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灘高からMIT大学院卒の「リトル孫正義」が起業した小学生対象のオンラインSTEAM・探究教育サービスとは?

灘高からMIT大学院卒の「リトル孫正義」が起業した小学生対象のオンラインSTEAM・探究教育サービスとは?

灘中学・高校を卒業後、東大とMIT(米マサチューセッツ工科大学)に合格した前田智大さん。AIをはじめ、世界有数のデジタル技術研究機関であるMITメディアラボでも次世代の研究者として認められていた将来有望の彼が立ちあげた、新時代のオンラインSTEAM・探究教育サービス「スコラボ」(https://sukolabo.com)とは?


前田智大さん
株式会社Mined 共同創業者、代表取締役。灘中学・高校卒業後、M I T
(米マサチューセッツ工科大学)で電子工学を専攻。大学院在学中に、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義さんの「孫正義育英財団(https://masason-foundation.org)」に応募し合格。2020年に帰国後、株式会社Mined(https://mined.jp)を起業し、現在は小学生を対象としたオンラインSTEAM・探究教育サービス「スコラボ」(https://sukolabo.com)を開発・運営しながら、講師も務めている。
https://note.com/tomohiro_maeda/

 

アメリカでSTEAM教育の重要性を学び、日本の教育に違和感を抱く

__なぜ研究者から教育の道へ?

MITの電子工学部に在籍し、研究者になるために人工知能(AI)などデジタル技術で世界有数の研究機関といわれるMITメディアラボで大学院修了まで研究する日々。「10年後のテクノロジー」を主に研究していましたが、STEAM【SCIENCE(科学)、TECHNOLOGY(技術)、ENGINEERING(工学)、ART(芸術)、MATHEMATICS(数学)】教育の重要性にも触れていました。実際に日米の教育を受けたことで、日本の教育に違和感を感じるように。

アメリカの教育では「生徒自身が興味を持ったことを自ら学ぶ」主体的な教育スタイルですが、日本の教育は「他人が選んだ学習カリキュラムを与えられる」という受動的な教育スタイル。そこに問題があると感じました。

そんなとき、孫正義(ソフトバンク社長)さんの「AIで世界を変えよう」という言葉に感銘を受け、若手人材支援を行う「孫正義育英財団」に応募し合格。孫さんの社会を大きく変えるという姿勢に刺激を受け、STEAM・探求をテーマにした新しい教育スタイルを作るため、2020年にアメリカから帰国し起業しました。

起業するにあたり重要視したことは、「子どもたちの主体性をどう伸ばすか」。保護者の方にヒアリングした際は、「習い事や塾で『与えられたもの』をこなすだけでいいのか……」と悩まれている方が多い印象でした。

とはいえ、身の回りに子どもたちが自分から学びたいと思うコンテンツも見つかりません。

子育てに悩む保護者の方にとって、スコラボが「子どもたちが自分から学ぶ場」になれたらと思っています。

__日本でも注目を集めている「STEAM教育」について思うことはありますか?

STEAM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、アート(Art)、数学(Mathematics)の5つの分野を学ぶ中で「論理的思考力」や「課題解決力」を身につけ、実社会の課題解決ができる人材の育成を目的とした教育のことです。

アメリカにおいてSTEAM教育は「これからの社会で必要な人材をどう育てていくのか」を考えたときに欠かせない教育として導入されたもので、理系教育と総合教育(探求と創造)を軸としています。

日本でも認知度があがってきていますが、探究的な思考や創造力を鍛える実践的な教育の実現はまだまだ難しいのが現状。これまでの日本の教育は、国(文部科学省)が決めたカリキュラムを大人数に対し、一度で効率よく教えるという「一方向のカリキュラム」であったものに対し、STEAMで求められる探求教育は「一人一人の個性や考え方によって学び方を変える」ものだからです。日本の従来の教育とSTEAM教育ではプロセスが異なるので、今の日本の教育スタイルにSTEAM教育を導入すると、形だけになる危険性があります。先生の負担も増えるでしょう。

ですから日本でSTEAM教育を普及させるためは、教育環境を変える必要があると考えています。たとえばタブレットなどのデバイスを積極的に取り入れ、自主的に学べる環境を整える。そうすることで、国が決めた学習カリキュラムを学ぶ「トップダウン型」の教育から、個々の適正に合わせた「サポート型」の教育へアプローチを変えることができます。

またSTEAM教育の目的の一つである「実社会とどのようにつながるのか」を子どもに理解してもらうことも重要です。

STEAMの各分野(科学・技術・工学・芸術・数学)を学校で学んでいると「何のためにやっているの?」と目的を見失いがちです。ですから、実社会でどのように活かされるのかを可視化し、身近に感じてもらうことが重要になります。実社会とのつながりを理解することで、子どもたちは目的意識を持ちやすくなるからです。

スコラボでもSTEAMを用いた探求学習を取り入れているので、クラスの中で「何のために学ぶのか」「実社会にどのような影響を与えるのか」を具体的に子どもへ伝えるようにしています。

子どもが興味を持つ姿はひとつではない!

__スコラボにはどんな授業があるのですか?

スコラボでは、「地球の大陸は将来ひとつになる?」「知られざる地球の中の世界」といった生物や宇宙の神秘に関するクラスから、ゲームをしながらプログラミングが学べるクラス、ゲームの攻略法を先生と一緒に分析するクラスなど……約70種類にわたるクラスを開講しています。

多種多様なクラスがありますが、すべてのクラスには2つの共通点があります。

1 主体性と探求心の創造

すべてのクラスでは、子どもが主体的に考えたことに対し、先生が専門知識を使ってより深い内容を伝えてく「対話形式」にしています。先生との対話形式にすることで「主体的に学ぶ」体験をしてほしいと考えているからです。今の子どもたちは、学校や習い事で先生から教わることが多く、学びに対して受け身になりがちなので「学びを選ぶ環境」が少ない。ですから、子どもの主体性と探究心を伸ばせるようにしています。

2 日常における学びの深堀り

「なんで目は2つあるの?」「地球のずっと奥深くはどうなっているの?」など、子どもたちが日々触れている「日常」に対して好奇心が刺激されるクラスがほとんどです。

スコラボでは、テストの点数などの数値化できる「認知能力」ではなく、創造性や探究心、コミュニケーション能力などの生きていく上で必要な「非認知能力」に重きを置いています。学校や塾のテスト結果には通じないかもしれませんが、子どもたちからは「知識豊富な先生と話すだけで楽しい」「当たり前に触れていたものに対し、深く知れて面白い」などの声をいただいています。

__他にはない特徴はどんなところですか?

スコラボの特徴は、気軽に、幅広い分野の学びに触れられることです。

「このクラス面白そう、この日が空いている、やってみたい!」と興味を持ったクラスを気軽に受講できます。多くの習い事のように体験をしたり説明を聞いたりする必要はなく、入会金や退会金を払う必要もありません。

多くの習い事では、水泳、ピアノ、英語、そろばんなど……ひとつの分野に特化して習得しますが、スコラボではプログラミングや算数、最新科学、英語などのさまざまな分野を、家にいながら数クリックするだけで学べます。

子どもたちが気軽に主体性をもって「興味の幅を広げられる」ところが、他の習い事にはない特徴です。

さまざまな分野を取り上げている理由は、子どもが興味を持つ姿はひとつではないと考えているからです。

東大やMITでは専門的な知識ではなく教養として幅広い知識を学ぶ「リベラルアーツ」を掲げています。私が通っていたMITの教授もさまざまな分野の研究をしながら起業し、常に社会の流れにアンテナを張っていました。実際に東大やハーバード大学では入学後2年間は教養を学んでから専攻を決めます。

大学入学後に学ぶ教養課程を、スコラボでは小学生の頃から小学生のレベルに合わせて学べる点も魅力のひとつです。幅広い分野の授業を用意し、子どもの興味を広げることで「学びが好きになる場」にしたいと思っています。

中学受験と併用して「スコラボ」を利用する子も

__中学受験の塾に行きながら利用している子も多いそうですね!

そうですね。中には、受験の直前までスコラボを利用してくれている生徒さんもいます。そのお子さんは数ヶ月で約30クラスも受講してくだっていたので「受験勉強が疎かになっていないかな……?」と私たちが心配するほどでしたが、興味を掘り下げる学びの時間ができることで受験勉強にメリハリがついたと仰ってくださいました。

他の保護者の方からも「塾の合間にスコラボでイキイキと学んでいる様子を見て、うれしく思います」という声をいただいています。

中学受験生が意外にも多い理由は、ご家庭の教育方針に関連していると考えています。

スコラボを利用する保護者の方とお話しするうちに、中学受験を目指す多くのご家庭では「幼少期に主体性を伸ばす教育」を意識されていることが分かりました。

塾に通う前は自由に主体的に学んでいた子どもが、塾ではどうしても能力を伸ばすための「詰め込み型」の学習を強いられてしまう。その環境の変化に子どもたちは戸惑い、ストレスを感じているため、スコラボで主体性のある学びがフィットして息抜きになるのだと思います。

他にも、スコラボの特徴である「気軽さ」と「スキマ時間に受講できる」点が、受験期でも利用しやすいようです。ゲームで遊びながら学べるクラスもありますし、基本的に事前学習は不要なので、気軽に利用できます。またすべてのクラスがZoomを用いたオンライン授業なので、送り迎えも不要。スキマ時間に受講できるので、塾に通う合間にも利用できます。

__他にはどのような子が利用しているのですか?

ホームスクーリングやギフテッドのお子さんも一定数います。そのようなお子さんは、自分の興味がない分野を学ぶことに苦手意識を抱きやすく、学校の学習スタイルに合わないことが多いです。

一方スコラボでは、自分が興味をもった分野だけ学べるので相性がいいと感じています。

一人一人に合ったオンライン教室の選び方

__オンライン教室の選び方について、ポイントを教えてください!

最近ではさまざまなオンライン教室がありますが、一人一人の子どもに合った教室を選ぶことは大切です。選ぶ際のポイントは2つあります。

1 何を伸ばしたいのかを明確にする

たとえば「算数の点数を伸ばしたい」なら録画配信を見たり、タブレットを使ってドリルを解き進めたり、自分のペースで学べる教室が合っていると思います。

一方で「算数を好きになってほしい」ならドリルで勉強するよりも、算数が好きな人と話せるオンライン授業がおすすめです。「学校の授業では物足りない」なら興味を深め魅力を伝えるカリキュラムもいいでしょう。

テストの点数を伸ばしたいのか主体性を伸ばしたいのか、学習目的を考えてみてください。

2 性格に合わせた学習スタイルを選択する

自分でじっくり学びたい子は、タブレッドや録画配信で再生速度変えたりしながら自学する学習スタイルが向いていると思います。細かい質問まで答えてほしい子は少人数授業を、さらに興味関心や探求心が高い子は大多数のエンタメ性が高い配信を視聴する学習スタイルが向いていると思います。

__オンライン教室で主体性を伸ばすためにはどうしたらいいですか?

オンライン教室で主体性を伸ばすためには、クラス選びが重要です。
主に3つの秘訣があると思います。

1 子どもが興味を持ったクラスを選ぶ

親が無理やり授業を受けさせるのではなくて、子どもが「やりたい!」と興味を持った授業を選ぶことが大切です。
興味を持ったクラスが多すぎて選べない場合は、地元の習いごとでは体験できないクラスを選ぶのがおすすめです。

2 少人数のクラスを選ぶ

オンライン授業は、先生との対話形式なので緊張する子どももいらっしゃるので、慣れるまではまだ受講予約が少ない少人数クラスを選ぶといいでしょう。人数が少ないと、自分のペースで発言しやすくなります。

3 遊び要素の強いクラスを選ぶ

オンライン授業を始めたばかりの子どもは、新しい学習環境に抵抗感を抱くことも。その場合は、子どもにとって遊びの要素が強いクラスから受けるとハードルが下がります。スコラボでは人狼ゲームやスマッシュブラザーズ、Minecraftなど、子どもに人気のゲームで遊びながら発言の仕方や推理の仕方などを習得できます。子どもは遊び感覚でも、大人から見ると考え方やスキルの成長を実感できます。

いかがでしたか。子どもの主体性を育てながら、これからの時代に必要不可欠なSTEAMをどう身近に感じていけるか。さらに中学受験とどのように並行していくべきか……。私自身、一人の親として色々と考えさせられるお話でした。気になった方はぜひ「スコラボ」(https://sukolabo.com)をチェックしてみてください。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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