梅雨の時期は学びのチャンスがいっぱい!
外遊びもできないし、ジメジメして洗濯物も乾かない、ママにとって憂鬱な梅雨の時期。でも、子どもにとって雨は決して嫌なものではないはずです。雨の音、匂い、生き物といった自然観察や傘のさし方などの交通ルール、虹の色といった科学から雨にまつわる絵本まで…。年齢に応じた雨の学びを、幼児教育のプロである伸芽会の飯田先生にお聞きしました。ぜひ参考にしてみてください。
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
目次
ポイントは雨をポジティブにとらえ、イメージを膨らませること
まず、最初にお伝えしたいのが、「今日は雨か、嫌だね~」などとネガティブな発言を子どもの前で言いすぎないこと。その結果、子どもは「そうか、雨は嫌なもので晴れの方がいいのか」と思ってしまいます。もちろん、湿度が高く不快だったり洗濯ものは多くなるしと、ママを困らせる要素は存分にありますが、そんな非日常を楽しんでみることが、雨の学びのポイントです。
たとえば、雨と飴から「同音異義語」を連想してみたり、ベランダに空き缶やコップを出して「雨の音でリズム遊び」をしたり。または、雨上がりに「雨が好きな生き物」を観察してみるのもいいでしょう。まずは、親子で傘にレインコート、長靴と完全装備で「今日は思い切り濡れていいよ」という日を作ってお出かけしてみてください。きっと新たな発見があるはずですよ。
巧緻性に交通ルール。雨の日ならではの傘を使った学びも
雨の日と言えば傘はつきものです。危ないからと持たせないのではなく、正しいさし方や閉じ方を教えてあげましょう。傘を閉じてマジックテープで留めるのは、ひねるのが苦手な今の子にとっては意外と難しいものです。雑巾絞り同様、小学校受験の試験でも問われる課題のひとつです。
また、傘をさして歩くときの注意点(視界が見えにくくなる、振り回すと危険など)もしっかりと教えてあげましょう。雨の日は幼稚園まで車で送迎していたり、保育園がマンション内だったりと雨に慣れず移動してばかりいると、小学校に入ってからの雨の日通学で苦労することになってしまいます。
さらに、「3人いたら全部で傘は何本で長靴は何個?(1人で2個と数える)」と数の学びをしてみるのもおすすめです。
虹や水で科学の種を養おう!
年長~小学低学年頃になると、虹がどこにできるかの「プリズム効果」を見つけたり(透明な定規を日光にかざしたり、透明な四角い容器に水を入れて、角をねらって懐中電灯を当てるなど)、コップに水を入れて「光の屈折」の実験をしてみるのもいいでしょう。雨をきっかけに、身近なものを使って科学の種を養うことは自宅でも十分にできるものです。
雨の日に読みたいおすすめ絵本3冊!
伸芽会の授業でもよく使う、雨の日関連の絵本がいくつかあります。今日は私のおすすめを3冊ご紹介しましょう。図書館などでも見つかると思いますので、ぜひ探して読んでみてください。
「おじさんのかさ」
佐野洋子 作・絵(講談社/絵本ナビ)
作者は、「100万回生きたねこ」でお馴染みの佐野洋子さん。いつも立派な傘をもって出かけるおじさんは、傘をささずに持つだけ。そんなおじさんがついに傘をさす最後のシーンでは、「おじさんはどうして傘をさそうと思ったのかな?」と子どもたちと毎回クイズを楽しみます。
「かさ」
作・絵 太田大八(文研出版)
この絵本には文字が一切でてきません。でも、赤い傘をさした女の子目線で、心情を表すストーリーや伏線が細やかに描かれています。「女の子はどうして駅に行ったのかな?」「なんで帰りはパパに入れてもらって自分の傘をさしてないのかな?」と子どもたちと主人公の気持ちを考えると盛り上がります。
「あめふり」
さとう わきこ さく・え(福音館書店)
ご存知、ばばばあちゃんシリーズの雨をテーマにした絵本です。ばばばあちゃんは雨をやませるために、からい煙を作って雷さまたちにくしゃみをさせようと考えます。雨の度にくすっと思いだすような印象的な物語は、子どもの豊かな想像力を養うのにぴったりな絵本です。
いかがでしたか。わが家も雨に濡れない通園環境だったため、小学校に入ってから雨の日の登校は何かと苦戦しています。雨をテーマにした学び、ぜひポジティブな気持ちでトライしてみたいですね。