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幼児期に塾通い&家庭教師は当たり前?驚きのシンガポール家庭学習現場をレポート!

幼児期に塾通い&家庭教師は当たり前?驚きのシンガポール家庭学習現場をレポート!

前回の記事「最低でもバイリンガル!現地在住ママが見た“幼児期から始まるシンガポールの多言語教育”」でご紹介した、ローカルプレスクールの充実した教育環境をみてもわかるように、シンガポールはアジア随一の教育国家。

とくに中華系民族の親は子どもの教育に熱心な方が多く、学校外での学習にも力を入れています。今回はそんな幼児の家庭学習環境について、筆者の目で見た現場をレポートします。

シンガポール後編1

左:中国語のスペリングテスト課題
右:筆者娘(年長)の英語スペリングテスト

毎日の家庭学習がカギ!英・中の暗記テストと宿題は父・母が手厚くフォロー

幼稚園やプレスクールから帰宅後、シンガポールの子どもたちには家庭学習が待っています。娘が通うプレスクールではK2(年長)から週に1回英・中国語の暗記テストが行われるため、毎日の自主学習が必須。日々書き取り練習をさせています。

また、週末も遊んでばかりではいられません。毎週末、英語・中国語の宿題が出されるため、土日も家庭学習時間の確保が必要に。塾に通っている子たちは、これらに加え塾の宿題も自宅で終わらせる必要があります。

我が家では私が終始付き添って、娘の単語暗記や宿題を一緒に行っていますが、ほかのご家庭からは“家庭学習フォローは父親の仕事”という声もよく聞かれ、両親ともに子どもの勉強を手厚くフォローする姿がよく見られます。

人気塾に親が殺到!土日も忙しい子どもたち

シンガポールでは幼児期から塾に通っている子も多く、前述の家庭学習に加えて塾での学習も追加されます。

シンガポール後編2

ある日曜日、人気塾の入り口前のようす

筆者自宅の近所にある塾は、成績が伸びると評判のため、入塾にキャンセル待ちしなければならないほどの人気ぶり。土日は送り迎えの親たちでごったがえしています。

例えばK2(年長)向けのクラスだと、英語・中国語・算数・サイエンスが開講されており、各教科週1回のレッスンで月々320SGD~400SGD(日本円でおよそ25,600円~32,000円)となっています。(※料金は塾によって異なります)

また、英語・中国語・算数など家庭教師もお願いしている親も。料金は先生の人気度や経験などによって異なりますが、週1回の授業で月々200SGD~280SGD(日本円にして約16,000円~22,400円)が相場です。

かくいう筆者も、娘に週に1回英語の家庭教師をお願いしています。親の経済状況と熱意度によって程度は異なりますが、シンガポールでは幼児の塾通いや家庭教師がごく普通のこととして浸透しているのです。

シンガポール後編3

筆者娘が家庭教師から受ける英語レッスンのようす

シンガポール後編4

親のニーズに合わせ、幼児から通える塾が多数

シンガポールの親たちはなぜこれほど熱心なのか?小学校卒業試験を見据えた早めの準備

ここまでシンガポールの親たちが熱心な理由の一つに、公立小学校6年生時に行われるPSLE(Primary School Leaving Exam)という全国試験の存在があります。

詳細は割愛しますが、このテストの偏差値によって小学校卒業以降~専門学校・大学までの進学ルートのある程度が決まり、職業選択まで関わってくるため、“将来子どもに苦労させないよう、PSLEに幼児期から備えておきたい”という意識を持つ親が多いのが要因です。

もちろんPSLE終了後も試験は続き、成績次第で上位ルートへの変更は可能ですが、同様に上位ルートから下位ルートへのランクダウンも有り得るため、気は抜けません。

「“勉強する習慣”や“努力する姿勢”を早くから身につけ、将来に備えて欲しい」という親心が、このような幼児期からの熱心な教育姿勢に反映されていると言えるでしょう。

世界学力テストで上位を独占するなど教育制度がますます注目されるシンガポール。背景には、子どもの将来を考え、幼児期から積極的にフォローする親たちの存在が大きな役割を担っているのです。

▼前編はこちら
最低でもバイリンガル!現地在住ママが見た“幼児期から始まるシンガポールの多言語教育”

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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