家庭でできる実践例つき!スピーチ力を身につけるShow&Tell(ショウ・アンド・テル)のススメ
どこか怖気なく、堂々と話しをすることの多い、英語圏の子どもたち。幼い頃からShow&Tell(ショウ・アンド・テル、以下Show&Tell)というスピーチの場数を踏むことで、人前で話すことに自信を持ち、高いプレゼンテーション力と話し相手を惹きつけるなにかを身に付けているのです。
今回は、3歳からShow&Tellを始めるシンガポールでの実例を交え、その実態と効果、そして家庭でも実践できる方法をご紹介します。
目次
Show&Tellってなに?
Show&Tellとは、クラスメイトに見せたいものや聞いてほしいことを時間内で紹介する簡単なスピーチのこと。発表練習を繰り返すことで人前でのプレゼンテーション力を向上させ、自信を持たせるのが狙いです。
英語圏内の幼稚園や小学校で行われていることが多く、スピーチの後には質疑応答の時間が設けられるケースがほとんどです。
始めから皆がスピーチできるわけではなく、指導側が子どもたちに寄り添ってスピーチの内容を引き出し、ときに文法を訂正し、起承転結を組み立てるスピーチ作りの提案をします。そして、徐々に自分でスピーチをすることに対する姿勢と自信を身に付ける舵きりをします。
話し手としてだけでなく、聴き手としても学びのあるShow&Tell
Show&Tellのテーマは、『お気に入りのおもちゃ紹介』というシンプルな内容に始まり、徐々に複雑なお題になることが多いです。子どもたちは家から好きなおもちゃを自分で選んで持ってきて、クラスメイトの前で話しをします。
何度も話しをしていくなかで、伝えるためのツール、かしこまった話しかた、声の強弱なども工夫するようになります。
Show&Tellには、人のスピーチを聴くことで得られるメリットもたくさんあります。まず、スピーカーがどんな態度でどう伝えたから内容が響いたか・響かなかったか、に気づくことができます。
次に、質疑応答を一人一回必須にすれば、話を集中して聞き、質問をするトレーニングにもなります。
例えば、『お気に入りのおもちゃ』について、「どんな手触りがするのか。」「兄弟も一緒にそれで遊ぶのか。」「名前はあるのか、その由来は。」といった質問がでてきます。最後に、ほかの聴き手がどんな質問をしているかを聞くことにより、第三者の視点もみえてきます。
シンガポールの3歳児クラスの先生直伝!家庭でできる実践例3つ
筆者がシンガポールの某プレスクールを訪れると、3歳児クラス(日本の年少クラス)では「Traffic(交通)」をテーマにShow&Tellをしていました。子どもたちは、事前にリサイクル品を使って「横断歩道」を家庭で作成して持参します。
「どんな車が走っているか」「信号機ではどのような行動をとればよいのか」「歩行者はいるか」など、紹介と質問をしています。大人の手助けはあるものの、自分で用意してきた「横断歩道」をクラスメイトに紹介する子どもたちの顔は、何だか誇らしげです。
先生によると、初めは誰もができるものではなく、何度も場数を踏み、練習していくうちにできるようになるのだそうです。徐々に自分自身の言葉で表現できるようになると、それは後々、自分の強みになっていきます。
3歳児クラスの先生から、家庭でできるShow&Tellの実践例を3つ紹介いただきました。
1.親戚や友人の集まる会などで改まった場を設けて、定期的に発表会をする
→見慣れた人たちの前から始めるのがポイントです。
2.自己紹介をする際、最後に自分の好きなことを加える習慣をつけておく
→誰しも好きなことには自信があります。質問されて答えられると、会話のキャッチボールが続き、物おじせず相手と対話する力が身につきます。「山田太郎です。5歳です。レゴが好きです。」といった具合です。
3.感謝・謝罪の言葉に、感情、理由や改善策をつけ加える習慣をつけておく
→お手伝いしてくれたとき「ありがとう、お母さん助かったから嬉しい(理由と感情)。」、牛乳をこぼしたとき「ごめんなさい、おてて二つで持つね(改善策)。」などです。
阿吽の呼吸で意図が伝わる日本語を話す日本人は、意見を言葉にして伝えるのが、他の母国語を話す人より苦手な傾向にあります。
グローバル化が進み、海外で仕事をする機会が増える将来、自分の言葉で考えや思いを表現し、相手の話を聞く力は必要不可欠になってきます。母国語でしっかり考えを表現する力、伝えようとする意欲を育む訓練を、ご家庭で小さく始めてみてはいかがでしょうか。
世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
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