先取り学習のコツ【小1編】!逆効果となるNG例も交えてプロが解説!
4月から小学生になり始まったお勉強。小1のお子さんを持つ親御さんにとって気になるのが、「何をどこまで先取りすればいいのか」ではないでしょうか。そこで、伸芽会の牛窪先生に、文字の読み書き、計算などの基本事項から、できる子に関しては何をどんな風に先取りしたらいいのか、さらに気を付けたい先取りNG学習についてお話を伺いました。
目次
小1の先取り学習の前に確認したいこと
__小学校入学の先取り学習は何から始めればいいでしょうか?
まず何よりも大事なのことは「正しい鉛筆の持ち方」です。現状は「書き方指導」が中心となりますので、「持ち方指導」は行われない、あるいは指導されたとしても「極短時間」と考えた方が良いでしょう。ですので、正しいお箸の持ち方から下の箸を抜いたものが
正しい鉛筆の持ち方と考えて、学習に入る前にしっかり定着できているか、よく確認をしましょう。
次に行いたいのが「ひらがなの書き順」です。特に小学校受験を経験したお子さんは、入試では文字を使わないので、ひらがなの読み書きに関してはやや遅れている傾向があります(算数は小3くらいまでの概念が先取りできていますが)。その際、文字の形は特に私立女子校では学校流の良し悪しがあるので、書道教室で金賞の子が私立小学校の書き取りで直されることも多々あります。ですから、入学前は形ではなく全国共通の「書き順」を意識しましょう。
漢字よりもひらがなの「音読と聴写」で国語力が伸びる!
__漢字はどんどん先の学年まで先取りしてもいいのでしょうか?
先取りはお子さんの興味関心にもよりますが、私が1年生になる親御さんにお伝えしているのが、漢字よりもひらがなの「音読と聴写」です。
音読とは声に出して読むことですが、1年生の教科書は「きのううみへいきました」のようにひらがなが多いので、単語を区切るのが難しく、イントネーションがおかしくなることがあります。そのため、今の子は、漢字はよく知っていて黙読はできるけれど、ひらがなの音読ができない子が多いのです。ぜひ、下のお子さんやご家族に絵本を読み聞かせする機会を設けてあげましょう。
また、入学後から夏休みくらいまでに行ってほしいのが、ひらがな文の聴写(聞いて文字に書くこと)です。目標は淀みなく書けることです。たとえば、
「おうさまがおおかみとおおどおりをあるいている」
「いっこずついちごをとる」
など。漢字だと簡単ですが、大人でも「おおさま」「いっこづつ」などと間違えて書いてしまう人がいるかもしれません。漢字を習う前に聴写をすることは決して無駄ではありません。9歳以降、こうした間違いが癖になってから直すのは大変ですから、その前に、正しい日本語をひらがなで覚えたり、日本語の正しい言葉のリズムを1年生のうちから習得していきましょう。
計算は数字で先取りすると逆効果!?
__計算は、九九や2桁の計算など、1年生からでもどんどん先に進めたほうがいいのでしょうか?
こちらの絵を見てください。
(伸芽会より)
問題A「くま、うさぎ、りすの3匹に2個ずつりんごをあげると全部でいくつですか」
問題B「くま、うさぎ、りすに2個ずつりんごをあげると全部でいくつですか」
この2つの問題を1年生の子に出すと、B問題の正答率が下がります。
それはなぜかわかりますか? A問題には3匹という「3」の数字が書かれていますが、B問題ではないので、動物が何匹いるかわからなくなってしまう子が一定数いるからです。
この状態のまま掛け算に入ると、2×3とB問題がリンクできずに、2年生くらいの文章問題でつまずきやすくなってしまうのです。
算数で大事なのは、問題文を読んで頭の中に絵をイメージする力ができること。数字だけ見て解こうとするのは危険です。ですから、算数は、安易に掛け算を覚える前に、上の図のように、2個のりんご(2,3歳)→おはじき(年中)→〇〇(年長)→数字の2(小1)→2×3(小2)と段階を経て置き換えられる積み上げ式が重要なのです。
これはまさに伸芽会をはじめとする幼児教室が小学校受験のために学習しているプロセスです。この段階を1段でも抜いたり、いきなり数字からやると理解不足の可能性があるのでよく注意しましょう。さらに、これは上級者編ですが、2×3など2桁の九九まできちんと理解できたら、次の2桁のかけ算に行く前に、「2×3=6の文章題を作ってみる」までできたら完璧です。
分数でつまずくのは、分ける機会が少ないから
__算数でも具体物を使った体験が大事なんですね。
そうなんです。たとえば繰り上がりや繰り下がりでは、「10個で1箱入ったお饅頭が3箱だと全部でいくつ?」「そこから1つとったらいくつ?」など、具体物を使えば、子どもは喜んでやるはずです。また、3年生以降で習う分数は「〇のパンケーキを半分になるように、3人で分ける」だったり「2人と3人で分けると、どっちがより多く食べられる?」を実際に行うことで、「1/3より1/2の方が大きい」という感覚が理解できるのです。こういった、量の概念の理解が深まったお子さんは、その後の算数で線分図も得意になるはずです。
小1の苦手は体験量で伸ばせる!
__わが子の苦手を伸ばすにはどうすればいいでしょうか。
1年生の次点では、親が「計算苦手なんだね」などと子どもに言うのはNGです。今の次点での弱みは、体験量が少ないだけで、コツコツ体験を増やせば得意になる可能性があります。お子さんに苦手意識を植え付けないようにしましょう。
3~4年になると、文系理系傾向と得意不得意が分かれてきますが、それはお子さんの個性です。ですから、3年生くらいまでは、習い事でも遊びでも、個人と集団、インドアとアウトドアなど、さまざまな体験をさせましょう。そのうち、お子さんの居心地のいい場所が見つかるはずです。それを4年生以降の塾通いや学習方法に生かしていけばいいのです。
いかがでしたか。年長と小1の学びは本来切り離すべきではないという伸芽会の「幼小一貫教育の考え方」がとてもよくわかりました。ぜひご家庭でも、お手伝いや具体物を使った体験を通して、お子さんの学びを深めていきましょう。
SHINGA FARM(シンガファーム)編集部が執筆、株式会社 伸芽会による完全監修記事です。 SHINGA FARMを運営する伸芽会は、創立半世紀を超える幼児教育のパイオニア。詰め込みやマニュアルが通用しない幼児教育の世界で、毎年名門小学校へ多数の合格者を送り出しています。このSHINGA FARMでは育児や教育にお悩みのご家庭を応援するべく、子育てから受験まで様々なお役立ち情報を発信しています。
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