新型コロナ規制が厳しいマレーシア。オンラインで提供される無料の習い事とは?
3月18日と比較的早い時期にMCO(Movement Control Order=罰則付きの移動制限)が始まったマレーシア。この措置はかなり厳しく、ジョギング中の人が逮捕されるなど、マンションの敷地内にある遊び場に行くことさえ制限されるものでした。
もちろん学校は休みで、子どもたちは文字通り終日家のなかです。親としては1日中テレビを見せるのは避けたいものの、自分が遊びに付き合えるのも時間に限度があり、どうしようかと悩んでいました。
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抜群のタイミングで多種多様なオンラインレッスンがスタート
そのようななかでスタートしたのが、各種習い事を体験できるオンラインレッスンでした。
このレッスン情報がどこから入手できたかというと、FacebookやTwitterを中心としたSNSです。普段はあまりSNSを見ない人も、移動制限期間中は子どもの学校のオンライン授業の準備でパソコンを開けたり、通勤時間がなくなることでスマートフォンに触れたりする時間が増えたため、1番の情報収集先はインターネットになっていました。
子どもに毎日何をさせようか親が悩んでいるところに、パソコンを開けただけで体験できる、しかも無料のレッスン広告が表示されたのです!抜群のタイミングと手軽さに、ついつい詳細を読み込んでしまいました。
運営側が上手だったのは、実際にある教室の近くの住民に向けて広告を発信していたことです。普段から目にしていた習い事教室の広告がSNSで表示されていたため、申し込みへのハードルが自然と低くなりました。
レッスンはヨガ、ストレッチ、テコンドーといった体を動かすものから、クッキング、アート、読書会といった文科系のものまで多種多様です。それらを自宅で受講できるので、自分の子どもがどんなものに興味があるのか気軽に試せる良い機会にもなりました。
まるで学校の時間割?工夫されたスケジュールで1日を消化できる!
移動制限中の特徴は、ほとんどの人が在宅していて、暇を持て余している人も多いということです。そのため、いくつかの習い事教室が協力し、SNSを通じてレッスン情報だけではなくレッスンスケジュールも配布し始めました。
例えば下記のようなスケジュールで、かなりぎっしりと詰まっています。
9時からストレッチ@ABCダンス教室
10時からヨガ@ABCダンス教室
11時から料理教室@Eクッキングクラス
12時からダンス@Hダンスアカデミー
13時からアート@Dアートクラス
14時から読書会@マザークラブ
運営母体は別であっても、それぞれのレッスンがかぶらないように時間設定がされていました。参加者にとっては、興味があるレッスンに必ず参加できるというメリットがあります。
しかも、スケジュールは週ごとに変更され、特定のレッスンが午前中だけに集中することがないように設定されていました。これは時間帯によって参加できないレッスンができてしまうことを避けるためのようで、できるだけ多くの人に体験レッスンを受講してもらいたいという運営側の意図が見えました。
年齢別クラス分けで飽きないようにレッスン。大人向けも設け親子で楽しめる工夫も
クラスはすべて3-6歳、7-12歳、12歳以上のティーン、そして大人向けと年齢・年代別となっており、子どもの年齢に応じてクラス別に申し込む形になっていました。オンラインだと参加者の反応が見えないため、できるだけ対象年齢幅を狭めた方が講師にとってやりやすいのでしょう。
時間は基本的に1クラス1時間程度ですが、低年齢向けクラスでは30分程度の場合もあります。そもそも無料なので、設定時間より少し早く終了しても誰も文句を言わないところもポイントといえます。
ただ、いくら優良なプログラムを提供しても、画面を通して子どもの心を掴むのはとても難しく、ましてやそれが初体験の習い事であればなおさらです。
そのためかもしれませんが、子どもが体験できるすべてのクラスには大人用プログラムも設定されていました。親が試してみておもしろかったら、子どもにもやらせてみる。子どもがやっているのを見ておもしろそうだから、親自身もやってみるというような相乗効果があり、試した感想を親子で話すこともできるというわけです。
マレーシアの、とくに筆者が住んでいる地域は至る所にジムがあり、毎朝お母さん方が歩いてジムに向かう姿を見かけていました。ところが、移動制限が始まると一般のジムはもちろん、コンドミニアムと呼ばれる各マンション内のジム施設でさえも政府からのお達しで使用不可となったのです。
最後の手段とばかりコンドミニアム内の階段を走って上ったり下りたりするママ友もいたのですが、管理事務所から止められてしまいました。そのような状況だからこそ、とくにヨガ、ストレッチ、ダンスなど体を動かす系のオンラインクラスはとても人気があり、毎日その時間を楽しみにしているという人が多いのです。
ジム閉鎖のお知らせ
まとめ
これまで、オンラインレッスンで1日を過ごす日が来るなど考えたこともありませんでした。ただ今回の体験によって、周りと比べたり刺激を受けることはできなくても、知識を増やしたり自分1人でも向上することができるのだと、多くの人が実感できたと思います。
オンラインレッスンに対し、私たちのハードルは確実に下がりました。今後は新たな形のビジネスとして、マレーシアでその可能性が広がっていくことは間違いないといえるでしょう。
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。