じっとしていない男の子が夢中に!プロの絵本読み聞かせテクニック
最後まで集中して聞いてくれない、同じものばかり読みたがる、何を選んでいいか分からない、上手く読めない…。
絵本の読み聞かせが大事なことは分かっていても、ママにとっては、これで本当に正しいのか日々悩ましいですよね。
特に男の子などはじっとしていられないという声もよく聞きます。
そこで男の子の子育てに定評のある飯田先生に、「男の子も夢中になる絵本の読み聞かせ方のコツ」をレクチャーいただきます!
1960年福井県生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中に伸芽会の創立者・大堀秀夫と出会い、入社。子どもの目線に寄り添い子どものやる気を引き出す人気教師として男の子の指導に定評があり、これまで3,000人以上の教え子を難関校へと導く。著書に『9歳までの男の子の育て方』(世界文化社)。本サイトのYoutubeチャンネルであるSHINGA FARMちゃんねるへレギュラー出演中の他、AERA with Kisds+、朝日新聞 DIGITALなど多くのメディアにも取り上げられるなど、幼児教育業界の第一人者として活躍中。
目次
まずは読みたいと思わせるシチュエーション作りが大切!
読み聞かせにルールはありません。何より絵本が楽しい、絵本を読みたいと思わせるシチュエーション作りが大事です。そのためにはすぐ手が届く場所に絵本があること、親自体も本を読む姿を子どもに見せておくことが重要です。
落ち着きがなく聞いてくれない場合は、スマホなどの動画でその様子を撮影して子どもに見せてみましょう。自分で客観視することで「うわ、かっこわるいな」と思えば態度も変わってきます。
あとは男の子の場合は、ストーリー展開を見ていることが多いので(女の子は主人公の気持ちになって話の内容にとけこむことが多い)、話が長いものよりも場面展開が変わるものや、恐竜でも電車でも好きなものが描いてあるものから始めるといいでしょう。絵本ではありませんが図鑑だっていいと思います。
そして読み終わる度に、どう思ったかなど親子で語り合ってみてください。いつ聞いても感想や視点が毎回違って面白いと思いますよ。
ただ、寝る前にだけ読み聞かせをすると、絵本=睡眠導入という習慣になって、授業や小学校入試の会場で絵本を読まれると眠くなる場合がありますので(笑)、できれば昼間も絵本を読んであげてください。
絵本が1冊あれば1時間授業できます!
私が授業で子どもたちに絵本を読み聞かせる際、そう簡単には読み始めません。男の子などはまずじっとしていませんから(笑)、何か始まるぞという興味関心を引き付け集中させなければいけません。
邪道かもしれませんが、上下逆さまに絵本を見せて「ちがーう!」と言わせるしかけから始まり、何が違うのか反対言葉の学習へ。前と後ろ、上と下、表と裏、どう言ったら先生に伝わるかを子どもたちは一生懸命考えます。
やっと正しい位置に直ったところでようやくページをめくります。マンツーマンで読みきかせるのであれば、この脱線を思い切り楽しむのも絵本の一つの楽しみ方だと思います。
それと、子どもの予想を覆すような絵本を探すのも手。
たとえば、童話「3匹のこぶた」は有名ですが、「3びきのかわいいオオカミ」(冨山房)というオオカミを主人公にしたお話もあったりするんです。
いつもと違う設定に子どもたちは食いつくこと間違いなしです。ちなみに、この絵本は2015年の立教小学校の入試問題にも採用されました。
いつも同じ絵本しか読みたがらない子には、こんな風に違う視点で描かれた物語を見つけてみるのもいいかもしれませんね。
アナ雪だってOK! 絵本で学べる3段階の読み方
筑波大学附属小学校の白石範孝先生による「3段階の読み」(文溪堂)というのをご存知ですか?
第一段階 全体の構成をつかんだり、イメージをつくったりする
第二段階 細部を読み、関係をつかむ
第三段階 もう一度全体を読んだり、イメージを明確化したりする
同じ絵本でもこのように読んでいくと、1度目と3度目でまったく別の視点をもって読むことができるようになります。
それこそが絵本の醍醐味ではないでしょうか。
何も日本の昔話だけがいいということはありません。子どもたちが大好きな「アナと雪の女王」からだって十分学べます。
特に男の子はオラフが好きなことが多いですが、途中のシーンで雪だるまのオラフが常夏のリゾートに行きたがることのおもしろみをちゃんと分かっているかを聞いてみてください。
最初はなんとなく雰囲気で笑っていても、理由をきちんと理解したうえで読むと、まったく反応が違ってくると思いますよ。