英国のプリンス・プリンセスが通う学校は?ロイヤルファミリーが選んだ校風と教育方針

英国のプリンス・プリンセスが通う学校は?ロイヤルファミリーが選んだ校風と教育方針

歴史が長いイギリスの王室や貴族のあいだでは各家庭で家庭教師を雇い、子どもに初期教育することが伝統でした。実際に、初めて民間の幼稚園や小学校に通った王族は、ウイリアム王子とヘンリー王子です。

親しみやすい王室を希望しているウイリアム王子とキャサリン妃は、子どもたちのためにどのような教育方針を選んだのでしょうか?夫妻の長女であるシャーロット王女が通園していた「Willcocks Nursery School(ウィルコックス・ナーサリー・スクール)」と、現在彼女と兄のジョージ王子が通っている「Thomas’s School (トーマス・スクール)」の校風や教育方針、入学資格、学費などについて紹介します。

少人数教育の幼稚園「Willcocks Nursery School」は0歳で願書提出

シャーロット王女が通った「Willcocks Nursery School」は一家が暮らすケンジントン宮殿のすぐ近くにある英国教会系の小さな幼稚園で、お行儀や礼儀正しさといった伝統的な教育方針を重んじています。1964年の創立で、各学年の園児数は最大30人程度と少人数です。

イギリスの富裕層の家庭では、子どもたちは私立学校の受験に向けて2歳から幼稚園に通います。幼稚園では親から離れる練習と集団行動に慣れるために数時間の通園から始め、徐々に時間を増やしていきます。

「Willcocks Nursery」の学費は1学期で3,000ユーロ(日本円で約35万円)と、私立としては常識的な価格です。申し込みは随時受け付けているようですが、イギリスの私立人気校では当たり前に行われている0歳での願書提出が望ましいとされています。

新たに中高等部が開校予定の「Thomas’s School」

ジョージ王子とシャーロット王女が通っている「Thomas’s School」は1971年の開校で、イギリスでは比較的新しい私立校です。3児の母であり女優だったジョアンナ・トーマス氏が開校し、現在も家族経営が行われています。1校の幼稚部と4校の初等部があり、2021年には新たに中高等部が開校予定です。

イギリスの小学校は4歳で入学し、初等部は13歳までとなっています。伝統的に私立の小学校はプレップスクールと呼ばれ、中高等部の受験のために通う学校とされています。

これまで同校で学年トップクラスの成績の子どもは国内有数の有名私立中高部に進学していて、なかでも男子生徒の成績は優秀とされています。以前は13歳での受験が一般的でしたが、現在は11歳に年齢が下がっていて、そのことも「Thomas’s School」に中高等部が新設される理由の1つのようです。

同校の教育内容は受験に向けた典型的な私立の教育で、読み書きや算数・数学、コンピューター、理科、地理、歴史、宗教学、美術、語学、音楽、演劇、体育などを学びます。この学校のユニークな点はバレエが含まれることで、アメリカのニュースキャスターがこれについてジョークとして取り上げたことがあるほど有名です。

ほかの国内私立校と同様に勉強だけでなく、スポーツ(個人種目と団体種目)や音楽(楽器と歌)、趣味(チェス、語学、演技、美術)などを充実させることを推奨しています。放課後のクラブ活動でこれらの活動をサポートし、楽器の指導などは授業とは別に個人指導で行われます。

9歳ぐらいまでは比較的ゆったりとしていて情操教育にも重点を置きますが、それ以降は中高等部の受験に向けてかなりたくさん勉強をすることになります。その時点で、公立校に通う子どもたちと大きな差が生じてくるわけです。

「Thomas’s School」では学費に兄弟割引を設定

「Thomas’s School」は英国教会系の学校ですが、宗教は入学の選考要素には含まれません。1歳ぐらいの時点で願書を出し、入学の前の年に遊びに来るイメージでのテストがあります。

そのときには、協調性やことばの発達度、運動神経などを観察します。だいたいは幼稚園などでやっていることなので、子どもたちにとってはテストされているという自覚はないと思います。その後、合格や補欠、再受験の連絡がきます。

制服は紺、赤、水色をベースにしたスタンダードなタイプで、とくに目立つというものではありません。9歳までは動きやすさを重視し、コットン系のタートルネックのトップにジャンパースカートかスボンです。10歳からは、きちっとしたシャツとブレザーの制服になります。

イギリス私立校特有の麦わら帽子は、同校にはありません。ただ、体操着、水着、バレエ着、夏服、美術のエプロン、理科の白衣、髪飾りなどが決められていて、揃えなくてはならないものがたくさんあります。

気になる学費ですが、1年間は3学期から成り、各学期とも4歳から7歳までが6,429ユーロ(日本円で約75万円)、7歳から13歳までが7,262ユーロ(日本円で約85万円)です。ただ、ロンドン市内にはもっと高額な学費の私立校もありますし、同校では兄弟割引が設定されています。

このほかに、制服代や備品代、楽器、演劇などの個人レッスン代、遠足代、給食費といった費用がかかります。

また「Thomas’s School」に限らず、どの私立校もチャリティ活動として奨学金生を受け入れています。

ダイアナ妃が選んだウイリアム王子とヘンリー王子の母校「Wetherby School」

ジョージ王子とシャーロット王女は兄と妹のため、ウイリアム王子夫婦は共学校を選んだと思われますが、かつてウイリアム王子が弟のヘンリー王子と通った男子校の「Wetherby School(ウェザビー・スクール)」は現在でも人気があります。

1951年に設立されたロンドン中心部の住宅街にある小規模な学校で、近隣のビジネスマンやホワイトカラーの家庭の子どもが多いようです。

イギリスの私立男子校が持つスタンダードな校風で、学習内容や教育方針についてもイギリス風のカリキュラムを提供しています。生徒たちは数学・スポーツ・コーラス・芸術など多方面で才能を発揮しているそうです。

まとめ

イギリス王室初の民間初期教育を受けたウイリアム王子は、やはり自分の子どもたちにも同じ道を選びました。ジョージ王子とシャーロット王女という現代のプリンスとプリンセスは、時代に合わせて一般の子どもたちと同じような教育を受けながら、イギリスの伝統を身に付けていくことと思います。

執筆者/かなこ

著者プロフィール

世界35か国在住の250名以上の女性リサーチャー・ライターのネットワーク(2019年4月時点)。
企業の海外におけるマーケティング活動(市場調査やプロモーション)をサポートしている。

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