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江戸時代ではイクメンが当然!?現代の働くママに知っておいてほしい3つのコト

江戸時代ではイクメンが当然!?現代の働くママに知っておいてほしい3つのコト

先日伸芽会のmave(まーぶ)セミナーで開催された「子育て&教育フォーラム~2016年度入試報告会~」。
SHINGA FARMでは東京大学名誉教授の汐見稔幸先生による特別講演から「現代のワ―ママにこれだけは知っておいてほしいこと」をご紹介します。ワ―ママ必見、目からウロコのエピソードが満載です!

汐見先生セミナー
汐見稔幸先生(白梅学園大学学長・東京大学名誉教授)
専門は教育学、教育人間学、育児学。育児学や保育学を総合的な人間学と考え、ここに少しでも学問の光を注ぎたいと願っている。三人の子どもの育児にかかわってきた体験から父親の育児参加を呼びかけている。日本教育学会常任理事、文科省「中央教育審議会」教育課程委員会委員、臨床育児・保育研究会を主催など様々な団体でも活躍。著書多数。

人類史で見ると母親が仕事をするのはごく普通のこと

江戸時代の子育ては父親がしていたってご存知ですか?人類の歴史で見ると、専業主婦はごく最近のことなんです。昭和30年代の母親は皆、家事や農家の「仕事」をしていたんです。その頃は今のような便利な電化製品もありませんから、家事や農家の「仕事」に費やす時間は13時間半!
ときにはおんぶして畑仕事して、今のような形の育児をやってる暇はないんですよ。

子どもは歩くようになったら外で遊ぶのが当然。教育係は近所のお兄ちゃんやお姉ちゃんでした。私もそうですが、地域の遊びの中でいろんなことを学んだものです。
今のように玩具はありませんから知恵と頭を使ってごっこ遊びをするんです。ごっこ遊びは企画力やデザイン力、失敗から学ぶ力が必要ですよね。

私はこの「失敗から学ぶ力=レジリエンス」が人生で一番大事な力の一つと思っているのですが、今の子にが身につけるのは難しい。

また、家事に人手も時間もかかりますから、家でのお手伝いも昔は当然でした。毎日手伝う中で子どもながらに考えるんです。「どうやったら上手くなるかな」って。

さらにこのお手伝いは家族の中で自分も役に立っている、という充実感や自己肯定力が身に付きます。「自分が役立っている」感覚。これは生きる意味にもつながります

ですから、仕事も家事も育児もお母さんだけがする今の時代。お母さんは本当に大変です!歴史上でも特殊のことなんです。
どうぞ、私たちの遺伝子にある記憶を呼び覚まして、子どもに役割を与えながら家族みんなで子育てをしてください

ワ―ママにこれだけは知っておいてほしい3つのコト!

その1:子どもにイライラをぶつけないこと

まず、保育園の子と幼稚園の子の差なんてない!ということを断言します。面白い調査で、幼少期に保育園に通っていた子に「将来ママになっても働きたいか」を聞いたところ、意見が二つに分かれました。

YESと答えた子は「働いているママの姿が素敵、生きがいがあってカッコイイ」というもの。

NOと答えた子は「ママが仕事の愚痴やイライラを私にぶつけて嫌だったから」。

いかがですか?子どもは保育園だからって寂しくはないんです。イライラされるのが嫌なんです!
子どもに「いつもありがとう」と感謝したり、可能な限り向き合う時間を作って、ニコニコ笑顔で過ごせば、きっと働く姿をカッコイイと思ってくれるはずです。

その2:子どもをお客さんにしないこと

子どもをお母さんの期待に応えるだけの子にしないでください。子どもも家族の一員としての役割を与えてください
あるシングルマザーのお子さんは小4でレシピ本が書けるほどの料理の腕前があるとか。必要以上に「危ない」、と止めずにどんどん仕事を与えてみてください。

その3:お父さんの頑張る姿をときどき見せる

お父さんは忙しくて、ほぼ平日は顔を合わせる時間がないという家も多いでしょう。
でも、子どもが父親像をイメージできるか、つまりお父さんに愛されたという感覚を残せるかはとても大切なことなんです。

パパなりのやり方でいいので、頑張る姿をときどき見せてあげてください。
なんでもいいのでママと違うことをやってあげるといいですね。夫婦で育て方の方針が違ったり、ダメの線引きが違うのはよくないのではないかとよく聞かれますが、違ってOK。その方が子どもの社会性が育ちますよ。

世界的に発表された、幼児教育の効果とは!?

世界で注目を浴びた、幼児教育の研究者ジェームズ・J・ヘックマンが発表した面白い研究結果をご紹介しましょう。

60年代ですが、貧しいアフリカ系アメリカ人が住んでいた地域の3歳の子どもたちを同じ条件の2グループに分けました。

Aグループは3~4歳の2年間プリスクールで良質の幼児教育を受けさせます。Bグループは何もしないでそのままです。

2年後また同じ環境に戻し、その後の生活ぶりを今に至るまで40年以上も経過を観察しているという研究なんです。
すると、Aグループの方が40歳での収入がBの1.5倍、持ち家率もうんと高く、高校卒業理と高く、逆に犯罪率は低いという結果でした。

ヘックマンたちはこのペリー・プリスクール研究をさらに分析し、幼児期のたった2年間にちゃんとした教育を受けたか否かが大人になってからの大きな差につながった、ということから、

子どもの教育は開始期が早ければ早いほど効果が大きく費用がかからないこと
幼児教育は文字・数・記憶力などという知能の教育ではなく、集中力、自己コントロール力、失敗から学ぶ力、協働する力、達成感などの「非認知的能力」を伸ばすことに本来の役割がある

という二つの原理を導きました。
これらは今世界の幼児教育改革の指針になっています。

もう一度言いますが

  • もう少しがんばる力、集中力、自己コントロール力
  • 失敗から学ぶ力
  • 達成感や社会性、自己肯定感

など、目に見えない力が大事なのです。

 

いかがでしたか? ぜひお子さんには、昔から人々が大事にしてきたこれらの力を伸ばしてあげてください。働くお母さんだからって可哀想とか受験に合格しないなんてことはありません。ご夫婦で協力して、頑張ってください。

人類史から幼児教育まで。汐見先生の興味深い話に会場のママたちもなるほど!と納得しっぱなし。
それにしても、江戸時代のパパたちがイクメンだったなんて本当にびっくりです。ぜひパパたちにもこの講演を聞いてもらいたいと思ってしまいました。

著者プロフィール

ライター・エディター。出版社にて女性誌の編集を経て、現在はフリーランスで女性誌やライフスタイル誌、ママ向けのweb媒体などで執筆やディレクションを手がけている。1児の母。2015年に保育士資格取得。

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