自然科学の大宝庫！パリの「国立自然史博物館」は国が誇るSTEMスポット

2023.08.29 公開 / 2023.11.20 更新

学び

自然科学の大宝庫！パリの「国立自然史博物館」は国が誇るSTEMスポット

パリ5区の広大で美しい公園のなかにある「国立自然史博物館」は、世界三大自然史博物館の一つです。
17世紀のルイ王朝時代からフランスが収集してきた自然研究分野の宝庫で、まさに国が誇るSTEMスポット。
筆者が実際に訪れ、現地からお伝えします。

ルイ王朝時代からの自然研究収集物を陳列

「フランス国立自然史博物館」は、セーヌ川沿いの植物園のなかにあります。
アメリカの国立自然史博物館とイギリスのロンドン自然史博物館に続く所蔵物数を誇る、世界三大自然史博物館として知られています。
もともとは、フランス国王のルイ13世が1635年に創設した「王立薬草園」という施設でした。
当時は王の侍医たちにより運営されていましたが、その後ルイ15世が勅令で医療分野を除外し自然史の博物館にしました。
そのため、17世紀に栄えたルイ王朝の時代から現在まで、フランスが収集してきた自然研究に関する宝が陳列されているのです。

ルイ王朝時代からの自然研究収集物を陳列<
（Jean-Pierre Dalbéra, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, ウィキメディア・コモンズ経由で）

ジャンルで分かれた施設はどこも見どころ満載

フランス国立自然史博物館は「鉱石博物館」「自然史博物館」「植物園」「動物園」「化石博物館」「進化の大ギャラリー館」とジャンルにより分かれていて、それぞれチケットを購入して入場。
ただ、子連れで一度にすべて鑑賞するのはかなりハードスケジュールになるので、あらかじめ観たいものを押さえて回るようにします。
屋外にある動物園は、夏休み中は1週間に1度夜間入場ができます。
フランスの夏の夜は8時過ぎでもとても明るいうえ、夜の方が涼しいので、夕方に散策するのにぴったり。近くのカフェなどで軽く夕飯をとった後でも十分楽しめます。

もう一つおすすめなのは、絶滅動物や絶滅危惧種をモチーフにした公園内の木製メリーゴーランド。古き良き時代のパリの面影をたっぷり楽しめる素敵な遊具で、子どもと一緒に絶滅動物について考えたり話し合ったりする機会にもなります。

ジャンルで分かれた施設はどこも見どころ満載
（Grenouille vert, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, ウィキメディア・コモンズ経由で）

1番人気はなんといっても「進化の大ギャラリー館」

これら施設のなかでとくに人気があるのは、「化石博物館」と「進化の大ギャラリー館」です。

ただし「化石博物館」は、あまりにも気温が高すぎると恐竜の化石を展示している階が閉館になるため、夏場は注意が必要です。猛暑が続くパリでは、比較的涼しい日が多い午前中の訪問が望ましいでしょう。

最大のおすすめである「進化の大ギャラリー館」は、建物の外観にも内部にも随所に歴史を感じられる趣があります。吹き抜けの空間には地球上にいる動物たちの剥製が、まるで大行進しているかのように迫力たっぷりに展示されています。

「ゾウって近くだとこんなに大きいんだね！」「ライオンの口のなかってやっぱりこわい！」普段、触れられそうな距離ではなかなかゆっくり見ることができない野生動物たちの姿に、子どもたちは大興奮。陸上動物以外にも、空中に浮く巨大なクジラの骨標本や、まるで泳ぐように展示されている海洋生物たちの姿もあり、囲まれると、まるで海の真ん中にいるような気分になります。

定期的に雨の降る音が館内に響き渡り、照明も変化するなど、古代を感じられる臨場感も魅力です。

最上階の絶滅種の剥製コーナーでは、絶滅動物についてVRでしっかり学ぶことができます。同じ階には、平均的フランス人家族が10日間に出すゴミを、透明の樹脂で立方体に固めたものを展示。その量の多さに、日々の暮らしを見直す必要性を親子で感じて反省しました。

博物館内には博物館のなかを見渡しながら休憩ができるカフェもあり、子連れには助かります。

1番人気はなんといっても「進化の大ギャラリー館」
（Knowtex from France, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, ウィキメディア・コモンズ経由で）