スポーツに本気で取り組む子と親の正しい関わり方
スポーツの秋到来。サッカーにテニス、野球に水泳…最近では幼少期からスポーツを本格的に始めるお子さんが増えています。
そんなスポーツに本気で取り組む子に対して親ができること、してはいけないこととは?どのように関わるべきなのか?
そんな疑問を解決すべく、テニスのジュニア選手コースで活躍されている姉妹のパパさんでもある、伸芽会の梅國先生にお話を聞いてみました。勉強や子育てにも通じるヒントがいっぱいです。
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本人が好きになるまでは、ほめて、ほめて、ほめる!
「自分がやっているスポーツを子どもにもして欲しい」、「将来一緒にプレイしたい」という動機でお子さんにスポーツを習わせる親御さんも多いと思います。そこで、気をつけたいのが習い始めのとき。
つい「持ち方が違う」「姿勢が悪い」などあれこれ口出ししたくなると思いますが、そこはぐっとこらえる。子どもがそのスポーツを好きになるまでは、例えばラケットにボールが当たっただけで、どこにボールが飛んでいこうが大袈裟にほめてあげましょう。
調子に乗って「もっとうまくなりたいから教えて!」と言わせたらこっちのもの。やらされているのではなく「自分がやりたい!」という動機は今後続けていく上でとっても重要なポイントです。
結果だけではなく常にプロセスを評価すること
スポーツには必ず勝ち負けがついてきます。お姉ちゃんが試合に勝って、妹が試合に負ける。我が家でもよくある光景です。その際、親が「お姉ちゃんがあなたと同じ歳の時にはこれができてたのに」などと二人を比較してしまっては妹は拗ねるだけ。
「この前に比べてサーブが入るようになったね」「試合には負けちゃったけど、課題だったフットワークがよくなってきたね」など、結果にこだわるだけではなく常にプロセスも評価するようにしましょう。これが習慣づくと、自分でも「なぜ負けたか」「次はどこを頑張ろう」と課題を見つけられるようになっていきます。
この自分で考えて問題を修正していく力は将来、勉強や仕事をする上でもとても大事な力だと思っています。
パパの熱い気持ちを子どもに伝えていますか?
我が家は妻もテニスをするので、たまたまテニスが家族全員の趣味ですが、家族それぞれのやっているスポーツや趣味が違っても、親が子どもの頑張るスポーツや趣味をどう応援するかの気持ちは子どもに必ず伝わります。
私自身、上の娘にはもうすぐ負けそうですが、「パパがテニスを好きな気持ちは君たちに絶対負けない!」とよく言っています。プレイする側だけでなく見る側だってそのスポーツが好きな気持ちは伝わるはず。
我が家はテニスという共通の趣味のおかげで、幸い思春期の娘とも上手くコミュニケーションがとれています。特に女の子は成長するにつれ父親と距離が出やすいもの。「口を利いてくれない」としょんぼりする前に、共通のスポーツや趣味を理解して、パパの熱い気持ちをぜひ子どもたちに照れずに伝えてあげてください。
スポーツで学べることはこんなにある!
現在、娘たちは週6日テニスに打ち込んでいます。もちろんお友達と遊びたい盛りです。いろんなことに興味がある子どもが優先順位をつけるのは大変なこと。誘惑に負けそうになることもあります。
そんなときは「何を目標に頑張っているのか」「じゃあ今は何を優先するべきなのか」をしっかり考えさせ、自分で判断させるようにしています。
ジュニアのテニスの試合は、ほとんどの大会では審判がいません。親もコーチも試合中はコート内に入れないので、アドバイスができないのはもちろんのこと、小学4年生の娘でも、サーブが入ったかどうかを自分でジャッジし、カウントを数え、違うと思ったら対戦相手に主張しないといけません。
海外で言葉の通じない選手と戦うときも同様です。これらの経験を経て一流選手になっていくのです。
スポーツは技術だけでは試合に勝てません。相手の長所、短所を瞬時に見極め、気持ちを切り替えるといったメンタルによるところが大きいです。
テニスの錦織選手の強さの秘訣として「豊かな発想力」がよく挙げられます。彼よりも技術が高かったり、足が速い選手は大勢いるのになぜ強いのか。それは幼少期に親御さんが「型にはまったプレイをさせなかった」ことにあるのだそうです。それが独自の強みになったのだと思います。
スポーツには生きるための大切なヒントがたくさん詰まっています。それらを娘たちに少しでも学んでもらえたら、親としては嬉しい限りです。
いかがでしたか? 梅國先生は「みんなに応援される選手になりなさい」というコーチの教えに共感し、今のスクールに決めたんだそうです。信頼できる指導者を選ぶ、というのも子どもの才能を上手に伸ばす上では欠かせない要素かもしれませんね。