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エリートたちが通うニューヨーク名門私立校の幼稚園受験 日本のお受験でも押さえておきたい子どものスキルとは?【後編】

エリートたちが通うニューヨーク名門私立校の幼稚園受験 日本のお受験でも押さえておきたい子どものスキルとは?【後編】

前編では、ニューヨーク名門私立校のご紹介やスケジュールについてお話ししてきましたが、今回は受験にあたってお子さんが身につけておかなければならない「スキル」をお伝えしたいと思います。

ニューヨークと日本のお受験では違うことばかりですが、このスキルは受験だけではなく、お子さんが生活していくうえでも非常に役立つものになるでしょう。さらに後半では、名門校の費用などについても触れていきたいと思います。

受験で必須!! 必要とされる4歳児のスキル

数年前までは、ERB(Educational Records Bureau)のAABL(Admission Assessment for Beginning Learners)というIQ・能力テストを受けて、そのスコアを受験予定の幼稚園に提出していました。

これで合否が出るわけではありませんが、どれくらいのスコアを取ったかというのを受験先で判断するものでした。内容は、足し算・引き算・図形などの算数、語彙力や単語での韻、アルファベットの発音など言語力を試されるテストを受けていました。

ただ、幼い4歳児が見知らぬ場所で親と離れ、知らない大人たちに囲まれながら試験を受けることがどれだけプレッシャーか、緊張して実力を発揮出来ないのはもちろん、おかしくなってしまう子どももいました。

そのために塾に通わせたり家庭教師をつけたり、$400ぐらいの高額問題集も出回っているため、事前予習で記憶力によって臨む子たちも多く、正確なIQも測れないという欠点も。そのためテストのスコアを必要としない幼稚園が増え、最近ではほぼなくなりました

幼稚園受験においては学校ごとに独自の選考方法を設けており、グループで遊ばせたり、パズルやゲーム、工作、絵を描かせるなどをして観察する、または質問を投げかけたりします。

また、それとは別に面接などがあります。学校差はありますが、4歳までのコミュニケーションや自立スキル、運動スキルなど以下の点が見られています。

1、自立スキル

・嫌がらずに両親と離れられる
・自分のことは自分でしようとする
・自分にある程度の自信をもっている
・自分が感じる喜怒哀楽などの感情をいくつか理解できる

2、コミュニケーションスキル

・他の子たちと協力して遊んだり、活動できる
・お友だちの手助けができ、助けてもらったことへ反応できる
・自分と他人の物を区別ができ、それを尊重できる
・順番を守ったり、共有ができる

3、運動スキル

・大きなボールを上から投げたり、両手でキャッチできる
・音楽に合わせて手拍子をしたり、歩くことができる
・ジャンプや片足バランス、ギャロップができる

4、細かい運動や手先の器用さ

・はさみが使える
・筆を使って絵が描ける
・入れ物に水などの液体を入れて運べる
・20ピースぐらいまでのパズルができる

5、知識

・色の名前(6色ほど)
・左右、上下、前後の理解
・絵とお話の順序を正しく入れ替えられる
・名前が書ける
・いくつかのアルファベットが書ける

6、クリエィティブスキル

・自由に遊びを作り出せる
・おままごとで色々な役になれる
・物事を順序立てて考えられる
・必要なものが無いとき、ほかで間に合わせたり想像したりできる

7、スピーキングとリスニングスキル

・物の名前を指さしで言える
・誰、どこ、なに、なぜの簡単な質問に答えられる
・過去と未来の区別ができる
・親以外の大人と会話できる

また、個人面接では名前や自分の住んでいるところ、”兄弟は何人いますか”、”お母さんやお父さんの仕事はなんですか?” などの基本的な質問をして話す・聞くことのスキルが見られ、お子さんによってはその先の “先週末、何をしたの?”、 “どこへ行ったの?”というような記憶力に関する質問を投げかけて記憶力を見ます

上記のようなことを子どもたちが自然にできるようになるために3・4歳児が通うプリキンダー、2・3歳が通うプリスクールなどにも人気の学校があり、そこに通わせるご家庭も多いようです。

入学後にかかる学校の費用は?

私立の授業料は無料の公立校に対し、年間200〜570万円程、そのほかに教材費や遠足、昼食代などの必要経費が別加算されることが多いです。

幼稚園から高校卒業まで通うと5000万円程かかります。さらに、私立の経営は保護者の寄付で成り立っていることも多く、任意ではありつつも年間平均20万円ぐらいかかります。

とくにアメリカの文化として、人のためにお金を使うことや寄付などをすることは徳が高く、人として素晴らしく尊敬すべきこと、と子どもの頃から教えていきます。

このように学費に関してはいろいろ必要になってきますが、学校へ通わせる金額の負担を軽くするために「ファイナンシャルエイド」という金銭サポートもあります。

こちらは奨学金制度とはまた異なり、優秀な生徒に限られたり、後の返済などはなく、良質な教育を受けるために各世帯の収入に応じ、私立校へ通う際に金額的援助が必要な家庭へのサポートです。

ファイナンシャルエイドの協会はSSSNAIS(Schools&Student Services by National Association of Independent) を筆頭にアメリカ内にいくつかあり、希望の保護者は必要書類を送って審査を受けます。

希望校を提示し、その家庭で支払える学費をこの協会が割り出し、その金額が学校側に通知されます。平均で一つの学校当たり20%~30%のファイナンシャルエイドの受け入れ枠がありますので、利用しやすい制度だと思います。

まとめ

全米で最も教育に熱い街、ニューヨーク・マンハッタンにおける近年のお受験事情は日本と比べていかがでしたか? ちなみに、これらの名門校を卒業後、生徒たちの進路は全米の各トップ大学、例えばハーバード、イェール、プリンストンはもちろん、アイビーリーグ大や音楽大学への進学もとても高くなっています。

就職に関しても政治家や弁護士、医者はもちろん、芸術方面や作家、ジャーナリストなどのクリエイティブ系で活躍する人もたくさんおり、夢を叶える子どもたちが幅広く輩出されてきました。

どの学校にも言えることは勉強をつまらないものではなく、楽しいことだと認識できるような授業の工夫があるということ。そして科学や技術、工学・芸術・数学・文学などにおいて、それぞれの子どもたちが興味惹かれるものを自由に選べる環境を与え、自分の意志で進んでいく人になってもらうことを大切にしています。

最終的に子どもの幸せに繋がるように、丁寧な教育を行っていくその姿勢こそが、「名門」と言われる所以でもあるのかもしれません。

著者プロフィール

世界35カ国に在住の200名以上のリサーチャー・ライターのネットワークをもち(2017年12月時点)、企業の海外での市場調査やプロモーションをサポートしている。

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