今どきの子どもが意外と知らない「お正月飾り」について正しく説明できますか?
新しい年を迎えるにあたり、大掃除をしたり、おせち料理の準備をしたりとお正月の準備が進んでいる頃でしょう。
日本には、古くからのしきたりや風習があります。お正月の飾り物もそのひとつ。最近はマンション暮らしなどで省略する家も増えてきました。そんな今だからこそ、「日本のお正月」には親子で知っておきたい学びがたくさんあります。
今回は、子どもにそれらのいわれを分かりやすく説明する5つのポイントをお伝えします。
日本古来には、新年を迎えると、その年の守り神である歳神様が訪れるという神話があります。その神様を迎えるために、お正月特有の飾り物やお料理などの準備をします。ここでは、それぞれの意味やいわれを詳しく説明していきたいと思います。
目次
その1 鏡餅
丸く平たいお持ちを2つ重ねる鏡餅を床の間や神棚に飾るご家庭が多いと思います。丸い形は円満を表し、少し平たくなっているのは、泰平や平和を表し、それらの縁起のよいものを重ねる、という意味合いがあります。
子どもに話す時のポイント!
「お正月に、神様にお供えするお餅よ。その後、食べるので神さまの恵みや祝福が受けられるの。丸くて平たい形は、皆仲良しや幸せって意味があるの」
その2 門松
家の玄関や店先に飾られている門松は、1年間の家族の健康や商売繁盛の神様が、お正月に訪れる時の目印に立てられます。生命力のある竹や、長寿を意味する松を飾ることで、今年も1年、健康で長生きする願いもこめられています。
子どもに話す時のポイント!
「神様を自宅に招き入れる時、神様が迷わなにようにする目印なのよ。竹はグングン伸びていくし、松は一年中緑でイキイキした感じでしょう。だからね、家族皆が健康で長生きできますように、って願って飾るのよ」
その3 しめ縄
玄関の上方に飾るしめ縄は、神様をお迎えする準備ができたという印と、邪悪なものを寄せつけないという結界の意味があると言われています。
子どもに話す時のポイント!
「お迎えする準備ができていますよ、という神様への合図と、悪者が家にに入らないためのバリアの意味があるの」
その4 お雑煮
各地方によって味付けや具材はさまざまですが、神様にお供えする季節の野菜と丸餅を一緒に調理したものです。神様の祝福を受けたものを家族で一緒に食べることで、その恩恵や加護を受け、感謝をする意味合いがあります。
子どもに話す時のポイント!
「神様におもてなししたものを食べるので、神様に守ってもらえたり、その恵みを受けられるの。そして家族みんなが1年間元気に過ごせますように、って願って食べるのよ」
その5 おせち料理
神様にお供えするお料理で、豊作や無病息災、子孫繁栄などの願いが込められています。
お重は、正式には5段重ねで、1段目には縁起物、2段目には焼き物、3段目には煮炊きも、4段目には酢の物、5段目は空にしておき、そこには神様から頂いた福を詰めるとといういわれがあります。
子どもに話す時のポイント!
「神様にお供えするお料理で、お重を5段重ねるの。そしてね、1番下は空けておくの。何故かと言うと、神様から頂いた福を詰めるためなのよ」
そしておせち料理のそれぞれの食材を食べる時、次のような事を子どもにクイズ形式で説明してみるのもおすすめ。子どもも興味を持ち、家族の会話もはずむはずです。
「パパ(ママ)、すごーい!」と驚かれるはずですよ!おじいちゃんおばあちゃんにこれらののことを詳しくお話してもらうのもとてもいい学びになると思います。
・黒豆…マメ(まじめ)に働き、マメ(健康)にくらせますように。
・カズノコ…タマゴの数が多い事から、子どもがたくさんでき恵まれますように。
・田作り…昔は、田畑の肥料にイワシを使っていたことから、農作物が豊作でありますように。
・栗きんとん…金団とも書き、お金が豊かになりますように。また勝ち栗から、勝負に勝ちますように。
・伊達巻…形が巻き物に似ていることから学問成就を願い、勉強頑張れますように。
・エビ…エビの形から、腰が曲がるまで長生きできますように…
・ごぼう…しっかり根を張っていることから、家や仕事が根を張り安定しますように…
・くわい…芽が大きく伸びていることから、何事にも芽がでますように。
・レンコン…穴が空いていることから、明るい未来を願い、しっかり物事を見れますように
・タケノコ…目覚ましい成長や真っすぐ伸びることから、子どもが健やかにまっすぐ成長しますように。
子どもの教養は、生活の中での親子の会話から培われる
新しい年が明けて迎える元旦の朝は、いつもと違う朝です。家族で初詣に行き、昨年1年間、無事に過ごせたことへの感謝と新しい年の平安や無病息災を願い、今年の目標や決意を表明するのもいいでしょう。
いわれに関しては諸説あり、地方地域などによっても異なり、今回は一般的なものをご紹介致しましたが、根底にある神様への感謝であったり、家族の平安を願う気持ちは同じでしょう。
子どもの教養というものは、日常の親子会話から培われていくものが多くあります。新年を心新たに迎え、家族でおせち料理を囲み、お正月にまつわる飾り物やお料理のいわれや意味を子どもに説明してあげることで、子どもの教養を高め、2018年をより充実した1年にしたいですね。
公立幼稚園、小学校での勤務、幼児教室を7地域で展開、小児病棟への慰問、子どもの声を聴く電話相談など、多方面から多くの子どもに関わる。そのような中、子育てに熱心な
故に、その愛情が焦りとなり挫折、絶望感を抱いている親子が多いことに心を痛める。
「子どもの自立」「自己肯定感」「自己制御力」を柱とし、真に子どもの能力を開花させる子育て法を広める活動を2010年から始める。
現在、息子は大学病院で医師として、娘は母子支援の職場で相談員として勤務。実生活に落とし込んだ、親の心に寄り添う記事に定評がある。「難しいことを分かり易く、ストンと腑に落ちて行動に移せること」を理念とし、現在は執筆、講演、幼児教室を中心に幅広く活動中。
資格:小学校教諭・幼稚園教諭・保育士・日本交流分析協会 子育ち支援士
著書:『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(株)KADOKAWA