悩みのみなさん、ぜひ参考にしてみてくださいね!

著者プロフィール

ライター/親子留学アドバイザー。インタビューを中心に雑誌、Web、書籍等で活躍後、フィリピン・セブ島へ移住。2012〜2015年まで3年間、親子留学を経験。現在はライター業の傍ら、早期英語教育プログラムの開発・研究にも携わる。明治大学サービス創新研究所・客員研究員。

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