キャサリン妃やイギリス前首相夫人も卒業生!ファーストレディーも通ったマルボロ・カレッジ【憧れのイギリス名門校2】
ロンドンから1時間半程車を走らせ、のどかな田園風景を通り抜けると、赤レンガの閑静な住宅街に溶け込むマルボロ・カレッジが見えてきます。
貴族や資産家の子息や令嬢が通うマルボロ・カレッジは、170年の歴史に加え近年国際化にも乗り出している、伝統とリベラルさを兼ね備えた全寮制の中高一貫のパブリック・スクール(私立校)です。
今回は、このマルボロ・カレッジ独特の授業内容や校風、課外活動、寄宿舎での寮生活をレポートします。
目次
イギリスのファーストレディーも卒業生!国際化も進め、飛躍し続ける伝統校
イギリスの中高校総合案内サイト『グッドスクールガイド』によると「有名なブランド力を持ちつつも飛躍し続ける共学校」であるマルボロ・カレッジは、キャサリン妃やその妹ピッパ・ミドルトン、エリザベス女王の孫であるユージェニー・オブ・ヨーク王女、イギリス前首相キャメロン夫人、 その他有名政治家の妻などが卒業生に名を連ね、王室や上流社会、資産家などに支持されている伝統校です。
ロンドンや海外からの入学者は比較的少数派で、古き良きイギリスの「豊かな田舎」を愛するイギリス南西部の家庭からの入学者が多数を占めています。以前は人種的多様性が少ないという指摘もありましたが、2012年にマレーシア分校を開校するなど近年国際化にも努めています。
年間約500万円!マルボロのお受験事情と年間費用
マルボロ・カレッジにおける受験と選抜方法とはどんなものでしょう。
受験生が11歳になる学年に、コンピュータによるいわゆるIQテストのような頭脳テストとともに、受験生が希望する寄宿舎の寮長と教師による二つの面接が行われます。マルボロでは、校風や寮生活に馴染める生徒を見極めるための面接を特に重要視しています。
その後、13歳になる学年に「コモン・エントランス」という私立中学に向けた一斉試験で65%以上の得点を獲得すると、正式合格となります。
コモン・エントランスの合格ラインはほとんどの私立校で50~55%、前回取り上げた超エリート校のイートン校 で70%ですので、マルボロ・カレッジの難易度が相当高いことがわかります。
マルボロ・カレッジの2016年度の寮費込みの年間費用は35,280ポンド(2017年1月レートで約480万円)。
入学準備のためのリストも膨大で、ツイードジャケット、日曜教会専用のブレザー、ズボンまたはスカート3着、シャツ3枚、革靴と各スポーツ用シューズなど靴が5足以上、フリースジャケット、体育着、水着、 男子はラグビー専用スポーツウェアなどなど……。ユニフォームや小物を揃えるだけでも、なんと約1,000ポンド(約13万8千円)もかかるのだとか!
広大な敷地を活かしたアクティビティと、伝統を守り抜くための厳しい処分
マルボロでは、毎年選りすぐられた180人が、14歳になる年の9月から5年間の学校生活を開始します。最大20人の少数クラスで、伝統を活かした教育が与えられ、初年度から一人の生徒につき一人のチューター(教師)がつき進路相談を行います。
学業と並行して、美術、演劇、音楽、体育にも力を入れているのもマルボロの大きな特徴です。放課後や週末には、乗馬、クレー射撃、ダイビング、マウンテンバイクなど、広大な敷地を活かしたさまざまなアクティビティが楽しめます。
充実した環境のなか、のびのびした学校生活を送れる一方で、マルボロの規律を乱した生徒には厳しい処分が与えられます。ある年には、入学後たった数カ月間に悪質ないじめをした生徒には退学処分、他生徒のお金を盗んだ生徒には停学処分が出されたそう。こうした毅然とした対応も伝統を守り抜く秘訣なのかもしれません。
ハリーポッターシリーズにも描かれた、寄宿舎「ハウス」での生活とは?
イギリスの寄宿舎は、正式には「ボーディング・ハウス」、校内では略して「ハウス」と呼ばれます。マルボロの各ハウスでは、学年が混ざった60人が寮生活を共にしており、毎年各ハウスには約11人の新入生が加わります。
基本的に男女別の寄宿舎となりますが、高校生になると一部の寄宿舎は男女同居の寮もあるそうです。これもマルボロの特筆すべき点でしょう。
ハリーポッター・シリーズでも描かれるハウス対抗の制度は、マルボロでも同様。体育祭などの個人の功績がハウスのポイントとして加算され、年度末に最高ポイントを集めたハウスが表彰されるなど、ハウスごとの一体感を生んでいます。
社会的プレッシャーの中での社交術と気配り
イギリス南西部の豊かな自然と充実した施設に恵まれた環境で、文武両道を実践する共学校という利点を活かしバランスの取れた教育を行なうことで、マルボロは上流社会に選ばれる学校であり続けています。
かつて女子禁制のエリート男子学生の園であった主要パブリック・スクールのなかで、マルボロは初めて女子を受け入れた革新的な学校でした。
あるマルボロ卒業生は「かつて男社会だった古い風潮が残る私立校のなかで、マルボロの女学生たちは、得てしてプライドの高く気難しい傾向があるエリート男子学生の周りで自信と能力を高めるとともに、上手く立ち回る術を身につけるのでは」と述べています。
こういった学生時代を送ることで学力を伸ばすことはもちろんのこと、キャサリン妃やファーストレディー、政治家の妻など社会的プレッシャーの強い立場でも成功する社交術と気配りも、同時に養っていくのかもしれませんね。
▼憧れのイギリス名門校!
第1回「歴代首相を19人輩出!政治家や各界の実力者を育てるイギリスの名門イートン校」
【参考】
Marlborough College
ロビンエデュケーション/イギリス正規留学ーCE(コモンエントランス)
The Telegraph/Why everyone wants a Marlborough missus
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
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