モンテッソーリ教育を取り入れた保育園・幼稚園選び|合う子・合わない子はいるの? 

モンテッソーリ教育を取り入れた保育園・幼稚園選び|合う子・合わない子はいるの? 

「高レベルな教育を幼児期に受けさせたい」とモンテッソーリ教育を取り入れた保育園・幼稚園を検討されている方も多いのではないでしょうか。

そこで、モンテッソーリ教育の学びが合う子・合わない子、さらにモンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園・保育園の特徴や、小学校受験とモンテッソーリ教育の共通点について、伸芽会の託児サービス「伸芽’Sクラブ」の吉原美樹先生にお話を伺いました。園選びや学校選びの参考にしてみてください。

モンテッソーリ教育とは?

モンテッソーリ教育とは、イタリアの医師、マリア・モンテッソーリ(1870〜1952年)によって発案された教育法です。もともとは知的障害児の子どもたちへの教育から生まれたものですが、現在日本では、早期教育や英才教育として注目されています。

「子どもは、自分で成長し発達する力をもって生まれてくる」ことを基に、子どもが自発的に行動する力、学ぶ意欲などを引き出し、社会に貢献できることを目的としています。

発達段階に合わせた教具を準備し、その子が関心を持った活動(「おしごと」と呼ぶ)に納得が行くまで取り組むのが基本です。大人(教師や親)は子どもの援助者という考えのもと「日常生活の練習、感覚教育、言語教育、算数教育、文化教育」の5つを柱としています。

モンテッソーリ教育を受けた著名人としては、プロ棋士の藤井聡太さん、アメリカのオバマ元大統領、AmazonやGoogleの創業者など、各界の「天才」を輩出した教育法としても注目されています。

モンテッソーリ教育のメリット・デメリット

モンテッソーリ教育の主なメリットとしては以下の通りです。
・自分で考え自発的に行動する力や、積極的にものごとに取り組む姿勢が身につく
・個別活動を基本とするため、集中力が高まる
・縦割り保育により、幼い子をいたわる気持ちや上の子を見習う力が自然と養われる
・手先が器用になる

一方のデメリットとしては、
・日本では体を動かす活動が少ない傾向にある
・個々で活動をするため協調性が育みにくい可能性がある

とも言われています。

モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園や保育園

モンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園や保育園はかなりの数があります。そこでは共通して、以下のような取り組みを行っています。

・年少~年長の縦割りクラスで活動する
幼稚園や保育園では年齢ごとにクラス分けをしますが、モンテッソーリの園では異年齢の子たちが1つのクラスで活動します。

・100種類以上の教具を使った「おしごと」をする
日の中で1~3時間ほど、モンテッソーリ教具を使った「おしごと」の時間を設け、その間子どもたちは自分のやりたいことに没頭することができます。この教具は日常の生活習慣、感覚教育、言語教育、算数教育、文化教育という5つの領域で100種類以上あり、モンテッソーリ教育の教員資格者しか指導することができません。

・本物に触れる機会が多い
料理、靴磨き、機織り、アイロンがけなど、日常生活で必要な動作を練習しますが、ポイントは、本物を使うということです。食器も割れる陶器を、アイロンも大人が使う本物の道具に触れて感覚を磨いていきます。

モンテッソーリ教育を取り入れた湘南白百合学園幼稚園のレポート記事はこちらをご覧ください。

ここからは、伸芽会が運営する託児施設「伸芽’Sクラブ」の吉原先生に、実際にモンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園や小学校の特徴、モンテッソーリ教育と小学校受験の相関関係についてお話を伺っていきます。

モンテッソーリ教育が合う子・合わない子はどんな子?

__モンテッソーリ教育を選ぶ際の注意点はありますか?
わが子が「自主性が高い」「好奇心旺盛」「探究心が強い」と感じて、モンテッソーリ教育の園が向いているのでは?とお調べになる親御さんはとても多いです。

ただ、注意していただきたいのが、好奇心旺盛でアンテナがありすぎるお子さまだと、一つのモンテッソーリ教具に落ち着いて取り組めず、あちこちふらふらしてしまって、力が身につかないケースがある点です。

これは、モンテッソーリ教育が悪いわけでも、その子が悪いわけでもなく、ただ「合わない」のです。反対に、一つのことをじっくりと突き詰めるタイプのお子さまはモンテッソーリ教育に向いていると言えるでしょう。

モンテッソーリ教育の園から伸芽’Sクラブに来られた方のお話を伺うと、「うちの子には合わなかっただけです」とおっしゃっています。

とはいえ、こればかりは実際にやってみないとわかりませんから、気になった場合は一度体験して(もしくは入園してみて)、合わないと思ったら早めに別のところに切り替えることも全く問題ありません。

__ほかに、モンテッソーリ教育に向かない子の特徴はありますか?
前述した「好奇心旺盛で落ち着きがないタイプの子」に加え、「まだ好きなものが見つけられていない子」「何をするにも無気力な子」も残念ながらモンテッソーリには不向きではないかと考えます。

とはいえ、多くの園では学年別をしているクラスが主流ですが、モンテッソーリ教育の園では縦割り保育になりますから、下の子に優しくする、上の子が下の子のお手本になる、譲り合う、相手を尊重するなどの思いやりの気持ちが芽生えるということはあるでしょう。

一概には言えませんから、お子さまの日々の様子をよく見て判断されることをおすすめします。

小学校受験×モンテッソーリ教育の相関関係

__モンテッソーリ教育の園でも小学校受験に合格できますか?
もちろんです。モンテッソーリ教育の園に通いながら伸芽会に来られて合格された方もいらっしゃいます。モンテッソーリ教育を受けたお子さまは、集中力があるお子さまが多いので、ペーパー学習も面白いと思ったらどんどん進めることができます。

ただ、項目によって出来・不出来があると苦手分野をやりたがらない傾向も見られますから、そこは得意なプリントを5枚やったら苦手なプリントを1枚やるなど、工夫しながら進めていけば問題ありません。
また、モンテッソーリ教具で遊んでいるため手先が器用なお子さまが多いので、巧緻性の課題は得意だと感じます。

__モンテッソーリ教育のデメリットも小学校受験に問題ないでしょうか?
モンテッソーリ教育のデメリットとして「時間とやるべきことが決まっている教育に不慣れ」と言われていますが、そこは家庭のやり方次第で克服できます。

園では好きなことを好きなだけやっていたとしても、家に帰ってきたら夕飯の時間や寝る時間をずらさないなど、守るルールがあることを教えていきましょう。

あくまでモンテッソーリの教育は習い事の一つと捉えていけば、日本式の学校に馴染めないことはないと思います。

「運動不足になりがち」ということは、モンテッソーリ教育に限らずあることだと思いますから、室内の活動が多い日などは、行き帰りで歩く、休みの日に運動遊びをするなど筋力を使う工夫をするといいですね。

__伸芽会式とモンテッソーリ教育の共通点はありますか?
モンテッソーリ教具は専門の資格がないと使えませんが、一般的な知育遊びとして、伸芽’Sクラブのカリキュラムにはモンテッソーリ教具のような手作りの教材を使った学びもたくさん取り入れています。

例えば、袋の中にたわしや丸めた紙などを入れて何が入っているかを当てる「感触当てゲーム」、タッパーの蓋に穴を空けてチェ―ンリングを落とす感覚遊びなど、幼児の興味関心を伸ばし、体験の中で五感を養う伸芽会式の学びには、モンテッソーリ教育との共通点は多いと思います。

ただし、小学校受験に向けて成長とともにやるべきことが増えていくので、「決められた時間で学びを区切っていく」というのは伸芽会式と異なる点と言えます。

伸芽会式の学びとは?

小学校受験において学校側が求めているのは、知識の量よりもそれを生かせる力です。教えられた通りに答えることよりも、自分で発見したものを発展させていく創造性があふれていることです。

伸芽会では、合格につながる創造性の芽を伸ばす独自の教育として、「創造力教育」「体験力教育」「自助力教育」を掲げ、半世紀以上の実績に基づく指導で合格へ導きます。
詳しくは伸芽会HPをご覧ください。

伸芽’Sクラブの託児とは?

伸芽’Sクラブは、伸芽会が運営・指導する託児施設。週2の短時間から週5の長時間まで、さまざまな利用ができる保育施設です。

「子どもに高水準の教育を与えたい」「仕事と幼稚園・小学校受験を両立したい」という共働き家庭のご要望にお応えし、お子さまをお預かりしながら、伸芽会メソッドを取り入れた教育指導を行います。時間を有効活用できる送迎や延長サービス、習い事のサービスも人気です。
詳しくは伸芽’S クラブのHPをご覧ください。

モンテッソーリ教育のほかにも注目されている世界三大教育とは?

最後に、モンテッソーリ教育と合わせて世界三大教育と呼ばれる「シュタイナー教育」「レッジョ・エミリア教育」についてもご紹介したいと思います。

「シュタイナー教育」
シュタイナー教育は元々、クロアチア共和国で始まったと言われています。提唱者は哲学者であるルドルフ・シュタイナー。

ドイツを中心に各国で取り入れられ、100年の歴史があります。発達段階を「0〜7歳:身体を育てる」、「7〜14歳:心を育てる」「14〜21歳:頭を育てる」の3つに分け、知的な学習よりも音楽や芸術、自然や世界の文化に取り入れた学びが多いのが特徴です。

「レッジョ・エミリア教育」
レッジョ・エミリア教育とは、教育家のローリス・マラグッツィが提唱した教育法です。イタリアのレッジョ・エミリアという都市から広まったことから名づけられました。

「100人子どもがいれば、100通りの考え・表現がある」というのが基本の考えで、子ども一人ひとりの個性を引き出し、伸ばしていくために「社会性」「時間」「子どもの権利」を教育理念に掲げています。

プロジェクト型の活動を取り入れたり、アートの専門教師がサポートしたりしながら、自分たちのペースで自主性や探求心を育てるのが特徴です。

まとめ

最後に、伸芽会の吉原先生に、モンテッソーリ教育が気になっている親御さんに向けてメッセージをいただきました。

「幼稚園でモンテッソーリ教育を受けてそのまま系列の小中高一貫校に進む道もありますが、幼稚園だけモンテッソーリ教育を受けてから別の私立小学校に進学したり、遊びの中で時間を決めてモンテッソーリ教育に近い内容を遊びの中に取り入れることで巧緻性や集中力が伸びるお子さまもいますし、ほかにもさまざまな教育がありますから、これでなければだめということはありません。お子さまの可能性は無限大です。どれも素晴らしい教育法ですが、大事なのはわが子に合うかどうかの環境設定の見極めです。試行錯誤しながらお子さまに合った環境を選びたいですね」

著者プロフィール

SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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